鷺の停車場

映画、本、グルメ、クラシック音楽、日常のできごとなどを気ままに書いています

最古のレクイエム(オケゲム)を聴く

f:id:Reiherbahnhof:20170510212437j:plain

オケゲム
「レクイエム(死者のためのミサ曲)」
「ミサ・プレスク・トランジ(ミサ・ミ・ミ)」
 ヒリヤード・アンサンブル
(録音:1984年1月17~19日・ロンドン)

先に紹介したペルト「アルボス」でのヒリヤード・アンサンブルの素晴らしさに惹かれ買ったCD。

現行盤はこちら。

The Hilliard Ensemble

The Hilliard Ensemble

 

 時代はずっと遡って15世紀、オケゲムのミサ曲。
ルネサンス期フランドル学派初期の代表格で、「レクイエム」は現存する数あるレクイエムで最古のポリフォニー・レクイエムとのこと。
ミサ曲2曲とも、オーケストラ伴奏などはなく、声楽のみのシンプルな編成。
当時もうパイプオルガンはあったはずですが、それすら使われていないのは、この時代のミサの様式なのか、オルガンがまだそこまで広くは普及してなかったのか、改めて考えるとちょっと不思議です。

レクイエムは、冒頭~オッフェルトリウムまでの5曲が作曲され、その先はグレゴリオ聖歌を歌う形になっています。
優しくいたわるような音楽。
劇的な展開とは無縁、透明な落ち着いた響きで、心を平穏に鎮めていきます。
ヒリヤード・アンサンブルの演奏もとても精緻で、絶えず美しい純正律のハーモニーが響いていると言ってもいいくらい。

もう一曲の「ミサ・プレスク・トランジ」は、解説を見ると、レクイエムよりも有名な作品のようで、比較すれば、音楽のつくりがより自由になっているような印象です。