鷺の停車場

映画、本、グルメ、クラシック音楽、日常のできごとなどを気ままに書いています

アンドレ・プレヴィンの訃報に接して

先月末に指揮者のアンドレ・プレヴィンが亡くなられたことをニュースで知りました。
www.yomiuri.co.jp

プレヴィンは、1929年にベルリン生まれ、ユダヤ系だったために1938年にアメリカに移住、ジャズピアニスト、「マイ・フェア・レディ」を始め映画音楽の作曲などで活躍し、1960年代に指揮者としてデビュー、ロンドン交響楽団(1968~1979)、ピッツバーグ交響楽団(1979~1984)、ロサンゼルス・フィル(1985~1989)、ロイヤル・フィル(1985~1992)などで音楽監督や首席指揮者を歴任し、ウィーン・フィルなど世界トップクラスのオーケストラにも客演しています。2009年から数年間はNHK交響楽団の首席客演指揮者に就任しており、日本でも数多く指揮していたようです。

私自身は、生でプレヴィンの指揮に接することはありませんでしたが、CDやFMなどで、かなりの数の録音を聴いてきたと思います。ロシア・東欧のスラヴ系の曲や協奏曲の演奏が多かった印象ですが、後年にはリヒャルト・シュトラウスなどドイツ系も録音していました。

改めて少し聴いてみようと思って、手元にあるCDを探してみると、意外に自分で持っているものはたった2枚と少なかった・・・。

f:id:Reiherbahnhof:20190302142839j:plain

  1. エルガーエニグマ変奏曲 Op.36[1899]
  2. エルガー:行進曲「威風堂々」Op.39(全曲)[1901/1904/1907/1930]

アンドレ・プレヴィン指揮ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団
(録音 1986年1月27~28日(1)、1985年7月(2) ロンドン、ウォルサムストウ、タウン・ホール) 

エルガー:エニグマ変奏曲、「威風堂々」

エルガー:エニグマ変奏曲、「威風堂々」

 

エルガー管弦楽作品集。エニグマ変奏曲は、イギリスの作曲家による管弦楽曲としては、初めて世界的な成功を収めた曲ということなのだそうですが、ちょっととっつきにくい感じもある曲。それを手堅く、温かくまとめているところは、プレヴィンの指揮者としての上手さを感じます。威風堂々は、第1番だけは非常に有名ですが、他の4曲は圧倒的に録音が少ないので、こうした録音は嬉しい。個人的には第2番とかも結構好きなのです。

f:id:Reiherbahnhof:20190302144054j:plain

  1. チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 Op.35[1878]
  2. シベリウス:ヴァイオリン協奏曲 ニ短調 Op.47[1903]

チョン・キョンファ(Vn)、アンドレ・プレヴィン指揮ロンドン交響楽団
(録音 1970年7月 ロンドン、キングスウェイ・ホール)

チャイコフスキー&シベリウス:ヴァイオリン協奏曲集

チャイコフスキー&シベリウス:ヴァイオリン協奏曲集

 

当時22歳だったチョン・キョンファを一躍有名にしたデッカへの録音の第1弾。ここではヴァイオリンについてはあえて触れませんが、ソリストを的確にサポートするプレヴィンの上手さが光る1枚。

手元にはありませんが、そのほかに、印象に残っているプレヴィンの録音としては、

ラフマニノフ交響曲第2番 ホ短調 Op.27
アンドレ・プレヴィン指揮ロンドン交響楽団(録音 1973年1月)

当時カットして演奏するのが一般的だったラフマニノフ交響曲第2番の、初めてのノーカットによる録音。今はノーカットが当たり前ですが、この録音がそのきっかけになったわけです。このほかにも、 

など、ラフマニノフは印象に残る録音が多いです。

もう1枚、

Richard Strauss : Also Sprach Zarathustra / Previn, Vienna PO

Richard Strauss : Also Sprach Zarathustra / Previn, Vienna PO

 
  1. リヒャルト・シュトラウス交響詩ツァラトゥストラはかく語りき」Op.30
  2. リヒャルト・シュトラウス交響詩死と変容」Op.24

アンドレ・プレヴィン指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

プレヴィンとウィーン・フィルとのリヒャルト・シュトラウス作品集の最初の録音となったもの。当時録音の迫力がウリのテラークが初めてウィーン・フィルを録音したCDとしても話題になったように記憶しています。派手さはありませんが、音が良く、温かく、手堅くまとめた好演だった印象が残っています。

改めてご冥福をお祈りします。