鷺の停車場

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アニメ「茄子 スーツケースの渡り鳥」

「茄子 スーツケースの渡り鳥」(2007)を観ました。

茄子 スーツケースの渡り鳥 [Blu-ray]

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自転車ロードレース選手を主人公にした劇場版アニメ「茄子 アンダルシアの夏」の続編となるOVA作品。

reiherbahnhof.hatenablog.com

ペペ(大泉洋)たちが所属するロードレースチームのパオパオビールは、ブエルタの後、栃木県で開催されるジャパンカップに参戦する。そんな中、国民的英雄だったマルコ(大塚明夫)が自殺し、同郷の後輩でマルコに親しくしてもらっていたチームメイトのチョッチ(山寺宏一)は、複雑な思いを抱いて来日する。パオパオビールはチームの解散が決まっており、選手たちはその後の身の振り方を考える。そこに、不参加の予定だった英雄ザンコーニ(佐々木誠二)が急遽参戦することになる。10周の周回コースで争われるレース当日、ペペとチョッチは逃げ集団を形成し、勝利を狙うが、トップに立ったペペが落車し、チョッチは逃げ集団でペペの復帰を待つ。そこに強烈なオーラを発しながらザンコーニが猛スパートし、逃げ集団を追い抜いて独走するが、残り1周のゴール地点で両手を上げてリタイアする。最終周、ペペとチョッチは必死のスパートで先頭を負い、チョッチがゴールスプリント勝負をわずかの差で制するのだった。・・・というあらすじ。

前作に引き続き、黒田硫黄の短編漫画を映画化した作品。やはりロードレースの描写の緻密さは見事です。

前作では、ペペの心情に焦点が当てられていましたが、本作では、ペペは苦しみから抜け出した後ということか、脇役になっていて、チョッチたちの心情に焦点が当てられています。
レース前はチーム解散を機に引退して家業を継ぐことを考えていたチョッチでしたが、勝利を目指して走る中で、マルコの霊?に導かれ、それまでのもやもやが吹っ切れたかのように疾走し、最後に勝利をつかんだのは、レーサーを続ける覚悟の表れのように思えました。
最初に観たときには謎だったザンコーニの猛スパートとリタイアも、国民的英雄だったけどピークを越えて悩んだ末だったであろうマルコの死にインパクトを受けて、同じくピークを越えたザンコーニが選んだ退き方だったのでしょう。
マルコの死をはじめ、様々な伏線がその後の展開にうまく結びつけられた構成も見事でした。

ちなみに、ジャパンカップでチームのサポートをする豊城ひかる(坂本真綾)、物語でヒロイン的な役割を担っていますが、結構、劇場版「若おかみは小学生!」のグローリー水領に似ているように思いました。