鷺の停車場

映画、グルメ、クラシック音楽、日常のできごとなどを気ままに書いていきます

映画「名前」

下高井戸シネマで「名前」を観ました。

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(映画館でもらったチラシ)

この映画、存在を知って観たいと思い始めた時には、無理なく行けるエリアでの上映は既に終わってしまっていました。今回、1週間だけですが再び都内で上映されるということで、これがスクリーンで観れる最後のチャンスと、行ける機会をうかがっていました。

舞台挨拶付き上映も上のチラシ裏面に記載の土・月に加え、木曜日にもさらに追加されて計3回行われたそうですが、それらは仕事などで行くことができず、上映最終日の金曜、やや強引に仕事を終わらせて、何とか行くことができました。

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下高井戸シネマは2月ほど前に「四月の永い夢」を観にきた時以来で、2回目。 

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この週の上映作品とタイムスケジュール。

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館内のお客さんは2~30人程度。

久保として妻が入院していると嘘を付いてペットボトルのリサイクル工場でバイトし、ビジネスマンの吉川として飲み屋街で酒を飲むが、茨城県南部、守谷か取手あたりの民家に一人で暮らす40代の中村正男津田寛治)。工場で妻の入院先と言っていた病院に働く友人がいる職員の情報で嘘がバレて詰められるが、そこに久保に来客があると言われ、行ってみると、1人の見知らぬ女子高生の笑子(駒井蓮)だった。彼女は、「父がお世話になってます」と言い、母は転院したから早く行こう、と助け船を出し、半ば強引に中村の家に押しかける。
シングルマザーの母が水商売を営んでおり、家で一人がちな笑子は、中村の家に出入りするようになり、2人は交流を深めていく。一方、笑子は幽霊部員として在籍していた演劇部の舞台に人数が足りないと誘われて加わるが、指導する先輩から、自分を出してない、演技が嘘っぽいと追い込まれていく。そんな中、友人の里帆(松本穂香)の彼氏である翔矢(勧修寺保都)から突然告白され、彼氏を奪われる形となった里帆は「最低」と吐き捨てて去っていく。
笑子はずぶ濡れになって中村の家にやってくる。そこで、笑子は自分がなぜ中村に近付いたのかを打ち明ける。激しく動揺する中村は、自分の過去、笑子の思いと向き合うことになり、そこに秘められた真実が明らかになっていく。・・・というあらすじ。

観に来て本当に良かった、というのが率直な感想。

なぜ中村がいくつもの偽名を使っているのかは、劇中で語られる本人の説明を聞いても、ちょっと腑に落ちないところがありましたが、社会的地位も家族も失ってだらしない生活を送る中村と、父親に会ったことがなく母親も不在がちな笑子が出会って、お互いの欠損感を埋める存在となっていきます。真実が明らかになって2人はそれぞれの道を進んでいく形になるわけですが、ともに過ごした時間は、きっとその後の2人に大きな影響を与えるのでしょう。駒井蓮の清真な演技も印象的です。特に夜の校庭での心からの叫びは刺さりました。感涙というタイプの映画ではありませんが、迷いながら生きている2人の姿に引き込まれていく映画でした。

上映後の売店ではおそらくパンフレットを買う方の行列ができていました。私だけでなく、感銘を受けた人が多かったことがうかがえました。

関西などではこの後も上映予定の映画館もあるようですが、関東での上映はこれで最後のよう。ギリギリでスクリーンで観ることができて良かった。

「夏目友人帳 いつかゆきのひに」

夏目友人帳 いつかゆきのひに」(2014)を借りて観ました。

テレビアニメ「夏目友人帳」のOVAとして制作・発売された作品だそうです。しばらく前に、劇場版の「夏目友人帳~うつせみに結ぶ~」を観て、落ち着いた雰囲気でいて、ちょっと切ない物語の運びが良かったので、他のも見たいと思い、テレビアニメ版を最初のシリーズから見始めるのは巻が多く大変そうなので、まずはこれを借りてみました。

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ある雪の日、家で昔の品々を整理する塔子(伊藤美紀)。珍しい雪に心踊り散歩に出かけた夏目貴志神谷浩史)は、雪だるまのような妖に出会う。貴志が「モコモコ」と名付けたその妖は、あたたかいものを探しているというが、自分でもそれが何かは分からない。貴志は自分が巻いていたマフラーを渡すが、モコモコが触るとマフラーは凍ってしまう。いったんはモコモコを置いて立ち去る貴志だったが、その夜マフラーを返しにやってきたモコモコの話を聞いて気になった貴志は、翌日、モコモコと一緒にそれを探しに行くのだった・・・というあらすじ。

探しているものは自分の中にあり、しかも、それを見つけた時には消えてしまう運命の下にある妖の、ちょっと切ない物語。

劇場版のような伏線や大きい展開があるわけではありませんが、やはり、物語の運びはいいなあ。一途に何かを探すモコモコの雰囲気も良かった。

特典映像であわせて入っていた「ニャンコ先生とはじめてのおつかい」も心あたたまる掌編でした。

映画「バースデーカード」

映画「バースデーカード」(2016)をDVDを借りて観ました。 

バースデーカード [DVD]

バースデーカード [DVD]

 

監督は吉田康弘という方。既に何本も映画を撮っておられるそうですが、私は初めてです。

紀子(橋本愛)に、10歳の時に亡くなったママ(宮崎あおい)から、誕生日に贈られるバースデーカード。ママのバースデーカードに対し複雑な感情を抱き、葛藤する時期もあるけれど、最後は、亡き母の思いを知り、成長していく女性の物語。

映画は、紀子の回想という形をとって進みます。

17歳の紀子は、ママから、お盆に中学校の時のタイムカプセルが掘り起こされるので回収してきてほしい、と頼まれ、ママの故郷の小豆島を訪れ、ママの中学生時代の親友だった沙織(木村多江)にお世話になり、親しくなる。沙織の娘は引きこもりになっていて、最初は紀子に冷たく当たるが、ちょっとしたきっかけで紀子に心を開くようになる。この小豆島のシーンの描写は心に残ります。

また、19歳の誕生日のシーンも印象的。紀子は、ママに振り回されたくない、ここにいない人に指図されるのは嫌、と手紙を開けることを拒み、日ごろは穏やかな父(ユースケサンタマリア)も「ママに謝れ!」と激高する。家を飛び出し歩く紀子は、たまたまバイクで通りかかった、中学生時代に恋心を抱いていた同級生の純(中村蒼)に声を掛けられ、バイクに乗せてもらう。紀子は、母子家庭で育った彼が語る母親への愛情を聞いて、手紙を読む気持ちになる。そして、手紙を読んで涙を流す。

純の励ましで紀子がパネルクイズ25に出場しようと打ち込むようになるくだりは、やや取って付けた感もありましたが、小学生の時クラス対抗のクイズ大会で一問も答えられなかったあの日をやり直したい、破れなかった自分の殻を打ち破りたいと頑張る姿なのでしょう。

最後のサプライズも印象深いシーン。

亡くなった後も10年にわたってバースデーカードを贈るというもともとの設定もそうですが、現実のお話と思って見ると、うまく運びすぎの部分もありますが、ほろっと涙するシーンが各所にあって、観終わった後は、清々しい、あったかい気持ちになる映画でした。