鷺の停車場

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アニメ「四月は君の嘘」③第12話~第18話

四月は君の嘘」の紹介の続きです。

前回同様、公式サイトに掲載されている各話あらすじを引用しながら紹介します(以下<   >内は公式サイトからの引用です)。

第12話「トゥインクル リトルスター」

<主催者推薦で藤和音楽コンクールのガラコンサートに選ばれたかひろをりに誘われて、公生はピアノに向かう。かをりが選んだ曲はクライスラーの『愛の悲しみ』。かをりがかつて公生の家にいったときに、本棚にささっていた楽譜。『愛の悲しみ』は公生の亡き母がよく弾いていた‥公生にとっては母の匂いを感じてしまう曲だった。>

原作の第21話「りんご飴」・第22話「トゥインクル リトルスター」・第23話「つき動かす」に相当する部分。Blu-ray・DVDでは前の第11話・次の第13話とともに6巻に収録。

かをりと公生は「愛の悲しみ」の練習を始めるが、気乗りしない公生。違う曲にしようと公生は何度か持ちかけるが、かをりは全く取り合わない。かをりはどうしてそこまで嫌がるか訝るが、公生にとっては、子守歌代わりによく母が弾いていた、どうしても母を思い出してしまう曲なのだった。
そんな中、紘子は公生を縁日に連れ出す。必死で母を忘れようとした僕を母は許してくれるのだろうか、僕はピアノを弾いていいのだろうか、自分の悩みをぶつける公生に、紘子は、だったらびしっとピアノを弾いて母の声を聞こう、さっさと一人前のピアニストになろう、音が聞こえないのは聴覚的な音に束縛されないこと、自分の中のイメージを知らず知らずのうちに優先させているのだ、公生には自分の中のイメージをトレースできる技術がある、それは母が残した贈り物、今は心のままに弾きなさいと励ます。
その後の夜、椿や渡、かをりたちと一緒に学校のプールで花火を楽しんだ公生は、ふとしたはずみでプールに落ちてしまう。溺れながら、水面に輝く光を見上げる公生は、暗い海の底にも光は差すのかもしれない、と希望を感じる。
迎えたガラコンサートの日、かをりが来ないのに慌てる公生たち。順番の交代をコンクールの優勝者でトリの三池にお願いしてみるが、三池はガラコンサートのトリ、主役は僕だ、と拒絶する。公生は、その言葉に、順番はそのままでお願いします、でも、主役の座は僕らがもらいます、と宣言し、1人でステージに向かうのだった。

第13話「愛の悲しみ」

<ガラコンサート本番当日、出番の時間を迎えたが、かをりが会場に現れなかったため、公生はひとりでステージに立った。伴奏者であるはずの公生がひとりで現れるという奇妙な状況に、ざわめき出す会場。そんな中、公生は亡き母が好きだった曲、クライスラー「愛の悲しみ」の演奏を始める。>

原作の第24話「射す光」・第25話「つながる」・第26話「連鎖」に相当する部分。

1人でステージに立った公生は、僕はすごい、僕を伴奏者に据えるかをりはもっとすごい、証明してやる、と意気込んで、母がよく弾いていた、ラフマニノフが編曲したピアノソロ版の「愛の悲しみ」を弾き始めるが、迫力はすごいものの、怒りをぶつけるような粗雑な演奏になっていた。
途中で公生は、こんな曲じゃない、と思い直し、お母さんならこう弾いたかなと、自分のイメージのままに弾き始める。すると、音楽がきらきらと輝きを放ち始める。それを聴いて、公生の母との最後の日々を思い出す紘子。母は、自分の死が近いことを知って、死んだ後の公生が音楽で食べていけるよう、自分の思いを殺して厳しく指導していたのだった。公生は弾きながら、母の亡霊は、自分が作り出した影、逃げ出すための理由、自分の言い訳だったのだ、母は自分の中にいると悟り、母の亡霊にさよならを告げる。この部分は、何度見ても涙がこぼれます。
演奏が終わり、舞台を引き上げた公生は、気が抜けて廊下で崩れ落ちる。駆け付けた紘子に抱きしめられ、お母さんに届いたかな、と泣き崩れる公生。それを目の当たりにしてステージに向かった三池は、これまでに体験したことがない恐怖を感じ、逃げ出したくなるが、公生のように身も心も捧げてみたい、今は無性にママの声が聞きたいと思いながら、演奏を始める。その音色は、いつもよりも柔らかかった。

