鷺の停車場

映画、本、グルメ、クラシック音楽、日常のできごとなどを気ままに書いています

ひるね姫

アニメ映画「ひるね姫」(2017年3月18日(土)公開)をBlu-rayを借りて観ました。

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昨年2月ごろだったか、他の映画を観に行った際に何度か予告編を目にしていたのですが、行こうか迷っているうちに上映がほぼ終わってしまい、観る機会を逸していました。

公式HPでは、次のようにストーリーが紹介されています。

「2020年夏 東京オリンピックの3日前、私の家族に事件が起きた。

すべてを知るために、私は眠る。

岡山県倉敷市で父親と二人暮らしをしている森川ココネ。何の取り得も無い平凡な女子高生の彼女は、ついつい居眠りばかり。そんな彼女は最近、不思議なことに同じ夢ばかり見るようになる。
進路のこと、友達のこと、家族のこと…考えなければいけないことがたくさんある彼女は寝てばかりもいられない。無口で無愛想なココネの父親は、そんな彼女の様子を知ってか知らずか、自動車の改造にばかり明け暮れている。
2020年、東京オリンピックの3日前。突然父親が警察に逮捕され東京に連行される。どうしようもない父親ではあるが、そこまでの悪事を働いたとはどうしても思えない。ココネは次々と浮かび上がる謎を解決しようと、おさななじみの大学生モリオを連れて東京に向かう決意をする。その途上、彼女はいつも自分が見ている夢にこそ、事態を解決する鍵があることに気づく。
ココネは夢と現実をまたいだ不思議な旅に出る。その大きな冒険の末に見つけた、小さな真実とは…。」

最近の作品ですので、これ以上のあらすじの紹介は控えますが、ココネが夢で見るハートランド王国の王女エンシェンの物語と、ココネの現実の物語が絡み合い、シンクロしながら、困難を乗り越え、大団円に至るストーリー。

監督の神山健治さんは私は初めて知りました。広告文で紹介されている諸作品を観たことがないので、当然のことなのですが。

ウェブでのレビューにもありましたが、現実と夢の世界の転換は突然に、しかも、背景はそのままに、人物の衣装の変化だけで起きるので、ながら鑑賞だと、ちょっと他のことをしているうちにどっちの世界か分からなくなってしまい、置いてけぼりになってしまうと思います。同時期に話題になった「君の名は。」との類似点の指摘も目にしましたが、「君の名は。」は男女の物語であるのに対し、この映画は親子の物語といえ、近似が全くないとまでは言いませんが、普通に観れば、ほとんど違う物語だろうと思います。個人的にはむしろ、描画の直接の近似はありませんが、「天空の城ラピュタ」との類似点をより強く感じました。

観ていてちょっと不満に思ったのは、物語の設定が特異であるのにかかわらず、その背景の説明がほとんどないこと。そのために、その設定自体の必然性というか、説得力が弱くなっているように感じました。例えば、夢の世界で暗示されるものの、ココネの母親がどうして亡くなったのかは明らかにされませんし、普通には結びつく機会もないような父親と母親が知り合い、結婚した経緯も同様です(こちらの方が、エンディングルの背景に流れる回顧風のアニメで、何となく周辺を描いていますが、直接に触れられることはありません)。

個人的には好感を持って観れる映画だったので、こういう伏線が、説明し過ぎない程度に本編を観ていて腑に落ちるように描かれていれば、もっと説得的な映画になったような気がします。