鷺の停車場

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ヒンデミット:弦楽と金管のための演奏会用音楽ほか

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1.ヒンデミット:弦楽と金管のための演奏会用音楽op.50[1930]
2.ヒンデミット:デア・シュヴァネントレーアー(白鳥を焼く男)[1935]
3.ヒンデミット組曲「気高き幻想」[1938]
ヘルベルト・ブロムシュテット指揮サンフランシスコ交響楽団
(録音 1・2:1991年5月30~31日・3:1989年6月2日、サンフランシスコ)

1はバルトークのオケコンと同様、クーゼヴィツキーの依頼で書かれたもの。
曲名どおり、Hr・Tp4、Tb3、Tu1の金管とVn、Va、Vc、Cbの弦4部(Vnは通常の編成と異なり第1Vn・第2Vnには分かれていない)という編成。力動感のある即物的な表現が主体で、構築性の高い曲という印象。生で聞いたことはありませんが、タイトルどおりコンサート映えしそうな、個人的には大好きな曲の1つ。嬰ハ短調で始まり、変ニ長調で終わるという、主音がド#(=レ♭)と弦楽にとっても金管にとってもやりにくいキーにしたのは、どういう狙いだったのでしょうか?
2はヴィオラ協奏曲。ドイツの古い民謡を題材にしているようで、編成もあるのか、彼の作品としては牧歌的な雰囲気が強く、聴いていて楽しめます。
3はバレエ音楽からアレンジされた3曲からなる組曲。元のバレエはアッシジのフランチェスコの生涯を題材にしたものだそうで、そう思って聴くからか、前2曲と比べて宗教的な雰囲気を感じます。
年代が後になるほどいわゆる「分かりやすい」曲に聞こえるのは当時の新古典主義の影響なんでしょうか。

演奏も、生き生きとしながらも端正な仕上がりで、ブロムシュテットの良さが十分に発揮された演奏。

なお、ブロムシュテットは、この録音の前に同じサンフランシスコ響と「画家マチス」、「ウェーバーの主題による交響的変容」などを、この録音の後にはカペルマイスターに就任したゲヴァントハウス管と「シンフォニア・セレナ」、「世界の調和」を録音しており、いずれも好演ですが、現在では「画家マチス」ほかの1枚以外は、入手しにくいかも。

Hindemith;Nobilissima Visio

Hindemith;Nobilissima Visio