鷺の停車場

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カルロ・ゼン「幼女戦記」第4巻 "Dabit deus his quoque finem."

カルロ・ゼン著の小説「幼女戦記」、第4巻に進みました。

幼女戦記 4 Dabit deus his quoque finem.

幼女戦記 4 Dabit deus his quoque finem.

 

第3巻に続いて、あらすじ紹介を兼ねて、時期が明示されている場面を列挙してみます。

(以下は統一暦。小説での登場順)

第一章:長距離偵察任務

1926年03月15日 帝国軍東部国境地帯上空、休暇のための本国帰還命令を受け、帝都に帰還した第二〇三航空魔導大隊は、連邦の侵攻の動きを察知した参謀本部の命で東部国境地域へ越境偵察に向かう。そこで連邦軍の列車砲が帝国軍に向け発砲、宣戦布告。第二〇三航空魔導大隊は列車砲など連邦軍の集積拠点を撃破。ターニャはさらに首都強襲を目論み、参謀本部に許可を求める。

1926年03月某日 南方戦線帝国軍仮設陣地 狐の寝床、南方戦線を率いるロメール将軍がかつて部下として戦ったターニャの能力の高さを懐かしむ。

1980年05月09日 連邦首都、WTN特派員のアンドリューが連邦の大祖国戦争記念日のセレモニーを取材、連邦参戦の理由に迫る。

1926年01月17日 連邦首都モスコー、独裁者ヨセフが帝国との戦争を決意する。

第二章:親善訪問

1926年03月15日 帝国軍参謀本部 第一会議室、レルゲンとゼートゥーアの意見により、ターニャの首都強襲作戦が許可される。

1926年03月16日 連邦首都モスコー、連邦ナンバー2で幼女性愛癖のロリヤが町中に幼女を探しに繰り出したところに、第二〇三航空魔導大隊が来襲。

1926年03月16日 連邦首都モスコー上空、第二〇三航空魔導大隊が広報用に画像を記録しながら政府拠点やモスコー広場の銅像を破壊、モスコー上空に帝国国歌を響かせる。

1926年03月16日 連邦首都モスコー路上、ロリヤは上空で帝国国歌を歌うターニャを見て一目惚れし、手段を選ばず、何としても手に入れたいと熱望する。

1926年03月17日 連合王国ロンディニウム、ターニャたちのモスコー襲撃の情報を入手し、帝国への対応を議論するが、満足な結論は出ない。

1926年03月18日 帝国軍参謀本部、ターニャたちの想定もしていなかったあまりに華々しいモスコー襲撃成功の悪影響を苦慮する参謀本部

第三章:完璧な勝利

1926年03月25日 参謀本部作戦会議室、作戦担当のルーデルドルフ中将と兵站担当のゼートゥーア中将が対連邦作戦を議論。途中意見は鋭く対立するが、第二〇三航空魔導大隊を出撃させることで意見の一致をみる。

1926年03月26日 帝国軍東部方面軍第二十一仮設基地、第二〇三航空魔導大隊に参謀本部から東部戦線での機動遊撃任務の命令、東部軍から孤立しつつあるティゲンホーフの救援要請が来る。ターニャはティゲンホーフの地理的重要性に気付き、ティゲンホーフ救援に出撃。

1926年03月28日 帝国軍参謀本部作戦会議室、ティゲンホーフ救援成功の報告に感謝するルーデルドルフ中将。

1926年03月28日 主攻集団司令部、連邦軍主力部隊の作戦会議で、思い通りに進んでいない現状の打開策に悩む政治将校たちは、モスコーを襲撃した部隊がティゲンホーフにいることを知り、ティゲンホーフ攻撃を中央に提案することを決める。

同日 ティゲンホーフ市内、8個師団以上で来襲する連邦軍の大規模攻勢に当惑するターニャ。威力偵察に出撃するが、敵航空魔導部隊が展開していないことに唖然とする。地上軍への対地襲撃作戦を実行し、帰還する。

1926年03月29日 帝国軍参謀本部、第二〇三航空魔導大隊が敵師団を迎撃したとの知らせを聞き、ルーデルドルフ中将は勝利を確信する。

第四章:再編

1926年04月10日 参謀本部、政治の要請で、ターニャがモスコー襲撃や独断専行の疑義で査問会議にかけられるが、無事に疑義を免れる。査問会議の終了後、レルゲン大佐が配属先の希望を問うと、ターニャの答えは、最前線勤務以外を志望する、という意外なものだった。それを聞いて怒ったゼートゥーア中将は、ターニャを詰問するが、連邦との戦争が殲滅戦に至るだろうこと、戦力の適切な運用方策を研究したいとのターニャの発言に、ゼートゥーアは西方戦線で2か月の時間を与えると告げる。

