鷺の停車場

映画、本、グルメ、クラシック音楽、日常のできごとなどを気ままに書いています

柏担々麺@柏

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柏駅近くの柏担々麺に行ってみました。

お店は柏駅東口を出て250mほど進み、旧水戸街道(県道51号線(市川柏線))を右に曲がって300mちょっと歩いたところにあるファミリーマートの向かい。

少し前まで、つけ麺がメインのGOODMEN(グッドメン)があった場所に、この4月にオープンしたばかりのお店。

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店頭にあった看板。担々麺が、白ごま、黒ゴマ、赤ゆず胡麻、汁なしの4種類と、ゆず塩麺というのが基本メニューのようです。

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お店に入ってすぐの食券販売機で食券を購入して席につくスタイル。担々麺はいずれも辛さが、控えめ、普通、辛めの3段階から選べます。

店内はカウンター8席と2人掛けテーブルが2卓というこじんまりした感じ。

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卓上には青山椒、赤山椒、ゴマ、お酢、ラー油が並んでいます。

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白ごま担々麺(880円)の辛め。まずスープを一口味わってから、写真右側のごまペーストを混ぜて味の変化をお楽しみくださいとのこと。それに従って、まずスープをすすってみると、かなり酸味が立っています。ごまペーストを溶いてみると、少しは酸っぱさが和らぐものの、それでもけっこうな酸味で、もともと酸っぱい料理が苦手な私には辛い味。酸味を除けば悪くない味のように思えて、食べ進みながら、卓上のごまや山椒を追加で振りかけて調整を試みましたが、山椒にはこだわりがあるようで、山椒はピリッといい味だったものの、酸味にはさほどの変化はありませんでした。

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連れが食べたゆず塩麺大盛り(980円)。こちらもゆずの酸味が強めな味でした。

酸っぱいものが苦手ではない連れにはいい味だったようで、別のメニューも試してみたいとの反応。私のように酸っぱいものが苦手でなければ、いいお店なのかもしれません。

 

◎柏担々麺
千葉県柏市中央町5-14 カワシマビル1F(Tel:04-7170-0917)
営業時間:11:30~14:30/18:00~22:00(ラストオーダー各15分前)
定休日:月曜(祝日の場合は火曜)

映画「今日も嫌がらせ弁当」を観る

映画「今日も嫌がらせ弁当」(6月28日(金)公開)を観ました。

全国244館で公開されたこの作品、しばらく観ようか迷っていたのですが、上映も次第に減ってきて、家族が別の映画に行くときに同時間帯にやっていたので、送迎を兼ねて観ることにしました。
行ったのはTOHOシネマズ流山おおたかの森

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休日の昼前、ロビーはけっこう賑わっています。

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上映は106席のスクリーン10。中に入ると6~7割くらいの入り。予想より多い入り。

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(チラシの表裏)

 公式サイトに掲載されている作品情報によると、

シングルマザーのかおりは、自然と人情が豊かな八丈島で、次女の双葉と暮らしている。可愛い娘が高校生となり反抗期に突入、話しかけても返事すらしない。かおりは娘の嫌がる“キャラ弁”を作り続けて逆襲するが、やがてそのお弁当は、母から娘への大切なメッセージへと変わっていく。
娘もまた「ウザい」とぼやきながらも、何かを受け取るように一口も残さず食べ続ける。

というあらすじ。

ブログで有名になったエピソードを映画化した作品、監督は『ぼくたちと駐在さんの700日戦争』の塚本連平とのことですが、私は初めて。

キャストは、母のかおりは篠原涼子、娘の双葉は芳根京子。双葉の姉の若葉に松井玲奈、双葉の幼なじみの山下達雄に佐藤寛太、亡きかおりの夫の島次郎に岡田義徳、都内でかおりのブログを見てキャラ弁作りを始めるシングルファザーの岡野信介に佐藤隆太など。

コメディ的な要素も盛り込みながら、うまくまとめた作品というのが率直な感想。

エンドロールが出掛かって、えっ、ここで終わるの?と思ったら終わらないのが2回も出てきたり、親子のウザい関係のオーバーな演技など、演出に遊び要素が盛り込まれているのは、評価が分かれるところかもしれませんが、おそらく、シリアスに作っていたら、変化に乏しくなって、ここまで響かなかったかもしれないなあという気がします。