第14話「足跡」

<ガラコンに姿を見せなかったかをりが自宅で倒れて入院したと聞き、病院にかけつけた公生たち。元気そうに振舞うかをりだったが、その体調は芳しくなかった。その一方、椿は幼いころから続いてきた公生との居心地の良い関係がかをりの出現で変わってしまったことや、公生に対する自分の気持ちの変化から目を逸らしていた。>

原作の第27話「重なる輪郭」・第28話「足跡」に相当する部分。Blu-ray・DVDでは第15・16話とともに7巻に収録。

かをりが入院したことを聞いて病院に駆け付けた公生たち。公生は、その会話の中に、かをりの容態が悪く、母のようにいなくなってしまうのではないかという不安に襲われる。
一方、かをりと公生の会話に、自分が踏み込めない音楽家の世界を見て違和感を抱く椿。自分にとって公生は何か、自分は誰が好きなのか、悩む椿。そこに、椿の親友の柏木の言葉に騙された公生が慌てて走り寄る。その帰り、公生から音楽科のある県外の高校に行くと聞いた椿は、音楽が公生を遠くに連れていってしまうと、泣きながら走り出す。
椿は、自分が公生を好きであることに気付き、私バカだな、と心の中でつぶやくのだった。

第15話「うそつき」

<音楽科のある高校へ進学するために公生が家を出ることを知り、戸惑いを隠せない椿。弟のような存在だと思っていた公生の存在が、椿のなかで、より大きな存在になっていることに柏木をはじめ、周囲の人も気づいていたが、それは椿と付き合っている斎藤先輩も例外ではなかった。>

原作の第29話「うそつき」・第30話「闖入者」に相当する部分。

公生が家を出て県外の高校を目指すことを知って戸惑う椿。弟だと思っていたけど、公生が好きになっていた自分に気付く。椿が告白されて付き合っていた斎藤先輩も、それに気付き、先輩マネージャーが好きになったと、椿に別れを告げる。彼女になってくれたことに感謝の気持ちを伝えながら。
音楽準備室で思いにふける椿のそばに、ピアノを練習しに公生がやってくる。公生は何も聞かずにドビュッシー「月の光」を弾き始める。椿は自分がフラれたことを話す。公生たちは進もうとしている、時間が止まっているのは自分だったんだと気付く。何も言わずに「月の光」を弾き続ける公生。うそつき、そばにいるって言ったくせに、私のこと何も知らないくせに、私を女の子だと思ったことないくせに、うそつき、うそつきと思う椿。こんなんじゃ、いてもいなくても同じじゃん、と怒りをぶつけるが、公生は、じゃあ、いてもいなくても一緒なら、一緒にいるよ、そばにいるよ、と言ってピアノを弾き続ける。その優しさに、椿は、自分はずっと公生のそばにいたい、時間よ動けと願うのだった。
そうしたある日、公生の前に、中学1年生で音楽科でピアノを学ぶ凪が突然現れる。弟子入りを直訴された紘子はそれを受け入れ、公生に指導するよう命ずる。
公生は、かをりを見舞いに行こうとするが、すでに渡が見舞いに来ていることを知り、引き返してしまう。そんな時、かをりから電話がかかってきて、カヌレを持って見舞いに行くことを約束する。しかし、かをりは自分の容態がさらに悪化していることに気付かされることになる。

第16話「似たもの同士」

<瀬戸先生に弟子入りした凪を指導することになった公生。最初は初めての指導に戸惑うも、先生らしく振舞うようになる。そんな中、入院しているはずのかをりが公生の目の前にふいに現れる。かをりは渡の代役として公生を指名し、いっしょにショッピングや学校に向かう。>

原作の第31話「君でいいや」・第32話「似た者同士」に相当する部分。

ショッピングの途中、ペットボトルのお茶を渡されてもうまく掴めないかをり。公生が鞄を持っていないことに気付き、かをりは一緒に夜の学校に忍び込むことになる。その帰り、自転車をこぐ公生の背中に体を寄せて涙を流すかをり。公生は、渡の代役でも何でもいい、ずっとこのまま、と思うのだった。その頃、公生がやってこない紘子の家で、凪は、なぜ自分を迎え入れたか紘子に尋ねる。凪は、公生をライバル視する武士の妹で、実は公生を敵視していた。
そんな中、公生の指導に耐え切れず、凪は逃げ出してしまう。紘子の言葉もあって、公生は凪を見つけ出す。兄との思い出を話し、兄に立ち直ってほしいと話す凪。公生と話すうちに、自分と似たもの同士であることに気付いた凪から、公生に対する敵意はだんだん消えていくのだった。
公生が見舞いに行くと、かをりは、時間が足りない、もっと練習しなければ、と公生を叱咤するが、自分で変なスイッチが入ってしまったことに気づく。その夜、1人でかをりを見舞った公生は、かをりと母が重なって見えて当惑する。そんな公生に、かをりは、自分と心中しない?と言うのだった。