1926年04月03日 連邦首都モスコー某所、地下壕の会議場で、ロリヤは西方攻勢の頓挫を受け、収容されている魔導師や将校を軍部に編入することを提案、決定される。

1926年04月某日 某国某所、「ジョンおじさん」は、とある工場で「精密懐中時計」を購入する。

1926年04月18日 連合王国ホートン・バード訓練基地、メアリー・スーが訓練を受ける。

第五章:ドードーバード航空戦

1926年04月28日 海峡上空、敵部隊との交戦から帰還したターニャは、指揮官会議で、1個連隊規模の合州国義勇軍連合王国軍指揮下で展開中と知り、その対応について協議する。

1926年04月29日 ターニャ・フォン・デグレチャフ私室、指揮官会議後自室に戻ったターニャは、合州国義勇軍を叩いておくべきではないかとの疑念に苛まれる。翌朝、第二〇三航空魔導大隊は、連合王国本土へ地上襲撃任務評価試験に向かう。

1926年04月29日 連合王国、メアリーが所属する義勇軍部隊は、帝国軍航空魔導部隊の来襲の報に、迎撃に備える。そこに連合王国海兵魔導部隊のドレイク中佐は、来襲する帝国軍を率いるのがライン戦線で共和国軍将兵を震え上がらせた「ラインの悪魔」であることを告げる。一方、第二〇三航空魔導大隊には、撃墜された第一一四航空爆撃団の指揮官の救助任務が命ぜられ、出撃した義勇軍部隊と交戦する。メアリーはターニャに突撃するが、ターニャに撃墜される。墜ちていくメアリーは、ターニャの使う短機関銃が、自分が父に贈ったものであることに気付き、あいつだけは許さない!と決意するのだった。

第六章:ドアノッカー作戦

1926年06月25日 帝都郊外参謀本部保養施設、ターニャは、西方航空戦を踏まえての戦技研究報告書を処理するデスクワークに従事していた。第二〇三航空魔導大隊の指揮をヴァイス大尉に譲り、自分は後方任務に就くと思っていたターニャだが、ゼートゥーア中将からの電話で、ターニャが発案した戦闘団を前線で試行させてやると命ぜられ、再び前線に送られることになる。

1980年11月28日 ニューヤーク、WTN特派員アンドリューが、「サラマンダー」伝説の由来を語る。

1926年06月27日 参謀本部本舎、ターニャは戦闘団の編成に尽力する。

1926年06月28日 参謀本部戦務参謀次長執務室、ターニャはゼートゥーア中将に、補充魔導中隊が欲しいと要求、訓練を終了していない新兵なら用意できるとの回答を得て、手配を求める。戻ったターニャは、歩兵大隊が不服従の態度をとると、その代わりに親衛師団から降下猟兵大隊を手配する。

1926年07月01日 参謀本部大会議室、戦闘団の結成式が行われる。

1926年07月02日 参謀本部戦務参謀次長執務室、第二親衛師団から大隊を手配したと聞いたレルゲン大佐がゼートゥーア中将に抗議するが、ゼートゥーアは聞く耳を持たない。参謀本部では、東方での戦果拡張・早期戦争終結を主張する東方派とゼートゥーア中将らの西方派で深刻な対立が生じていたが、東方での大規模攻勢により前線を押し上げる「湖畔作戦」の実行が決定され、ターニャの戦闘団も東方に送られることになる。

1926年07月02日 連邦首都モスコー 地下大会議室、帝国軍が国境地帯に大規模部隊を集結中であることを察知し、ロリヤは後退して帝国軍を引き込み、消耗戦を強いることを提案し、決定される。

1926年07月10日 東部戦線、サラマンダー戦闘団を率いるターニャは、進軍する帝国東部方面軍北部集団の側面援護に向かう。

 

おおむねアニメ劇場版に対応しています。ただし、劇場版ではカットされたり、アレンジされている部分も多くあります。

例えば、メアリー・スーは、劇場版では、多国籍義勇軍の一員としてモスコーに入り、上記3月16日のモスコー襲撃の際に第二〇三航空魔導大隊を迎撃し、さらに3月28日の連邦軍のティゲンホーフ大規模攻勢の一員として参戦し、ターニャと激闘を繰り広げることになっています。また、ターニャはティゲンホーフ防衛の後、後方で2か月間の戦訓研究に従事し、提出したレポートの提言に沿って新設されるサラマンダー戦闘団の指揮を命ぜられるところで終わっており、第四章から第六章までのほとんどの部分はカットされています。

副題の"Dabit deus his quoque finem."(ダビト・デウス・ヒス・クォクェ・フィーネム)とは「神はこれらにも終わりを与える」といった意味のラテン語だそうです。

劇場版はPG12にレイティングされていますが、戦闘シーンの激しさのほかに、ターニャに一目惚れするロリヤの幼女性愛癖も原因の1つなのかもしれません。深夜枠だったとしても、地上波テレビで放送すると、多少物議を醸しそうです。