幼稚園に通う息子にキャラ弁を作り始める東京のシングルファザーとの交流の話などは、実話ではないのかもしれませんが、メインのストーリーが一本道で、先の展開も読めてしまうので、ストーリーに変化を付ける狙いがあったのでしょう。

遊びの部分とシリアスな部分のギャップが、感動をより大きくした要素もあったと思います。展開に予想が付いていても、泣かされてしまう場面がいくつもありました。 

ところで、シングルマザーと反抗期を迎えた次女との対立と和解が作品のテーマですが、明るく、よくできた長女が実は凄い。こういうお姉さんがいるから、2人は安心して?対立できたのかも、と思いました。

カルロ・ゼン「幼女戦記」第10巻 "Viribus Unitis"

カルロ・ゼン著の小説「幼女戦記」、しばらく間が空きましたが、第10巻を読んでみました。

幼女戦記 10 Viribus Unitis

幼女戦記 10 Viribus Unitis

 

物的・人的資源の量的な差から、客観的には、敗北は時間の問題となってきた帝国軍。その中で、最適解を見い出そうとするルーデルドルフやゼートゥーア。レルゲンはルーデルドルフの命を受けイルドアとの交渉に活路を求め、ターニャは参謀本部直属の部隊として、ルーデルドルフやゼートゥーアの命の下、各地の重要な作戦に投入され、その高い能力をいかんなく発揮するが、帝国の将来に、自分の身の振り方を考え始める。

 

これまでと同様、あらすじ紹介を兼ねて、時期が明示されている場面を列挙してみます。

(以下は統一暦。小説の登場順)

第零章:プロローグ

1927年07月25日 帝都:ターニャは、軍、官僚、政治の3つの頭がバラバラの目標を追求するキメラ状態の現状に、転職の意を固くする。

第一章:青写真

1927年07月26日 帝都、帝国軍参謀本部:レルゲン大佐が外務省のコンラート参事官と会談。コンラートは軍のこれまでの対外的な説明不足を指摘しつつ、出口戦略に向け軍と行政が協力しようと呼びかける。

同日 参謀本部作戦局―参謀次長室:コンラートとの会談結果をルーデルドルフ中将に報告するレルゲン。ルーデルドルフはコンラート参事官と密接に連携するようレルゲンに命ずる。
 昼食後、自分の執務室に戻ったレルゲンをターニャが訪れる。レルゲンは、ルーデルドルフからの機密文書をゼートゥーア中将に届けた後、西方のロメール中将の下に行ってもらうとターニャに伝える。

同日 帝国軍参謀本部 晩餐室:ロメールは満員御礼の晩餐室に、状況の変化を実感し、ルーデルドルフの執務室に向かう。ルーデルドルフは、ゼートゥーアに機密文書を搬送させるため、ターニャの着任はロメールの希望よりも遅れると伝える。

第二章:詐欺師

1927年07年29日 東部戦線:緩やかな後退を繰り返すゼートゥーアの采配に困惑する将校たち。

同日 東部方面軍『査閲官』執務室:ゼートゥーアは自分の執務室で、後退を続けながら種を蒔いている今後の作戦に思いをめぐらせる。そこに中央からの公用史としてターニャが訪れ、ルーデルドルフからの封緘書類2通を手渡す。ゼートゥーアは東部戦線の状況についてターニャの見解を求める。そこにゼートゥーアの極めてラディカルな戦略再配置を読み取るターニャだが、次の手を問われてターニャが出した作戦案は戦況に釣られたもので、ゼートゥーアは自分の考える戦略的奇襲の手応えを感じる。ゼートゥーアが地図の1点を示すと、瞬時にその意図を理解するターニャは、その作戦のための陽動を命ぜられる。ゼートゥーアはターニャに帝国軍前線の戦意についての極秘報告書を読ませる。6割が勝利に懐疑的というその内容に、ゼートゥーアは成功体験の必要性を語る。

