鷺の停車場

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劇場版アニメ「リズと青い鳥」台本付初回限定版

しばらく前になりますが、アニメ映画「リズと青い鳥」のBlu-rayを買いました。

静謐で触れたら壊れそうな繊細さ、さざなみのよう心の動きの積み重ね、といった独特の描写で、個人的には、今年初めて観たアニメ映画では最も印象に残った作品。スクリーンでは何度か繰り返し観ましたが、家の貧弱な音響機器で観る作品ではないような気もして、ディスクを買うかどうか決めかねていたのですが、特典のコメンタリーや台本を見てみたくなって、初回限定版の台本付きのBlu-rayを発売日の2~3日前になって勢いで注文したのでした。なお、初回限定版には、さらに販売元ごとに異なるオリジナル特典グッズが付くバージョンもありましたが、私はグッズにはさほど興味がなかったので、より値段が安かった特典グッズなしのバージョンに。

届いたBlu-rayをプレーヤーに入れてみると、メニュー画面の音声選択から、通常の映画音声(2ch・5.1ch)のほかに、キャストコメンタリー、スタッフコメンタリー2種類(音響スタッフ版/画像スタッフ版)が選べるようになっています。

まず、山田尚子監督、音楽の牛尾憲輔、音響効果の倉橋裕宗による音響スタッフのコメンタリーから視聴。プシュッと缶ビールを開ける音に始まり、お菓子をつまみながら進められる、自宅でまったり飲み会的な雰囲気に意表を突かれますが、それだけ打ち解けて仕事をしたということの現れでもあるのでしょう。冒頭の場面の音作りから、観ているだけでは分からない話がいろいろ出てきて、こんなに緻密に音を作っていたんだと感心しきり。希美のフルートの反射光の場面が頂点で、これを境に変わっていくといったコメントも興味深かった。

次いで、種﨑敦美(鎧塚みぞれ役)・東山奈央(傘木希美役)・藤村鼓乃美(中川夏紀役)・山岡ゆり(吉川優子役)の主要登場人物役の声優4人によるキャストコメンタリー。こちらはキャピキャピした女子会という雰囲気で進みますが、収録の裏話や、登場人物の心の動きなど、これまでスクリーンで観て自分なりに抱いていたイメージと視点が違うコメントもあって、これも面白かった。台本のト書きにセリフに直接出てこない気持ちも書いてあるという趣旨のコメントを聞いて、台本を開いてみると、例えば「希美のほしい言葉にはかすらない」とか、随所に希美やみぞれなど登場人物のその時々の気持ちが書き込まれています。終盤の大好きのハグのシーンの最後の「ありがとう」というセリフは、サンキューではなくノー・サンキュー、という東山さんのコメントが特に印象的でした。

最後に、前半が山田尚子監督・キャラクターデザインの西屋太志・髙尾一也撮影監督、後半が山田尚子監督・色彩設計の石田奈央美・篠原睦雄美術監督によるスタッフコメンタリー。これも、

  • 今回が初登場となる剣崎梨々花のデザインは、まず「響け!ユーフォニアム」の本編ならこんな感じ、というキャラクターデザインを作り、それを本作向けにアレンジしている
  • 繊細さを出すために輪郭線を細くする加工処理をしている
  • 終盤の生物室のシーン、壁の色は最初は青みがかっているが、時間の経過とともに暖色系に変化させている

とか、いろいろ興味深いお話が聞けました。

台本も、先に触れたように、セリフには直接出てこない登場人物の気持ちが随所に書き込まれているので、スクリーンで観ているだけでは気付かなかった心の動きもあったりして、こうだったんだ、と思ったシーンもところどころありました。通常の映画音声ではまだ観直していないのですが、きっとこれまでとは印象が変わる部分がいろいろありそうです。

台本付き初回限定版は、私が買った時は定価より2割ちょっと割引で7,000円台前半で入手可能だったのに、発売後はamazonやセブンネットなど通常の販売サイトでは売切れがちのようで、その場合は11,000円台と定価より高いプレミア価格のものでないと入手が難しい状況のよう。

元から転売利益目的で仕入れたであろう業者のプレミア価格のものをお薦めする気は起きないので、台本付きでなくとも、この作品を気に入った方であれば、セル版のみの特典でレンタル版にはないコメンタリーはお薦めしたいと思います。