鷺の停車場

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映画「空飛ぶタイヤ」

家族が行きたいとのことで、「空飛ぶタイヤ」(6月15日(金)公開)を観てきました。

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行ったのはMOVIX柏の葉。入口手前にはまだポスターが掲示されていました。

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日曜の朝9時前、人はまばらです。

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この週の上映スケジュール。

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この映画館では比較的大きめの221+2席のシアター8。観客はおそらく15~20人ほど。

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スクリーンサイズは9.9m×5.3mで、画面の大きさは十分です。

小さな運送会社のトレーラーが、走行中に脱輪し、外れたタイヤは路側帯のブロックに当たって空を飛び、歩道を歩いていた親子連れの母親を直撃、死亡させる事故を起こす。製造元のメーカーの調査は整備不良と結論付けるが、トレーラーの構造の欠陥を疑う運送会社社長の粘り強い地道な奮闘により、自動車メーカーのリコール隠しが明らかになる、という物語。池井戸潤の同名の小説が原作で、以前テレビドラマ化されたこともあるようです。監督は本木克英。

物語の中心は、運送会社社長の赤松(長瀬智也)、メーカーの販売部の課長でやがて社内の品質保証部のリコール隠しを疑い、仲間と秘かに真実を探る沢田(ディーン・フジオカ)、メーカーのリコール隠し疑惑の取材を進める雑誌記者の榎本(小池栄子)、榎本の学生時代の友人で彼女からの情報からメーカーと同じ財閥系列の銀行の営業本部でメーカーへの融資にシビアに対応する井崎(高橋一生)、最初は整備不良で立件しようと赤松を追い詰めるが、赤松の情報で最後はリコール隠し強制捜査に踏み切る刑事の高幡(寺脇康文)という善玉と、リコール隠しを主導するメーカー役員の狩野(岸部一徳)という悪玉、という構図。

一言でいえば勧善懲悪ものなのですが、被害者の夫のやり場のない怒りだったり、赤松の思いと会社の板挟みで悩む沢田など、複雑な人間模様も描かれていて、水戸黄門のような(失礼)単純な絵柄ではないところが、この物語にリアリティをもたらしています。一方、狩野だったり、品質保証部の幹部だったり、悪玉側の人たちは、全体の時間の都合だと思いますが、単純な悪役として描かれています。ないものねだりかもしれませんが、例えば、狩野は部下にリコール隠しを事実上強制するわけですが、3年前にリコール隠しで会社が痛い目に遭っているにもかかわらず、ここまで確信犯的にリコール隠しをするというのは、常識的な組織人としてはおよそ考えにくいところがあります。原作を読んでいないので分かりませんが、多少は過去の反省もありつつ、この場面はリコール隠しに進むしかないと決意する、といった心の葛藤が、実際にはあるはずで、そうしたところまで描けると、もっとこの作品に深みを与えることができたようにも思います。

とはいえ、社長の無謀ともいえる奮闘が実を結ぶのか、結論は何となく分かっていながらもハラハラしながら観ていって、最後は悪玉が退治されてスッキリする、基本線が押さえられていて、娯楽作品としてはとても良くできた映画だと思いました。