1927年07年31日 連邦領 多国籍義勇軍駐屯地:連邦軍のミケル大佐付き政治将校から届けられた機密書類を読むドレイク中佐。そこには、ゼートゥーアのお茶の好みまで帝国軍の敵情が赤裸々に描かれ、そして、帝国軍の意図をほぼ分析し終えていた。その翌日、ドレイク中佐は予想通りに帝国軍と会敵する。

1927年08月01日 東部—多国籍義勇軍警戒空域:連邦軍の分析どおり、ラインの悪魔が現れる。ゼートゥーアが意図的に形成した突出部は罠で、連邦軍の脆弱な連絡線を狙っていると確信するドレイクは、どこか臭いと感じつつ、ミケル大佐たちと迎撃に向かう。高度一万まで上昇するターニャに、限界高度差を感じるドレイクだが、スー中尉が迎撃に向かう。ターニャはペアのヴィーシャとともに、タイミングを見計らって降下して攻撃に向かう。多国籍軍は大きな被害を受け、ドレイクもターニャに攻撃され、仕留められかけるが、かろうじて踏みとどまり、自爆覚悟の爆裂術式を発動する。最大速度で突っ切って戦列を離れる2人だったが、それを追いかけるスーが莫大な魔力で長距離術式で攻撃してくる。かろうじてそれを回避するターニャは、さらに空間座標爆破を繰り出すスーに、それを利用して敵軍を誤爆させようと考える。

同日 東部戦線連邦軍:ゼートゥーアの狙いを分析し、突出部の連絡線に万全の予備隊を配置していた連邦軍は、ラインの悪魔の登場に、リベンジの期待に希望を募らせる。

同日 帝国軍東部方面軍仮設司令部:ゼートゥーアの敵連絡線ではなく敵主戦線への進撃の命令に当惑する将校たち。そこにターニャから敵の誘導に成功との報告が入る。連邦軍が交通の要衝に設けた拠点に突っ込む想定外のゼートゥーアの作戦に、突破される連邦軍

第三章:上司

1927年08月11日 西方帝国軍司令部:東部戦線を離れ、西部戦線に向かうターニャ。司令部に着任し挨拶するも、ロメール以下の高級官僚は、視察旅行で不在だった。そこに、ロメールから移動司令部への出頭命令が下る。
 出頭したターニャに、ロメールは海路からの連合王国本土強襲の作戦を聞かされる。防御のための策源地強襲を主張するロメールに、成算を危ぶむターニャ。動かねば緩慢な死あるのみ、と言うロメールに、交戦国相手に自分の顔が見える形で実績を上げることは、転職に役立つと考え直し、作戦に同意したターニャは、本国の許可を得るため、参謀本部に派遣されることになる。

1927年08月14日 連合王国—郊外:情報部のハーバーグラムのもとに出頭したドレイク中佐は、まず、スーの誤射について説明を求められる。地上の連邦軍は連隊長級を含め甚大な被害を受けたのだ。そして、ドレイクは、スー中尉など一部要員を外すべきと進言する。
 ドレイクが去った後、ラインの悪魔の部隊が西方展開中との帝国軍の暗号を解読した情報と、ターニャと会敵したというドレイクの報告の矛盾に頭を悩ませるハーバーグラム。暗号解読の精度を疑うハーバーグラムだが、情報部の暗号解読には異常はなかった。

第四章:価値証明

1927年08月14日 帝都:作戦案を携えて参謀本部のレルゲン大佐を訪れたターニャは、レルゲンに外務省に連れていかれる。レルゲンの案内でコンラート参事官の執務室を訪れたターニャは、戦争に勝てますか?とのコンラートの問いに、ターニャは、無理です、不可能と断言してもよろしい、と吐き捨てる。その言葉を疑うコンラートに、戦術的勝利によって戦略的劣勢による破綻を先延ばししているにすぎないと断言するターニャ。その意を理解したコンラートは、「講和のための戦争」を求める。
 その帰路、作戦案をレルゲンを押し付けたターニャだが、作戦案は快諾され、レルゲンの実務力で陸海双方を承認させ、決裁にたどり着く。

