鷺の停車場

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テレビアニメ版「幼女戦記」③第9話~第12話

dアニメストアで見始めたテレビアニメ版の「幼女戦記」の後半、最後の第12話まで見終わりました。

引き続き、テレビアニメ版公式サイトに掲載されているあらすじを引用しながら、各話の紹介を。(以下<  >内は公式サイトからの引用です。)

第9話「前進準備」

<帝国軍はアレーヌ市を制圧した。だが戦いの影響で補給路が傷つき、ライン戦線における正面攻勢は不可能という状況であった。参謀本部が合同協議会を開いて対策を急ぐなか、ゼートゥーアは従来の戦争ドクトリンでは勝利の実現性が乏しすぎると指摘し、敵の戦争継続能力を粉砕することこそが戦争終結への唯一の道だと主張。すでに作戦局のルーデルドルフと協力し、敵主力軍の撃滅計画に着手していることを告げる。一方、参謀本部に呼び出されていたターニャは、移動中の列車内で軍大同期のウーガ少佐と再会し、作戦局が共和国との戦いに決着をつけるための作戦を計画していると耳にする。その作戦とは、敵の主力を引き込んでの大規模な包囲殲滅戦であった。>

ウーガ小佐(赤城進)は、軍大同期でターニャがライバルを減らす狙いで(家族のためという名目で)後方勤務を助言した優秀な軍人。今は陸軍鉄道部で優れた能力を発揮する彼は、内心ターニャの助言に感謝しており、同期のよしみもあり、作戦部から敵を引き込み包囲殲滅戦を行うための緊急輸送を求められていることを明かす。

参謀本部では、ゼートゥーアが突破ではなく敵の戦争継続能力の粉砕が戦争終結の唯一の道だと力説する。ターニャの第二〇三航空魔導大隊は、部隊後退を秘密裏に行うためのカモフラージュとして最前線で厳しい戦闘に当たる。戦闘後、怪我の手当てをしてくれるグランツにヴィーシャは、「少佐殿はアレーヌ市の戦闘で、命令であることを強調された。指揮官は自分、だから部下が責任を負う必要はない。ひょっとしたら、そんな意図があったのかもね。」と、非戦闘員を巻き込んだアレーヌでの戦闘を引きずるグランツをいたわる。

多数の負傷者を出しつつも、任務を完遂したターニャに、レルゲンは次なる作戦、あのシューゲルが開発した強行偵察用の特殊追加加速装置V-1、要するに有人ロケットで、敵指令部を強襲する指示を出す。帝国軍の撤退を知り進軍する共和国軍。ターニャは12人の精鋭中隊を選抜しV-1ロケットに乗り込む。猛スピードで飛び立つターニャは、安全な後方で出世するはずが、どうして(こうなった?)、すべては「存在X」のせいだ、あのくそったれに市場原理を叩き込むまでは死ぬわけにはいかない、生きて絶対に(戦争を)終わらせる、と誓うのだった。精鋭メンバーの必死の奮闘で、V-1は目標に着弾する。

エンディング後、場面が変わって出撃前?のターニャ、お腹を壊し傷痍退役になったタイヤネン准尉の家族に手紙を書きながら、腐ったジャガイモで部下を失うことを嘆くのだった。

第10話「勝利への道」

<その日、帝国の最高統帥会議にて、ゼートゥーアとルーデルドルフは高級官僚たちから叱責されていた。帝国軍はライン戦線右翼を大幅に後退し、すでに西方工業地帯までもが重砲の射程圏内に捉えられつつある状況であった。官僚たちは、このままでは軍部に不本意な政治的措置を講じる必要もあると戒めるが、そうした官僚勢の訓告に対しても、ゼートゥーアとルーデルドルフは全く動じることなく、静かに時を待っていた。同じ頃、ターニャを始めとする第二〇三航空魔導大隊の精鋭数名は、シューゲル技師の開発したV-1ロケットにて敵の防衛線を飛び越え、共和国のライン方面軍司令部に潜入。「衝撃と畏怖作戦」と名付けられた極秘計画が、着々と進行中であった。>

