鷺の停車場

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「girls,dance,staircase」(「リズと青い鳥」オリジナル・サウンドトラック)

リズと青い鳥」のオリジナル・サウンドトラックの「girls,dance,staircase」を聴きました。

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CDは2枚組で、1枚目は映画で使われた環境音・効果音的なBGM、2枚目は劇中で流れた吹奏楽のBGMとコンクール自由曲の「リズと青い鳥」の全曲版とコンクールバージョン

最初の「wind,glass,bluebird」は、映画の冒頭、みぞれが校門で希美と合流し、練習室まで歩いて行くシーンの6分近くあるBGM。校舎に入る前に少し会話があるだけで、ほとんどセリフなく、この音楽と歩く2人の姿だけで見せていきます。意外だったのは、足音や鳥の鳴き声、蛇口から流れる水の音、練習室の鍵を開けて扉を開く音まで入っていたこと。純然たる効果音としてBGMとは別に加えたのだろうと思っていたのですが、少なくともこのシーンはBGMとセットで作られていたんですね。

その他の曲も、シーンを殊更に効果的にするという音楽ではなく、登場人物たちに静かな眼差しを向け、見守る音たち。映画を観て感じる静謐な印象は、この音楽も大きく影響しているだろうことを改めて実感しました。

2枚目の吹奏楽編は、総じて、映画で聴くより整っている演奏に聞こえます。映画で実際に使われた演奏は別テイクなのか、映画で加えられたであろう音響効果のせいなのか、あるいは単にリスニング環境の違いのせいなのか、よく分かりません。ただ、少なくとも、映画の山場のシーンで流れる「リズと青い鳥」3楽章の通し練習の演奏は、このCDに収録されている全曲版やコンクールバージョンとは別テイクでしょう。通しのシーンでは冒頭のオーボエソロと伴奏のハープがちょっとズレていたり、後半で希美が涙ぐんで演奏できない部分があったりしましたし。テンポもこのCDの演奏よりゆったり目だった気がします。

改めて聴くと、ソロはもちろんのこと、個々の能力が顕になってしまう感じで、合奏による華やかさ、勢いといった要素が少ないので、一般的にはコンクール向きではない曲だろうと思いました。「リズと青い鳥」3楽章の最後のオーボエソロとピッコロ、クラリネットファゴットテューバ?で奏される和音とか、よくハモらせることができるなあと感嘆します。

映画のサウンドトラックCDとしては、冒頭のdisjointのオーボエとフルートとか、みぞれが音楽室で弾くピアノの練習曲(ツェルニー30番の練習曲3番だそうです)、高坂麗奈黄前久美子がトランペットとユーフォニアムで演奏する「リズと青い鳥」3楽章(このトランペットはかなりの腕前です)、主題歌のHomecomings「songbirds」(これは別CDで出ています)など、他に入っていてほしい音楽もありますが、聴いているとところどころ映画のシーンが浮かんできて、再び映画を観たくなりました。