鷺の停車場

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映画「かぐや姫の物語」

日本テレビの「金曜ロードショー」で、高畑勲監督の最後の監督作品である「かぐや姫の物語」(2013年11月23日(土)公開)を観ました。  

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ご存知のとおり、昔話の竹取物語を基に映画化した作品。

紹介するまでもありませんが、大まかなあらすじは次のようなもの。 

昔々あるところに、光り輝く竹を見つけた翁が竹を切ると、その中から小さく美しい姫君が現れた。翁と媼に育てられた姫は、近所の子供たちのリーダー的存在の捨丸らから「たけのこ」と呼ばれ、野山を駆け回って育っていく。

ある日、翁の前に再び光り輝く竹が現れ、大量の小判と美しい衣装を手にした翁は、この衣装に見合う娘に姫を育てようと都への移住を決める。都に引っ越した姫は教育係の相模の下で、「高貴の姫君」にふさわしい教養や振る舞いを教えられるが、相模の言いつけを無視し、自分らしく自由に振る舞い続ける姫を媼は温かく見守る。

大人になった姫は斎部秋田に「なよたけのかぐや姫」と命名され、披露の宴が盛大に開かれるが、華やかな衣装に身を包んで御簾の中に座っているだけなのに嫌気がさした姫は故郷の山に走る。山に住む炭焼きの老人から、捨丸たちがこの地を後にしたと聞き絶望し、人が変わったように翁の望む「姫君」として振る舞い始める。

次の春、5人の公達(車持皇子・石作皇子・阿部右大臣・大伴大納言・石上中納言)が揃って求婚に訪れる。姫を珍しい宝物に例えて称える公達に対し、姫はその宝物を持参するよう求める。数年後、宝物を持参したと公達が現れるが、贋物だったり、巧言を弄したことがバレてしまう。そんな中、宝物を得るために石上中納言が亡くなったと聞いた姫は自らを責めるが、今度は御門がかぐや姫に興味を示し、お忍びで屋敷を訪れ、姫を抱きすくめて連れて行こうとする。その瞬間、姫の姿はかき消え、驚いた御門は御所へ引き上げる。

それ以来、姫は月夜に1人で空を見上げるようになった。翁と媼が問うと、15日に月から迎えが来ると語る。姫の幸せだけを願ってきたと言う翁に、姫は翁の願った「幸せ」が自分には辛かったと吐露するが、このまま月には帰りたくないと泣き伏す。

媼は、姫を他に知られないよう竹藪のある故郷の山に向かわせる。その頃、山には成長した捨丸など木地師たちが戻るところだった。姫は再会した捨丸と手をつなぎ、不思議な力で空中を舞ったが、空に月が現れると離ればなれとなり、夢だと思った捨丸は妻子らの許に戻っていく。

8月15日の満月の夜、武士たちが警備する翁の屋敷に天人たちの一行が雲に乗って訪れ、武士たちを眠らせ、姫の体を雲の上に招き寄せる。翁と媼に泣きながら別れを告げた姫は、羽衣を着せられ、一行とともに去っていく。

 

まず、主要人物の絵画風なデザイン、水彩画のような背景など一般的なアニメ映画とは異色の画調が特徴的です。ちょっと現実離れした雰囲気も感じさせ、動きの少ない昔話の世界には合っています。制作費は約50億円、通常のアニメ映画の制作費は数億円、制作費が高いジブリ作品でも他は概ね2~30億円程度なのに比べ破格の規模ですが、それだけ費用がかかったのには、この画調にたどり着くまでの様々な試行錯誤があったのも大きかったのではないかと推測します。

設定やストーリーは昔話のとおりであるにもかかわらず、現代人が観ても感情移入できる物語として描いたのは見事で、途中にはさまるCMに少しうんざりしながらテレビで観ていても、最後には涙腺が緩みました。

巨額の制作費をかけたほどには興行成績が振るわず、興行的には壮大な失敗だったのかもしれませんが、それだけのチャレンジが許されたのは高畑監督の実績への評価や期待があってのことでしょうし、興行的な収支は別として、映画としては高いレベルの作品だと思いました。 

改めて高畑監督のご冥福をお祈りします。