ロケット着弾後、目標施設に潜入するターニャたち精鋭中隊は、ロケットが狙い通りの拠点に命中したことを確認し、破壊工作を行う。その頃、首都ではゼートゥーアたち軍幹部は官僚に戦争による国力消耗の責任を追及されていたが、そこに敵総司令部の破壊成功の報せが入り、形勢は逆転する。

ライン戦線では次なる作戦が開始される。塹壕からトンネルを掘り進め、帝国軍の後退で前進した共和国軍の左翼主力部隊の南に展開する右翼部隊の陣地を、真下で地雷を爆発させて粉砕する「解錠作戦」、その陣地を機甲部隊などが突破して敵左翼部隊の包囲に向かう「回転ドア作戦」だった。

翌朝、潜水艦に回収され帰路に就く精鋭中隊。ターニャは「寝込みのセレブリャコーフ少尉にいたずらを働くアホは、誰もいなかったかね?」と隊員に軽口を叩く。一人動揺するグランツ。そこに作戦成功の報せが入り、精鋭メンバーたちは歓喜する。

司令部が壊滅した共和国軍は、指揮系統が完全に麻痺し、崩壊していく。ターニャたち精鋭中隊も、帰還途中の捜索・遊撃任務に当たるのだった。

エンディングの後、潜水艦での前日の夜、寝相が悪く、出撃中の夢を見ながらベッドから落ちたヴィーシャにグランツが気付き、お姫様抱っこでベッドに戻すシーンが出てきます。本編でグランツが動揺していたのはこのせいだったのですね。

第11話「抵抗者」

<ターニャは敵のライン方面軍司令部を強襲し、共和国軍の指揮系統撃滅に成功。その機に合わせ、帝国軍は坑道戦術でライン戦線左翼の敵陣地を突破。続けて機動力を活かした回転ドア作戦により、遊兵化した敵主力部隊を完璧に包囲した。あとわずかで共和国との戦争を終わらせられる。平和が戻ってくれば安定した出世の道が待っている。そんな確信を抱きながら、ターニャは大隊を率いてライン戦線に赴いていた。その数刻前、帝国軍が劣勢と見ていた連合王国は、本格的な参戦を開始。もはや遅すぎた介入ではあったが、そこにはターニャに憎悪を燃やすアンソンが、義勇兵として参加していた。アンソンは不意を突いてグランツを撃墜し、大隊との戦闘を開始する。>

アンソンの攻撃に不意を突かれたターニャたち精鋭中隊は大隊規模の敵魔導部隊の迎撃に向かうが、数の違いもあり苦戦する。「存在X」に力を与えられたアンソンは条約違反のトレンチガンでターニャを攻撃するが、ターニャは激闘の末、アンソンを短刀で突き刺す。アンソンはターニャを道連れに自爆しようするが、ヴィーシャの砲撃でターニャは逃れ、アンソンを滅多撃ちにして仕留める。この戦闘シーンは見ごたえがあります。とりわけ、敵部隊に狙い撃ちされるヴァイスをターニャが自分が身代わりとなって助けるシーンは、ターニャの部下思いな一面が垣間見えて印象的でした。

帝国軍の作戦に主力軍が壊滅した共和国は、首都の無防備宣言を布告し、帝国の支配下に入る。勝利の美酒に酔う軍幹部、そして第二〇三航空魔導大隊の隊員たち。しかし、共和国軍が海を渡ったブレスト軍港に撤退すると聞いたターニャは、反攻の機会を許しては勝利が揺らぐと迎撃しようとするが、勝利に酔う参謀本部から停戦命令が下る。ターニャは戦争を終わらせる機会を逸したことに激しく失意し、拳でドアを殴って憤りをぶつける。「存在X」が直面させる厳しい現実に抗い戦争を終わらせようと奮闘してきたターニャだったが、またもや裏切られるのだった。ここは見ていて辛いシーンでした。

