鷺の停車場

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「リズと青い鳥」「劇場版 響け!ユーフォニアム~誓いのフィナーレ~」特別上映会@丸の内ピカデリー

先日、有楽町の丸の内ピカデリーで行われた「リズと青い鳥」、「響け!ユーフォニアム~誓いのフィナーレ~」の舞台挨拶付きの特別上映会に行ってきました。

もともと「響け!ユーフォニアム」シリーズは、昨年5月に「リズと青い鳥」をスクリーンで観て圧倒されたのが始まり。「誓いのフィナーレ」を観て、ぜひ再びスクリーンで観たいと思って予約。個人的には舞台挨拶なしで十分だったのですが、もう機会はなかなかないでしょうから・・・。「誓いのフィナーレ」は既に観ていますが、続けて観るとまた見え方が変わるように思えて、一緒に予約しました。

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丸の内ピカデリーに上映開始時間の10分ほど前に到着。丸の内ピカデリーは、MOVIXさいたまに次いでDolby-Cinemaを導入予定ですが、それは今上映を行っていないピカデリー3なのでしょうね。

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この週末からはこれを上映しているようです。エレベーターでシアターがある9階に上がります。

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9階に上がってみると、3台ある発券機には長蛇の列ができています。800人分を3台で捌くとなるとこうなってしまうのでしょう。行列に並ぶ方たちを見ると、9割以上が男性のようでした。ネット予約開始後30分もしないうちに約800席が完売したようですが、予約開始時間に合わせてアクセスした熱心なファンは多くが男性だったということですね。
10分余り並んで発券、何とか予告編の間に間に合います。

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席は2階。座ると、スクリーンの角度はいい感じですが、前に座った方の座高が高くてスクリーンの下部にバッチリ頭がかぶってしまう残念な環境。結果、私も背中を伸ばして観たので、後ろの列の人にもいい迷惑だったかもしれません(すいません・・・)。

間もなく本編が始まります。後頭部がチラチラと目に入り、シーンによっては見たい部分にかぶったりして、特に最初のうちは気が散りましたが、中盤の "reflection, allegretto, you"あたりからは、慣れてきたのか、作品に引き込まれてきたのか、だいぶ気にならなくなりました。

音響は、これまで観た他のスクリーンよりも、背景の音がよく聞こえる感じで、雨の日の合奏シーンでの雷雨の音など、初めて意識する音もいくつかありましたし、希美がプールに誘う場面、希美の前を人が通った時の音響の変化も、Blu-rayのコメンタリーで聞いてはいましたが、初めて実感できました。

大きいスクリーンで観ると、まばたきや目、手や足の動きなど、1つ1つのしぐさにこめられた意味、感情の繊細な動きが伝わってくるようで、みぞれが覚醒する第三楽章の通し練習のシーンあたりからはやはり涙腺が緩みます。周りからも、涙して鼻をすする音が聞こえてきました。やはりスクリーンで観るのは格別です。前の方が悪いわけではないので仕方ないのですが、視界が悪い不運がつくづく残念でした。

ところで、原作を読み返して気付いたのですが、原作ではみぞれの覚醒は府大会を通過して関西大会に向けた合宿での出来事として描かれています。本作では、最後のシーンで、希美が「みぞれのソロ、完璧に支えるから・・・今は、ちょっと待ってて」と言いますが、関西大会の本番を目前に控えて「今は、ちょっと待ってて」と言うのは不自然です。場所が合宿所でなく学校の音楽室になっていること、第三楽章の盛り上がったところに鳴るシンバルが関西大会本番と違っていること(詳しくは下の過去記事を見てください)、「ちょっと待ってて」の直後に2人が「本番、頑張ろう」と声を揃えること、などを考えると、原作よりも時期が繰り上がって、おそらく府大会の前くらいの時期という裏設定なのでしょうね。

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本編終了後、しばしの間の後、舞台挨拶が始まります。
ポニーキャニオンの方の司会で、まずは、事前のアナウンスどおり、本シリーズ主人公のユーフォニアム黄前久美子、チューバの加藤葉月コントラバス川島緑輝、トランペットの高坂麗奈、シリーズの中心人物の2年生4人を演じた北宇治カルテット黒沢ともよさん、朝井彩加さん、豊田萌絵さん、安済知佳さんの4人が登壇。
さらに、サプライズで、同学年で久美子の幼なじみ&恋人のトロンボーン塚本秀一役の石谷春貴さん、1学生上のトランペットで両作品では部長だった吉川優子役の山岡ゆりさん、その同学年のオーボエで「リズ」の主人公鎧塚みぞれ役の種﨑敦美さん、「リズ」で重要な役どころを担った新1年生オーボエの剣崎梨々花役の杉浦しおりさんの4人も加わり、声優8人の豪華な舞台挨拶になりました。

