鷺の停車場

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ラヴェル:ヴァイオリンとチェロのためのソナタほか

先日のメシアンに続いてフランスものをもう1つ。
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1.ラヴェル:序奏とアレグロ[1905]
(ハープ、弦楽四重奏、フルートとクラリネットのための)
2.ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ[1899]
(フルートとハープのための:クィント・マガニーニ編)
3.ラヴェル:ヴァイオリンとチェロのためのソナタ[1922]
4.ドビュッシー:シランクス(独奏フルートのための)[1912]
5.ドビュッシー:フルート、ヴィオラとハープのためのソナタ[1915]
6.ドビュッシー:ビリティスの歌(朗読、2本のフルート、2台のハープとチェレスタのための)[1901]
アンサンブル・ウィーン=ベルリン
1・2・5・6:マルギット=アンナ・ジュス(ハープ)
1・3:ゲルハルト・ヘッツェル(ヴァイオリン)、ゲオルク・ファウスト(チェロ)
1・5:ヴォルフラム・クリスト(ヴィオラ
1・2・4・5:ヴォルフガンク・シュルツ(フルート)
1:ライナー・ホーネック(ヴァイオリン)、カール・ライスタークラリネット
6:カトリーヌ・ドヌーヴ(朗読)、ハンス・ヴォルフガンク・デュンシェーデ(フルート)、エーデルハイト・ブロフスキ=ミラー(ハープ)、ロルフ・ケーネン(チェレスタ

(録音:1989年8月、アーバーゼー)

元々は木管五重奏のアンサンブル・ウィーン=ベルリンですが、メンバーを拡大してラヴェルドビュッシーの珍しい編成の室内楽曲を集めたCD。
アメンバーはフルートのシュルツ(ウィーン・フィル(当時。以下も同様))とクラリネットのライスター(ベルリン・フィル)のみ。
ヴァイオリンの2人はウィーン・フィルヴィオラとチェロはベルリン・フィルのそれぞれ首席級、フルートのデュンシェーデはベルリン・フィル、ハープのジュスもベルリン・フィルの常連客演と、拡大メンバーもウィーン、ベルリンに縁のある名手で固められています。
教会での録音ということもあるのか、冒頭から立ち上るふくよかな雰囲気に魅了されます。
大女優カトリーヌ・ドヌーヴが加わった「ビリティスの歌」がアルバムのメインなのでしょうが、個人的に好きなのは弦楽器が入った1・3・5とフルート独奏の4。特に好きなのが3のラヴェル
彼の作品としては晩年といっていい、有名な曲でいうとラ・ヴァルス(1920)とツィガーヌ(1924)の間に書かれた作品。
ヴァイオリンとチェロのみのシンプルな編成、ラヴェルらしい引き締まった音楽の中で、出張ったり引っ込んだりの変化が鮮やかです。とりわけチェロのファウストの受けの上手さは特筆もの。フランス的な華美さ・自由さというより、有機的なアンサンブルに重きをおいたしっとりした演奏という感じですが、その求心力もこの曲の内向的な雰囲気にとても合っています。
4のシランクスもいい曲。私はこの録音しか持ってませんが、伝統的なフランス風の演奏※とは違うのかもしれませんが、いい演奏です。
ドビュッシーの「牧神の午後への前奏曲」など、フランスのオケのフルートは、あまりヴィブラートをかけずに演奏するのが伝統的と聞いたことがあるので(誤りかもしれません)、この曲も本来はそういう演奏をイメージしていたのかもと思ったりします。