鷺の停車場

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ラフマニノフ「晩禱」

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ラフマニノフ:晩禱(無伴奏合唱によるミサ)op.37[1915]
ロバート・ショウ指揮ロバート・ショウ・フェスティヴァル・シンガーズ
カール・デント(テノール
(録音:1989年6月26~28日、グラマ・聖ピエール教会)
※最近では、より正確な訳として「徹夜禱」とすることも多いようですが、本CDの記載に従っています。

前回のオケゲムに続いて無伴奏のミサ曲、40代のラフマニノフロシア正教会の礼拝のために書いた音楽です。
とはいえ、そもそも時代が4世紀以上違いますし、歌の編成もかなり大きいので(加えて、カトリックロシア正教の違いもあるかもしれません)、雰囲気はかなり違います。清らかというより荘厳な感じです。

ラフマニノフといえば、ロマンティックあるいはメランコリックな旋律で有名ですが、この曲では、そうした旋律の動きは控えられており、本CDの解説を引用すれば「15曲のうち9曲は、古代の旋律に基づいている。他の曲は、歌詞を自由に使いながらも、伝統的な和声と旋律の形式に忠実であることが心がけられている。」
こうして、人間の感情の浮き沈みではない、祈りにふさわしい純粋さ、神に向かって一歩一歩進むような一途さが生み出されているように思います。

余談ですが、9曲目の旋律は、彼のたぶん最後の作品である「交響的舞曲」op.45の第3楽章のコーダで引用されており、本曲で「アリルイヤ」(=ハレルヤ)と歌う部分を同楽章で引用している箇所には、スコアにも"Alliluiya"と書かれています(同楽章の最後から26小節目・スコアでは練習番号「99」の2小節目)。

このCDの演奏は、有名な合唱指揮者で、アトランタ交響楽団音楽監督なども務めたロバート・ショウが、アメリカから参加者を募ってフランスで開いた同フェスティバルの演奏を録音したものだそうです。
もしかするとロシアの本場の合唱団の演奏とは趣が違うのかもしれませんが、力で押すようなところはなく、ハーモニーやダイナミクス(強弱)の扱いなど、丁寧に音楽を作っている感じが、この曲によく合っています。
教会なので、全体の響きを美しく捉えたような録音で、各パートの音の分離は鮮やかではありませんが、これも、こうした宗教曲では問題にならないだろうと思います。

現在でも、輸入盤なら入手は可能なようです。

Rachmaninoff: Vespers ROBERT SHAW FESRIVAL SINGERS

Rachmaninoff: Vespers ROBERT SHAW FESRIVAL SINGERS

 

ただ、入手が容易そうなのは、ロシアの本場の合唱団のものでしょうか。

ラフマニノフ:晩祷

ラフマニノフ:晩祷

 

春雨の広島旅行(2)宮島と広島カープ

広島旅行の初日の続きです。
15時半過ぎに宮島口駅に着いて、宮島フェリーに乗り換えます。
時間が遅いからか、乗船客はまばらで外国の方ばかり。
雨は止んだものの、やはり視界は悪いまま。
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潮も引き気味で個人的にはかなり残念。
その後の予定もあるので、足早に厳島神社を観光します。
行きとは売って変わって満杯のフェリーで戻り、17時20分頃に宮島口を出発、30分ほどで広島駅に着きます。
駅からは大勢の人の流れに乗って線路沿いにマツダスタジアムへ。
プロ野球は滅多に見ませんし、特にカープファンというわけでもないのですが、そうない機会なので、出発前にチケットを買っておいたのです。
途中軽食などを仕入れつつ、18時15分頃に到着。
1回はほぼ終わりそうでした。
指定席はとうに売切れで内野自由席だったのですが、既に赤い人達でほとんど埋まってます。
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(これは7回表終了間近の様子。みんな風船を膨らませてます)
スタンド最上段近くですが、バックネット中央寄りに空席を見つけて座ります。
何より、ビジター応援ゾーン以外真赤に染まり、大人も子どもも揃って応援する光景に圧倒されます。
昼間に呉で戦争時の状況にあれこれ思いを巡らせたせいか、ふと、あの状況からここまでになったんだなあと目頭が熱くなります(って、ウチは何を考えてしもうとるんじゃ…)
試合はカープのペースでけっこう締まった展開。
とりわけ、9回表の声援、雰囲気は凄かった。ゾクゾクしました。
たまたま観に行った試合でこんな凄い雰囲気を体験できるなんて、幸せです。
試合終了後は、ホテル近くのお好み焼屋さんで夜食。
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22時半ごろ平和記念公園近くのホテルにチェックイン。朝早かったこともあり、早々に寝ます。(つづく)

春雨の広島旅行(1)大和と「この世界」聖地巡礼

少し前ですが、4月に呉・広島に行ってきました。
忘却してしまう前に書き残してみようと思います。

金曜の朝、乗るのは新幹線の始発。


改札が5時半に開いたのでホームに行くと、もう列車は停車中。
さっそく乗り込みます。
6時ちょうどに東京駅を出発。
名古屋~京都あたりは本降りの雨。
広島は昼頃から回復する予報ですが、どうなることやら。

途中寝て時間をつぶしたりして、9時50分頃に広島着。

広島には20年以上前に一度日帰りで来たことがありますが、その時は青春18きっぷ普通列車から臨時夜行快速に乗り継ぎ、東京から18時間ほどの長旅…。4時間もかからずに着けるのはありがたい限りです。

10時発の呉線に乗り換え、10時半過ぎに呉駅に着きます。

まずは駅すぐの「くれ観光情報プラザ」に立ち寄り、気になった観光施設のパンフレットをもらいます。
この世界の片隅に」ロケ地マップも係員の方に聞くと、2種類ともいただけました。
天気は小雨模様。
まずは、ほぼ傘を差さずに行ける「大和ミュージアム」へ。

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入館すると10分の1の大きな大和の模型が出迎えます。

呉がかつて海軍の一大拠点だったことは知ってましたが、その経緯や当時の状況なども詳しく説明されていて勉強になりました。

12時前にミュージアムを出ますが、まだわずかに雨。
予報通り回復することを期待してレンタサイクルを借ります。

まずは川沿いに北上し「カレーのマスター」で昼食。呉で展開中の海自カレーではなく普通のカツカレーを頂きましたが、美味しかったです。

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昼食後、まず三ツ倉に。


その後は、本通り(国道185号線)を南下し、旧鎮守府などを経由して「歴史の見える丘」へ。

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丘からは大和を建造したドックなどが見渡せますが、あいにくの天気で視界はかなり悪い。

すずさんが右手を失ったのはこのあたりなんだなあなどと思いをはせながら、しばし景色を眺めます。


その後病院の階段脇も通って駅前に戻り自転車を返却、14時15分ごろに呉駅を出発しました。(つづく)