鷺の停車場

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映画「ここは退屈迎えに来て」

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映画「ここは退屈迎えに来て」(10月19日(金)公開)を観ました。

廣木隆一監督が山内マリコの同名小説を映画化した作品。少し前に廣木監督の「彼女の人生は間違いじゃない」をDVDで観て本作も気になっていたところ、立川まで映画を観に来て時間があったので、この映画の数少ない公開上映館の1つであるMOVIX昭島まで足を伸ばしてみました。

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昭島に来るのは初めて。MOVIX昭島は駅北口のショッピングセンターの「MORI TOWN」の一角、駅から向かうと一番奥の方にあります。

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この週の上映スケジュール。

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上映は115席のシアター12。お客さんは10人くらいの寂しい入り。

2013年の富山。高校卒業後に東京に出たが、10年経って地元に戻り、今はタウン誌などでフリーライターをしている「私」(橋本愛)が、仕事で組むことが多いフリーカメラマンの須賀(村上淳)の車に乗せてもらい、高校時代の友人のサツキ(柳ゆり菜)と、高校時代に人気者で憧れだった、今は自動車教習所の教官をしている椎名(成田凌)に会いに行く。会いに向かう途中、高校時代の思い出のゲームセンターや母校に立ち寄る「私」たち。その合間合間に、「私」とサツキ、そして椎名に関係のある男女の現在や過去が交錯する。同級生の新保(渡辺大知)やなっちゃん(片山友希)、椎名の妹の朝子(木崎絹子)、かつて椎名の彼女だった「あたし」(門脇麦)、最後に関係が明らかになる南(岸井ゆきの)とその友人のあかね(内山理央)。椎名が勤める自動車教習所に着き、椎名に再会した「私」は、最後に冷ややかな現実を知らされることになる・・・というのが大まかなあらすじ。

椎名という高校時代の人気者を軸に、彼にまつわる様々な人々の、何者でもないけどキラキラしていた高校時代の青春と、10年後の停滞する現在を描いた群像劇。

観ていて切なく、心に刺さる映画でした。登場する人々のほとんどは、現在の自分の状態に満ち足りない思いを抱き、何者かになりたいと模索しています。そうでないように見えるのは、最後に幸せそうなセリフを言う南と朝子くらい。最後に救いやその兆しが描かれることはなく、現実に向き合って生きていくしかないと語っているかのようです。ある意味夢のない映画で、好かない人も多いでしょうけど、私自身は、しみじみ系は好みなので、こういう肌合いの映画も悪くない。

原作は未読ですが短編集のようで、様々な人のエピソードを1本の映画にするのは、意欲的な挑戦だろうと思いますし、それをここまでうまくまとめたのは監督の手腕が大きいのでしょう。とはいえ、メインストーリーの「私」たち以外の人々の相関が断片的にしか示されないまま物語が進んでいくので、この人は誰???と思いながら見ていく風になって、全体としてはやや散漫になってしまった感じもありました。再び観るとまた印象が違いそうな気もしますが、もう一度遠出して観に行くまでの感銘は受けなかったので、上映館が広がらないと難しいかなぁ。