1927年08月16日 西方方面軍司令部:ロメールの下に戻ったターニャは、決裁を受けた「ドアノッカー作戦」の詳細を知らされ、第二〇三航空魔導大隊に夜間の海峡上空での航空優勢確保を命ぜられる。

1927年08月17日午前1時 第二〇三航空魔導大隊駐屯地:ターニャは部隊員に2週間にわたる作戦の概要を告げる。

同日—海峡上空:海峡哨戒部隊の管制に当たる連合王国航空管制官らはターニャたちの強襲に、即応待機中の部隊を出撃させるが、サウス遊撃管制を破壊される。

第五章:帝国式ドアノッカー

1927年08月25日 連合王国首都某所―ホテルラウンジ:ドレイク中佐はミスター・ジョンソンに、近く本土に来るラインの悪魔を迎撃するよう命ぜられる。

1927年08年26日 連合王国本国:ドレイクに一個航空海兵魔導旅団が用意される。数日の待機の後、情報どおり帝国軍が来襲する。

1927年08月31日 海峡上空:出撃したターニャは、待ち構える連合王国軍に、帝国軍の暗号が確実に解読されていると確信する。同時に出撃した海軍はそれを見て撤退していくが、ターニャは敵の旅団規模の海兵魔導部隊を挑発して統制を乱し、第二〇三航空魔導大隊は練度の低い海兵魔導部隊に壊滅的な被害を与える。

同日 反対側:予備部隊として待機するドレイク中佐は味方が解体されていく様を見て、戦闘の緊急加入を指揮官に要請する。しかし、その指揮官も撃墜され、ドレイクは出撃し指揮権を継承して部隊を率い、第二〇三航空魔導大隊を追撃する。

同日 第二〇三航空魔導大隊:ドレイク率いる精鋭中隊の来襲に意表を突かれるターニャだったが、態勢を立て直し迎撃する。指揮官同士の一騎打ちも辛うじて制し、ターニャたちは引き上げる。

同日―帝国軍西方方面軍司令部:ロメールは作戦の失敗に苛立ちをぶつけ、報告書を読んで連合王国側に情報が漏洩していることを確信する。そこに乗り込んできたターニャとロメールは、暗号が解読されているとの見解で一致する。

第六章:砂時計

1927年09月02日 帝都—参謀本部:今後の作戦について思いをめぐらし、最悪を想定した予備計画について考えるルーデルドルフ。ロメールからは暗号が破られているとの警告も来ていた。形式的な同盟国であるイルドア王国がカギとなっている現状に、イルドアは放置できない、愚策であることは元より承知だが、時間がそれを求めるのであれば、やらねばならんと考えるのだった。
 一方のゼートゥーアは、連邦との戦略的次元でのどうにもならない差に、祖国の未来がこぼれて落ちていく砂時計としか見えない。離れた東部にいるゼートゥーアは、ルーデルドルフが何をするか分からない感覚を抱く。
 その頃、西方占領地域にいるターニャは、ロメールの作戦の頓挫で手すきになった隙に、久しぶりの休暇をとり、ヴィーシャと優雅なティータイムを過ごしながら、戦争の現状に思いをめぐらす。
 そして、レルゲンは、ルーデルドルフから帝都における対叛乱計画の予備計画を示され、問題は時間だ、と告げられる。その帰り、ウーガ中佐の執務室に行くと、机に向かったまま寝入っているウーガが、イルドア侵攻のための機密機動計画のダイヤ編成を秘密裏に検討していることを知り、ルーデルドルフは交渉がタイムリミットまでに成立しなければイルドア侵攻を実行するつもりなのだと悟る。

 

副題の"Viribus Unitis"(ヴィリブス・ウニーティス)とは、「力を合わせて」といった意味のラテン語だそうです。

著者のあとがきによれば、本巻は、帝国という国家の断末魔へ向けた起承転結の起に当たる部分だそう。これまでバラバラだった軍と外務省が、実質的な勝利を断念して、講和という現実的な目標に軌道修正して、無事ソフトランディングできるのか。袋小路に入ったような重苦しい展開ですが、この先に多少なりとも希望のある結末が待っているのか、気になるところです。