前日に本シリーズの舞台である宇治市で行われたイベントで、『響け!ユーフォニアム』久美子3年生編の制作決定が発表された直後とあって、司会からの質問はその感想など3年生編の話題が中心。

今になって思えば、この特別上映会がセットされたのは、製作決定の発表予定を見越してのものだろうと思いますし、北宇治カルテットの4人は「リズ」ではそれぞれ1~2シーンしかセリフがなく、秀一に至っては、セリフがないどころか画も合奏シーンでぼやけた背景に映っていたかどうか、というくらい存在感がなかったので、時期&登壇メンバーからすれば当然なのかもしれません。来場のお客さんの多くはそれを期待していたのかもしれませんし、いろいろいいお話が聞けたのですが、個人的には、「リズと青い鳥」後の舞台挨拶としてはピントがズレた感があって、せっかく種﨑さん、杉浦さんなども登壇されたのだから、少しはリズの話題も振ってくれるとなお良かったなあと思いました。

ところで、舞台挨拶でもどなたかからコメントがありましたが、まだ作品が公開されているうちに、次回作の制作決定が発表されるのは、なかなかない気がします。原作の武田綾乃さんの小説「響け!ユーフォニアム」シリーズの3年生編となる「決意の最終楽章」が、前編が4月に発売、後編も6/22発売予定になっていることからすれば、基本的なあらすじ(例えばコンクールの結果など)を原作からいじることは考えにくいので、この時期の3年生編の制作決定は、今回の「誓いのフィナーレ」の観客動員数や興行収入が影響したのは間違いないとして、おそらく、近く発売される原作の結末も(内々に知って)考慮された結果なのだろうと想像します。

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「リズ」舞台挨拶の終了後、40分ほど間を置いて、「誓いのフィナーレ」の特別上映会。

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こちらの方は1階席を予約していました。

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視界も上々で一安心。

本編上映前の舞台挨拶、今度はサプライズの4人も含め、8人が一度に登壇。司会の方の質問は、「リズと青い鳥」後の舞台挨拶とほぼ同様でしたが、声優の方々の発言はそれぞれ変化があって、連続で参加する人が多いだろうとご配慮いただいたのだろうと感じました。なお、北宇治カルテットの4人は、これで38回目の舞台挨拶で、これが最後になるとのことでした。

話題が共通だったこともあって、どっちの舞台挨拶で話されたのか入り混じっていますが、記憶などに残っている限りで、登壇された声優の方々のお話を順不同で列挙してみると、

  • 前日のイベントでは、特報映像もリハーサル用に(3年生編の制作決定とは異なる)別の映像が用意されていた。(黒沢)
  • 舞台挨拶の台本も事前に渡されていたものはダミーだった(ただし、サプライズゲストが最初から登壇することになっているなど、内容は雑)(黒沢)←安斉さんは、大人は汚い!と激怒したのだとか。
  • イベントに出た北宇治カルテット4人の動画は、公式Twitterで告知される前に響け!ユーフォニアムのキャストのLINEグループに送った。(豊田)
  • それを見たが、内容がふわふわしていて、公式Twitterを見てホントなんだと思った。(山岡)
  • (ユーフォ卒業生の田中あすか役の)寿美菜子さんに電話で続編決まったと報告したら、やっぱりね、でも直接聞いて実感がわいた、と言ってくれた。(黒沢)
  • この日は来れなかった(傘木希美役の)東山奈央さんと一緒に「誓いのフィナーレ」を観に行った日に一緒に指輪を買った。この日はその指輪をしてきた。一緒に「誓いのフィナーレ」を観に行きたいなって思っていたら、東山さんも同じこと思ってくれていたみたいで、いつ行きます?と連絡してくれて、一緒に行った。(種﨑)
  • 舞台挨拶でこの先の話ができるのはうれしいこと。(石谷
  • 梨々花はみぞれの卒業後も毎日みぞ先輩にLINE送ってそう。(杉浦)←3年生編で種崎さんが演じた鎧塚みぞれの出番を作ろうと、音大受ける人って引退後も練習に来たりする?あるある!とフォローする声優さんたち。
  • (原作の「波乱の第二楽章」にあるエピソードがカットされてしまっていたトランペットの新1年生の)小日向夢のスピンオフも作ってほしい。(安斉)
  • 監督はサブタイトルを「誓いのフィナーレ」にするか「始まりの日」にするか悩まれていたが、何も決まっていないのにファンに期待を持たせることはできないということで「誓い~」にした。(安斉?)
  • こんなに手の込んだ作画、楽器も手書きで、嫌いだったらできない、とスタッフの方が言っていた。石原監督も、作れと言われれば続編なんていくらでも作ります、と仰っていて、愛情を感じる。(黒沢)
  • 3年生編の制作決定の知らせに、みんなやっぱりね、という反応をするが、続編を決めるのにはすごく重いエネルギーが必要。製作サイドが重い腰を上げてくれたのは、何より皆さんの応援のおかげだと思う。(黒沢)
  • 「誓いのフィナーレ」では声の出演はしていないけど、演奏で必ずみぞれを表現してくれると思っていたから1ミリも悔しくない、作品を観ただけで、ピリッとしているけど楽しいユーフォの収録風景があったのだろうと伝わった。(種﨑)
  • 今回の収録は、ピクニックみたいでこれまでで一番緩かった。(黒沢)←私のときのは何だったの?と愕然とする種﨑さん。
  • 鎧塚みぞれを演じることができたことは私の人生の中で大きい、みぞれ役として「響け!ユーフォニアム」にた携われたことが本当に幸せ、とのコメント(種﨑)。
  • みぞ先輩が大好き、もっと言えば、希美先輩のことが大好きなみぞ先輩が好き。希美先輩に対する愛情を、梨々花に向けられるのはなんかちょっと違う。(杉浦)
  • 3年生編では、みぞ先輩以外の人ともっと人間関係やりたい、まずはコンクールメンバーに入るのが目標。(杉浦)(→朝加さんと意気投合)
  • アニメは普通1クールで終わってしまうが、こんなにも長い間、1年生から3年生までやらせていただけるのはありがたいこと。(安斉)

