鷺の停車場

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ビゼー:交響曲ハ長調ほか

先日のプーランクに続いて、マルティノンが振ったフランスものをもう1つ。
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◯マルティノン・フランス音楽名演集
(CD1)
1.ビゼー交響曲ハ長調[1855]
2.ビゼー:「アルルの女」第1組曲[1872]
3.ビゼー:「アルルの女」第2組曲[1872/79]
4.ラヴェル:道化師の朝の歌[1918]
5.マスネ:タイスの瞑想曲[1894]
(CD2)
6.ラヴェル:スペイン狂詩曲[1907]
7.ラヴェル:「マ・メール・ロア組曲[1911]
8.ラヴェル:序奏とアレグロ[1905]
9.ラヴェル:「ダフニスとクロエ」第2組曲[1913]
10.ルーセル:「バッカスとアリアーヌ」第2組曲[1930]
ジャン・マルティノン指揮シカゴ交響楽団
(録音 1・4・6・7:1968年4月11日、2・3:1967年4月26日、5:1966年12月3日、8:1968年5月13日、9:1964年11月28日、10:1964年12月1日・シカゴ)

マルティノンが1963年から5年間音楽監督を務めていたシカゴ響との録音。
シカゴ響とマルティノンの時代は評価が良くありません。アメリカのメジャーオケの中で比較すればドイツものに強いイメージのオケですし、前任のフリッツ・ライナーとのレパートリーやタイプの違いが当時のシカゴではあまり評価されなかったのでしょう。
その後、マルティノンはフランスに戻ってフランス国立(放送)管の音楽監督に就き、シカゴ響はライナーと同じハンガリー出身のショルティを迎え、それぞれ一時代を築きますので、今や抹殺された歴史のようです。
でも、残る録音を実際に聴いてみると、一般に黄金時代とされるライナーやショルティの録音とは確かに雰囲気が違うので、一般的なシカゴ響のイメージとはズレますが、演奏そのものの質は高いです。録音データから、基本はワンテイクで、事後的な細部のミス修正などはしていないと思われますが、アンサンブルも精緻ですし、もっと評価されていいように思います。

さて、ビゼー交響曲は、彼の生前に発表・演奏されることはなく、1930年代に「発掘」されたもの。今でいえば高校生に当たる年頃で、こんなに魅力的な曲を生み出すなんて、やっぱり天才です。
10代で作曲された交響曲としては、モーツァルトの~30番、シューベルトの~5番、メンデルスゾーンショスタコーヴィチの1番などがありますが、これらと比べても優れた作品。
演奏も、若々しく爽やかな雰囲気でありつつ、オケの優れた機能性が十分に発揮されたキリっとした演奏で、聴いていて気持ちがいい。
アルルの女」はマルティノンの他の録音は他には出回ってないようで、おそらく今普通に聴くことができる唯一の録音だろうと思います。この曲の録音だけは盛り上がった部分の音が飽和してしまっているのがちょっと残念ですが、交響曲と同様に、キリっとした雰囲気が魅力的。
ラヴェルの作品は、その後EMIで録音したパリ管との管弦楽曲集が有名ですが、序奏とアレグロは、本来の弦楽四重奏の伴奏を小編成の弦楽合奏で演奏しているようで、おそらくマルティノン唯一の録音だろうと思われます。その他の曲も、確かにフランス的な色彩や雰囲気はパリ管の録音に一歩譲りますが、尖りすぎず柔らかさを残しながらキビキビとした演奏で、全体の構成・バランスなどはむしろ後年の録音よりも優れているのではないかと思います。パリ管との録音では、マ・メール・ロアやダフニスとクロエは全曲盤になっていますので、組曲版での録音という意味でも貴重ではないでしょうか。

本盤はもう廃盤となっていますが、輸入盤では、マルティノンのシカゴ響時代の録音をまとめたセット版が出ているようです。

Jean Martinon: Chicago Symphony Orchestra - The Complete Recordings

Jean Martinon: Chicago Symphony Orchestra - The Complete Recordings