第17話「トワイライト」

<椿からかをりの見舞いに誘われるが、気が乗らない公生。かをりにどんな言葉をかければいいのか、どんな顔で会えばいいのか分からずに、一歩を踏み出せずにいた。練習にも身が入らない公生を気にかけた凪は、自分の学校の話をしたりと、彼女なりに公生を励ます。すると公生は、誰かのために演奏するのは大切だと言うのだった。>

原作の第33話「トワイライト」・第34話「深淵をのぞく者」に相当する部分。Blu-ray・DVDでは第18・19話とともに8巻に収録。

ほのかに公生に恋し始めた凪は、練習に身が入らず追い返された公生を追いかけ、自分なりに必死に公生を励ます。凪に誰かのために演奏するのは、思ったより大切だよ、たくさんの人に音が届いたとき、心を重ねたとき、音楽は言葉を超えるのかもしれない、と語る公生。その帰り道、ラヴェルの「亡き王女のためのパヴァーヌ」が耳に入り、かをりの死を恐れて困惑する公生。かをりから、自分があまり良くないみたいと聞いて、どう接したらいいのか分からなくなっていたのだ。かをりが本当は自分でなく公生が好きであることに気付いていた渡は、公生に見舞いに行くよう説得する。見舞いに向かった公生は、希望を失いつつあるかをりに、怒りをぶつける。
公生は、凪の学校の学園祭でのコンサートに、一緒に出させてほしいと凪に懇願する。公生は、自分の演奏を伝えることで、かをりを変えたいと思ったのだ。練習を重ねる凪と公生だったが、コンサートが近づくにつれ、凪はプレッシャーに追い込まれていく。紘子の励ましで、ステージに立つ勇気を取り戻す凪。
学園祭の日、コンサート会場には凪の兄の武士の姿もあった。緊張してカチコチな凪に、公生はその手をとって励ます。公生の手が震えていることを感じた凪は、みんな怖いことを知り、少し気が楽になる。そうして、2人はステージに上がっていく。その頃、かをりは病室で、公生の頼みで渡が会場から掛けた携帯電話から聞こえてくる会場の音を聴いていた。

第18話「心重ねる」

<胡桃ヶ丘中学の学園祭に出してほしいと凪に頼んだ公生。自分の演奏をかをりに届けたい。その想いを胸に、ふたりはステージに上がる。ついに始まった演奏。だが、サポートであるはずの公生は練習時とはうって変わり、異常に早いテンポとひりつくような雰囲気の演奏で、凪にプレッシャーをかけてくる。凪も、公生に負けじと喰らいつく…。>

原作の第34話「深淵をのぞく者」・第35話「心重ねる」・第36話「パンチ」に相当する部分。

なぜ学園祭に出ようと思ったのか凪に聞かれて、いじけた友達を一発ぶん殴ってやりたいんだ、と答えた公生。2人の演奏が始まった。凪にとって最高の入りだったが、公生は、自分のピアノの音が聞こえるのが邪魔に感じる。集中した公生は、突然音楽を変える。練習と全く異なる公生の変化に戸惑いつつ、必死に食らいつき、一歩も引かず、真っ向から張り合う凪。客席で聞く兄の武士やその友人、そして観客は、短期間での凪の著しい上達に驚く。弾きながら、公生が兄が言っていたような鋼鉄の心臓ではないことを思い、そして、不調に陥っている兄に音楽を伝えようと思いをぶつける凪。病室でその演奏に撃ち抜かれるかをり。武士も、その演奏に突き動かされる。凪も、弾きながら、公生のカラフルな演奏に心打たれるのだった。この演奏シーンもとても印象的。
その後、かをりを見舞いに訪れた公生は、心中はできないよ、もう一度、一緒に弾こう、とかをりに伝える。君は残酷だね、とつぶやくかをり。再び演奏するのを諦めて、枯れていたかをりの心に、再び希望の灯がともったのだった。

 

ところどころ原作と見比べながら見ると、もちろん全体の尺の関係でカットされているシーンやセリフはあるのですが、細かいセリフ回しやカットの構図なども、かなり原作に忠実にアニメ化している印象を受けます。

もっとも、第13話や第18話などステージでの演奏シーンは、曲の演奏時間もあって、時間的な割合は原作のコマの割合と比べて増えているのかもしれませんが、音楽にも語らせることで、画だけで見せるしかなかった原作よりも、見る人により強く訴える表現になっていると思います。