鷺の停車場

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映画「わがチーム、墜落事故からの復活」

日曜の朝、MOVIX柏の葉に行きました。

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この日の上映スケジュール。

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日曜の朝9時前ですが、かなり人が多いです。この週末から公開の「劇場版コード・ブルー」(この日の上映は7回!)や、前週からの「未来のミライ」、「ジュラシック・ワールド」などの朝イチの上映回を観に来た方が多いのかな?

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フード&ドリンク売場もなかなかの混雑。もう何回か日曜の朝イチに来ていますが、ここまで混んでいたのはたぶん初めて。

観たのは「わがチーム、墜落事故からの復活」(2018年7月6日(金)公開)。

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以前この映画館に「空飛ぶタイヤ」を観に来たとき、予告編で流れていて気になっていました。この数日前に調べてみたらこの館もこの週で上映終了予定、上映館も全国で一桁と、この日を逃すとスクリーンで観る機会はなくなりそうなので、「未来のミライ」も気になっているのですが、まずはこの映画を観ることに。

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この映画館では一番小さい95席のシアター7での上映。

中に入ると、自分を含めて観客はたった5人。ロビーの混雑が嘘のような少なさ。スクリーンサイズは6.8m×3.7mですが、この箱の大きさには十分です。

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(以前もらったチラシ)

ブラジル南部の20万人規模の地方都市シャペコのサッカークラブ「シャペコエンセ」。かつては下部リーグに低迷していたが、近年力を付けてセリエA(1部リーグ)に昇格、2016年には南米クラブチームの国際大会であるコパ・スダメリカーナの決勝に進出したが、同年11月28日、ホーム・アンド・アウェイの決勝戦第1戦、対戦相手のアトレチコ・ナシオナルのホームのコロンビア・メデジンに向かうチャーター機が目的地の目前で墜落し、乗っていた選手・スタッフのほとんど、71人が犠牲となってしまう。犠牲者の中には、ヴィッセル神戸の監督を務めたことのあるカイオ・ジュニオール(監督)のほか、かつてJリーグでプレーしたこともある選手もいたようです。
このドキュメンタリー映画は、その悪夢のような墜落事故から立ち直ろうとするクラブ、選手、遺族たちの1年弱の姿を描いたもの。

14人いたクラブの役員も残ったのは4人だけ、選手で残ったのは事故から決勝戦のメンバーから外れ事故を免れた数人と、事故から生還した3人のみ。そんな危機的な状況から、体制を再建し、監督や選手を2週間ほどで集め、何とかチームを再編成し、墜落事故から約2か月後の新シーズンの開幕戦を迎える。チームは当初は勝てずに波に乗れないが、監督や選手の努力もあり勝ちを積み重ねる。しかし、チームがうまくいっているわけではない。事故前のチームを忘れさせようとするかのようなチームの雰囲気、自分のスタイルを押し付ける監督、それに違和感を感じる事故前からの選手。記者発表の場など公式の場で客寄せパンダのように使われることにいら立ちを感じる生還した選手。一方、航空会社が倒産し十分な補償が受けられない中、遺族はクラブの対応に不満を抱き、クラブを相手に訴訟を起こす。
監督と選手の軋轢もあり、再び調子を落とす中、対戦相手のアトレチコ・ナシオナルの辞退により前年のコパ・スダメリカーナの優勝チームとされていたシャペコエンセは、南米の国際大会の1つであるレコパでそのアトレチコ・ナシオナルと対戦することになり、無事にメデジンの地に向かうが、試合は完敗、タイトルを取ることはかなわない。試合後、生還した選手たちは、墜落事故の現場に向かい、救出してくれた救急隊員や医療スタッフと再会する。その大会後、監督は解任され、選手たちは以前の家族的な雰囲気を取り戻そうと努めていく。

映画はこのあたりで終わりますが、その後、チームは新たな監督を迎えて再び調子を上げたようで、ブラジル国内リーグ(全国選手権)では、事故前の2016シーズンよりも順位を上げ、過去最高の順位を記録したそうです。

私は特にサッカーのファンということでもなく、墜落事故もニュースの1つとしては聞いた記憶はおぼろげにありますが、この映画を観るまではすっかり忘れていました。単なる美談として描くのではなく、様々な葛藤を抱えながら前に向かっていく選手、遺族、スタッフの姿を忌憚なく描いて、涙なしには観ることができない作品でした。

チームの練習での監督と選手のやりとり、クラブの役員による会議、遺族同士の会食など、普通はとてもカメラが入らないようなシーンも追っているのはすごい。あまりにうまく撮れていて、後から回想シーン的に撮影し直したのではないかと思うくらい。事故直後から、ドキュメンタリーの撮影ということで密着していたのでしょうか。

事実は単純なハッピーエンドではありません。それぞれ葛藤のある中で、最善を尽くそうとする関係者。監督も、おそらく与えられた条件の下で自分なりに最善を尽くしていたはずですが、そのやり方が、事故前のチームの家族的な雰囲気を失わせ、最後には解雇されてしまうことになります。
こうした悲劇的な事態に見舞われなくても、強くなりたいのはどのチームも同じで、選手や監督などのスタッフはそれぞれ努力しているはずですが、監督やコーチと選手の関係もそうですし、フロントとの関係もそうで、そうした関係が良好で、関係者のそうした思いのベクトルが収束しなければ、いい結果を残すことは困難です。シャコペエンセも、まだ乗り越えなければいけない壁が少なからずあり、復活を「成し遂げた」わけではなく、現実的には、乗り越えられないまま終わってしまう可能性も大いにあります。
この映画で描かれた直後のシーズンでは、それまでの実績を考えれば上々の成績を収めることができたわけですが、次のシーズンでは低迷して下部リーグに陥落する可能性も全然あるわけですが、これだけの苦悩に立ち向かったチームに、その苦難に見合う結果を天が与えてくれることを願わずにはいられません。