鷺の停車場

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映画「小さな恋のうた」を観る

平日の夜、MOVIX亀有に行きました。

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この日の上映スケジュール。

観たのは、「小さな恋のうた」(5月24日(金)公開)。

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(以前もらったチラシ)

MONGOL800が2001年にリリースした「小さな恋のうた」にインスパイアされ、8年の期間をかけて製作された作品だそうで、監督は、以前スクリーンで観た「羊と鋼の森」や「雪の華」で監督を務めていた橋本光二郎。脚本は平田研也

公開前から気になっていた作品。橋本監督の前2作が個人的に演出がしっくりこないところがあったので、公開直後に行くのは躊躇していたのですが、観た方の評価も総じて良いようなので、公開2週目に入って、観に行くことにしました。

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上映は139席のシアター7。公開2週目の19時過ぎの時間帯、お客さんは10数人という感じ。

公式サイト掲載のストーリーによれば、


沖縄の小さな町。日本とアメリカ、フェンスで隔てられた二つの「国」が存在する場所。そこでは、ある高校生バンドが熱い人気を集めていた。自作の歌を歌いこなし、観るものを熱狂させるその実力で、東京のレーベルからスカウトを受け、なんとプロデビューが決まる。しかし、喜びの絶頂で盛り上がる彼らに一台の車が突っ込み、バンドは行く先を見失ってしまう。そこに現れた、一曲のデモテープと、米軍基地に住む一人の少女。それらによって、止まった時計の針は前に進み始める。フェンスの向こう側に友の“想い”を届けるため、彼らは再び楽器を手に取り立ち上がる―。


というあらすじ。

もう少し紹介すると、

高校の軽音楽部でバンドを組むギター&作曲担当の慎司(眞栄田郷敦)、ボーカル&作詞の亮多(佐野勇斗)、ドラムの航太郎(森永悠希)、ベースの大輝(鈴木仁)。彼らに目をかけるライブハウスのオーナー(世良公則)の紹介で、卒業後のプロデビューの道が開けて、大喜びする矢先、交通事故で慎司が命を落としてしまう。落ち込む3人。

一方、慎司の妹で同じ高校に通う舞(山田杏奈)は、前年の学園祭で、観客の心を動かした兄たちのステージが忘れられず、慎司のパソコンに残る兄の曲を聴く。そこにまだ詞のついていない未完成の曲が残っていることを知った舞は、亮多たちにこの歌を演奏してほしいと頼む。しかし、ギターはおらず、ベースの大輝は学園祭のステージに立つために別のバンドに加わっていたため、舞がギターを、亮多がベースを弾いて、ドラムの航太郎と3人でバンドを再開する。

3人は、生前の慎司が、自分の曲をスマホで聴かせるなどひそかにフェンス越しに交流していた、家の近くの基地で暮らす米軍人の娘リサ(トミコクレア)と交流するようになり、学園祭のステージで自分たちの曲をリサに聴かせたいと練習に励むが・・・という物語。

喪失を乗り越えバンドが再生していく、涙なしには観れない青春物語でした。心配だった演出は、やはりしっくりこないところが局所的にはいろいろありましたが、物語・展開の良さがそれを上回って、心に響く作品になっていました。

舞の父(佐藤貢三)は米軍基地で働き、亮多の母(清水美沙)が切り盛りするバーも基地で外出禁止令が出ると閑古鳥が鳴くといった基地に依存する経済、米兵の関与が疑われる事故に、当事者の気持ちとは無関係に一部の市民?活動家?が基地に抗議の声を上げ、基地の中にいるリサは基地の外に出ることもままならない、といった沖縄の状況も、(どこまで実態に即しているかは判断できませんが)物語の重要な背景として描かれます。こうした部分は、意図してもしなくても政治的な臭いがしてしまいますが、基地問題が前面に出ることはなく、あくまで青春物語の背景として控えめに描かれているので、あまり抵抗を感じずに観ることができるのではないかと思います。