などなど(細部の表現はかなり不正確だと思いますが、ご容赦を)。キャストのみなさんの親密さがにじみ出た、いい舞台挨拶でした。

予定より少し押して、最後は、部長の優子役の山岡さんによる「北宇治~ファイト~オー!」の発声で終了。アニメでは、1代上の部長の小笠原晴香の決まり文句、原作小説では優子が言う場面も出てきますが、山岡さんによると、イベントではやっているが、アニメ本編では言ったことがないのだそう。

舞台挨拶が終わると、20人くらいでしょうか、前の方に座っていた人たちがいそいそと出ていきました。作品ではなく声優さん目当ての人たちなんでしょうか。私には理解できませんが、こんな人もいるんですね。

さて、予告編はなく、映画泥棒と上映前の注意事項が流れたのみで、本編上映が始まります。

「誓いのフィナーレ」を観るのは3回目ですが、今回は、原作の「波乱の第二楽章」と「ホントの話」を読んだ上に、直前に「リズと青い鳥」を観たことで、背景や相互のリンクに気付くこともありました。例えば、画で言えば、練習時のコンクールメンバーの並び方は共通でしたし、最後の校内のシーンで出てくる2台並んだ給水器は「リズ」の冒頭の登校シーンで希美とみぞれが水を口に含んだ給水器でした。「誓い」では、部長の優子のセリフは、基本的に部員みんなの前で話をする場面しかありませんが、「リズ」で描かれた優子が重なって、これまで以上に心に響きました。スクリーンの音響もあったのでしょう、関西大会本番の演奏は圧倒的で、「リズ」の通し練習シーンでは、希美の心象を反映して、次第にオーボエ以外の音はぼやけてくるのですが(Blu-rayの音響スタッフのコメンタリーで、オーボエとフルートは別に収録して、そんな処理をしたという旨のお話がありました)、直後にフルで聴くとその違いがクリアに分かり、青い鳥とリズの関係が、みぞれと希美の関係、そして久美子と麗奈の関係と重なって、自然と涙がこぼれましたし、その後の優子部長の泣き崩れる画や部員を鼓舞するシーンはボロ泣きでした。

前回観たときに、エンドロールで劇中曲の1つとして出てきて謎だったラジオ体操第一、今回、使われている場所までは分かったのですが、実際の音までは聞き取れませんでした。

原作を読み返して気付いたのは、コンクール本番前の舞台袖で、副部長でユーフォ3年の中川夏紀がパート後輩の久美子&1年の久石奏に話すシーンで、映画では別の部員(ホルンのパートリーダーのよう)に呼ばれ2人のところから離れる描写があるのですが、原作にはそのような描写はなく、映画でも何の用件だったかは明かされず、次のシーンでは3人揃って舞台に上がっていきます。どういう意図、裏設定があったのか、ちょっと気になりました。

なお、どちらの上映とも、公開7週目の入場者プレゼントのフィルムをいただくことができました。

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家に帰って開けてみると、合宿の合奏中の秀一と、オーディション結果発表直前に祈る葉月のカット。個人的には3年生のカットが良かったので、残念でした。(もし、送料+αを負担しても欲しいという方がおられればお譲りしますが…)