鷺の停車場

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フォーレ「レクイエム」

久しぶりにクラシック音楽のCDを。

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フォーレ:レクイエム Op.48[1888/1900]
ルチア・ポップ(sop)、サイモン・エステス(bas)、ライプツィヒ放送合唱団
コリン・デイヴィス指揮ドレスデン・シュターツカペレ
(録音 1984年11月ドレスデン、ルカ教会) 

フォーレのレクイエムは、モーツァルトヴェルディと並んで三大レクイエムと言われることがあるようです。何かにつけ「三大〇〇」と言いたがる日本人ならではのネーミングですが(運命、未完成、新世界で三大交響曲と言ってファミリー向けのコンサートをやったりしてますし)、この作品は一般には他の2つと比べれば知名度はやや低いように思いますし、規模もより小さめです。

曲は、1.イントロイトとキリエ、2.オッフェルトリエ、3.サンクトゥス、4.ピエ・イェズ、5.アニュス・デイ、6.リベラ・メ、7.イン・パラディスム、の7曲で構成されており、通常のレクイエムでは必ずあるディエス・イレ(怒りの日)がない、といったように、伝統的な構成とはいくぶん相違があります。

編成も、独唱は2人、オーボエは用いられておらず、また、ヴァイオリンも7曲中4曲では出番がなく、他の管楽器も出番が少ないなど、やや小さめの編成であり、総じてヴィオラやチェロが大きな役割を担っています。
早めのテンポで畳み掛けるような激しい部分はなく、全体的を通じて、優しさに満ちた敬虔な祈りという印象を受けます。(初演当時はその斬新さが批判されたりもしたようですが)
もちろん、一本調子というわけではなく、例えば6曲目の中間部のように、音楽が高揚する部分も効果的に配置されており、だからこそ数あるレクイエムの中でも名曲とされていると言えます。個人的には、レクイエムとしてはあまりに劇的なヴェルディよりも好みです。

このデイヴィス盤は、まだドイツ統一前の東ドイツ時代のドレスデン・シュターツカペレとライプツィヒ放送合唱団の演奏。協会での録音ということで、全体にまろやかで、細部の鮮明さよりも美しく響きをとらえた録音。オケがゴツゴツすることもなく、合唱も見事によくまとまっていて、フランスものにしては…という類いの違和感は全く感じることはありません。様々な名盤がある中で飛び抜けた演奏とまでは言えないとしても、個人的には好きな演奏。今や新品での入手は難しくなりつつあるようですが…

 手元にある他の演奏も、ちょっと聴き比べてみました。

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フォーレ
1.レクイエム Op.48[1888/1900]
シュザンヌ・ダンコ(sop)、ジェラール・スゼー(bar)、トゥール・ド・ペイルス合唱団
2.組曲ペレアスとメリザンド」Op.80[1900]
3.歌劇「ペネロープ」より前奏曲[1912]
4.組曲「マスクとベルガマスク」Op.112[1919]
エルネスト・アンセルメ指揮スイス・ロマンド管弦楽団
(録音 1955年10月[1]・1961年2月[2-4]ジュネーヴ、ヴィクトリアホール) 

Faure: Requiem Pelleas Et Melisande-Incidental Mus

Faure: Requiem Pelleas Et Melisande-Incidental Mus

 

レクイエムはステレオ最初期の録音。
アンセルメの録音というと、昔キングレコードから出ていたLondonのシリーズの、CD化の際のリマスターのせいか、オケの響きが薄っぺらい演奏というイメージが強かったのですが、発売元がユニバーサル・ミュージックに替わったためか、響きの薄っぺらさは少なくなり、バランスよく聴ける録音になっています。

演奏もいい部分もある一方、録音が古いこともあってか、合唱の粗さ、バランスの悪さが気になる部分もあるので、たまに聴くのはいいのですが、愛聴盤には向かないかなあという印象。

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フォーレ:レクイエム Op.48[1888/1900]
ヴィクトリア・デ・ロス・アンヘレス(sop)、ディートリッヒ・フィッシャー=ディスカウ(bar)、エリザベート・ブラッスール合唱団
アンドレ・クリュイタンス指揮パリ音楽院管弦楽団
(録音 1962年2月14-15日・5月25-26日パリ、サン=ロシュ教会) 

フォーレ:レクイエム≪クラシック・マスターズ≫

フォーレ:レクイエム≪クラシック・マスターズ≫

 

現在の相場は分かりませんが、少なくとも2~30年前はこの曲の代表盤とされていた演奏。インターナショナル化が進む以前の在りし日のフランスのいいオケの音・響きを残した名演という意味では、随一の録音と言えるでしょう。独唱もおそらく当時EMIと録音していた中で最上級の歌手を揃えたのでしょう。改めて聴くと合唱の粗さが気になる部分もありますし、現代の録音のようなきめの細かさはありませんが、全体としては、やはりいい演奏です。

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1.フォーレ:レクイエム Op.48[1888/1900]
キャスリーン・バトル(sop)、アンドレアス・シュミット(bar)、フィルハーモニア合唱団
2.ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ[1899/1910]
3.ラヴェル組曲マ・メール・ロア」[1911]
カルロ・マリア・ジュリーニ指揮フィルハーモニア管弦楽団[1-2]、ロサンゼルス・フィルハーモニー管弦楽団[3]
(録音 1986年3月ロンドン[1-2]、1979年11月ロサンゼルス) 

Faure: Requiem

Faure: Requiem

  • アーティスト: Philharmonia Orchestra,Andreas Schmidt,Gabriel Fauré,Carlo Maria Giulini,Seiji Ozawa,Philharmonia Chorus,Boston Symphony Orchestra,Kathleen Battle,Tanglewood Festival Chorus
  • 出版社/メーカー: Dg Imports
  • 発売日: 2005/12/13
  • メディア: CD
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時期的には、最初のデイヴィス盤とほぼ同時期の録音。
ジュリーニは、1980年ごろ以降の、ドイツ・グラモフォンとの録音をいくつか聴く限りでは、比較的遅めのテンポを採ることが多かったように思います(同時期のバーンスタインほど極端ではありませんが)。
この録音も、全体で42分強と、上の3枚よりも2分以上、アンセルメと比べると5分近く長くなっていますが、ゆったりとしてはいるものの、音楽が弛緩しているような印象はほとんどなく、着実に歩みを進めるように感じられます。オケや合唱もよくまとまっています。個人的には、オルガンの響きがちょっと好みに合わないところもありますが、優れた演奏の1つといえようかと思います。

この他にもいくつか聴いたことがある録音はありますが、紹介はこのくらいで。
ほかに優れた演奏も少なからずあるようですので、機会を見つけて、それらの演奏も聴いてみたいと思います。