第12話「勝利の使い方」

<ライン戦線の包囲殲滅戦から数日後。敵の主力を撃破した帝国軍は、直ちに共和国の首都パリースイィを制圧。遂に輝かしい勝利を手にした。ターニャも勝利に沸きかえる帝都にて、ようやく手に入れた平和な生活を喜んでいたが、そこに共和国海軍が撤退中との報せが入った。ターニャは共和国のド・ルーゴ将軍が、本土を捨てて反抗勢力の一部を南方大陸に逃そうとしていることを見抜き、独断専行で出撃しようとする。だが寸前のところで、参謀本部より停戦命令が発令されてしまった。大隊の各員が束の間の休暇を楽しんでいるなか、戦争を終わらせる機会を逃したターニャは、これまでにない失意と憤りに崩れ落ち、参謀本部へと向かう。>

ターニャは参謀本部に向かうも、ゼートゥーアたち幹部は勝利を祝いビアホールに行っていた。そこに向かおうとするターニャをレルゲンが呼び止める。忌憚のない意見を、と聞くレルゲンにターニャは、参謀本部は勝利の仕方は知っていても勝利の使い方を知らない、参謀本部の考えは合理的過ぎ、不完全な合理性と言わざるを得ない、憎悪に囚われた人間は打算も合理性も損得さえ抜きにどこまでも抗い続けるのだ、憎悪の火はすべて消し去らねばならない、と語気強く語るのだった。

間もなく、ド・ルーゴ(土師孝也)率いる共和国軍は、逃亡先の南方大陸で帝国に対する徹底抗戦を宣言する。再び戦場に送られることに落胆する第二〇三航空魔導大隊の隊員たち。副長のヴァイス(濱野大輝)は、「至難の戦場、僅かな報酬、剣林弾雨の日々、絶えざる危険、生還の暁には名誉と称賛を得る」と大隊編成時の募集要項を口にし、「最後の文句以外は真実だったな」と語る。参謀本部は、第二〇三航空魔導大隊の南方派遣を決めるが、ゼートゥーアは、更なる国の参戦の可能性に気付く。その頃、東部の国境では連邦軍が侵攻の準備を進め、合州国では義勇軍の募集にアンソンの娘メアリーが志願していた。憎しみは連鎖していくのだ。

一方、南方に派遣された帝国軍はたったの2個師団と支援部隊のみ。その急先鋒を担うことになったターニャは、大隊員への訓辞で、「神とやらは非情な運命ばかり突き付けてくる、それが世界に科せられたルールのようだ・・・あぁ神よ、貴様を切り刻んで豚の餌にでもしてやる!・・・我ら将兵の在るうちは我々が神に取って代わるのだ!傲慢な神とやらを失業させてやる!!」と隊員を激しく鼓舞するのだった。・・・というあたりで、幕を閉じます。

最後の訓辞シーンの激しいキレっぷりは凄い。意に反してこれから直面させられることになる過酷な状況に、やり場のない怒りをぶつけるようなアジテート。隊員というより、むしろ失意の我が身を鼓舞したように映りました。隊員も意気上がるというより大隊長の鬼気迫る迫力に気圧されています。

 

と、最後まで見て、ようやく劇場版とつながりました。再劇場版では南方戦線で敵司令部を爆破するシーンから始まりますが、この後戦った戦闘の後だったのですね。再び劇場版を観ると、また印象が変わってきそうです。

なお、おおむね、テレビアニメ版は原作小説の第3巻までの内容を、劇場版は第4巻の内容を基に映像化したもののようです。原作小説はまだ進行中で、現在11巻まで刊行されていますので、現実的には、原作の結末まで映像化は、よほど人気が続かないと難しいのだろうと思いますが、幼女の皮をかぶったサラリーマンと「存在X」との対峙がどういう結末を迎えるのか、見てみたい気がします。