鷺の停車場

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武田綾乃「響け!ユーフォニアム 北宇治高校の吹奏楽部日誌」を読む

武田綾乃さんの小説「響け!ユーフォニアム」シリーズのガイドブック的な「響け!ユーフォニアム 北宇治高校の吹奏楽部日誌」を読みました。

本編シリーズの第3作「北宇治高校吹奏楽部、最大の危機」、スピンオフ的な「北宇治高校吹奏楽部のヒミツの話」、「立華高校マーチングバンドへようこそ」が刊行された後、2016年10月に刊行されたもの。

書き下ろし小説が2編。

「冬色ラプソディー~北宇治高校 定期演奏会~」

3年生が引退し、北宇治高校吹奏楽部は2月の定期演奏会に向けて始動する。ユーフォニアムの1年生・黄前久美子は、新たに部長・副部長となった吉川優子・中川夏紀の命で、定期演奏会係となったオーボエの2年生・鎧塚みぞれを補佐することになる。部員たちからは様々な希望曲が出され、選曲にも苦労するが、引退した元副部長の田中あすかたちのアドバイスを受けてプログラムを固め、練習に打ち込んでいく。そして本番の日を迎える。

星彩セレナーデ~北宇治高校&立華高校 合同演奏会~」

大成功に終わった定期演奏会の後、3月中旬にマーチングの名門校の立華高校と合同演奏会が行われる。立華高校と合同練習を行う北宇治高校。久美子は、同じ中学の友人で立華高校に進んだトロンボーンの佐々木梓が1年間で驚くほど上達していることに驚き、自分が置いていかれたような気持ちになるが、あすかの指導も受けて練習に励み、本番の一曲でユーフォニアムのソロを任されることになる。

 

書き下ろし小説の後には、「『響け!ユーフォニアム』日誌」として、著者の武田綾乃さんのインタビュー、そしてシリーズ各巻の概要と主な登場人物が紹介されています。インタビューでは、小説を書くときにはこのようなことをしているのか、と興味深い内容がいろいろありました。

次いで、「オザワ部長責任編集『吹奏楽部』日誌」として、吹奏楽部あるある、主な楽器などが紹介されています。私も遠い昔には吹奏楽部に入っていましたが、そうそう、と思う部分がある一方、時代の変化なのか、地域性の違いなのか、私が吹奏楽部にいた当時とは違う部分もあって面白い。

最後は、「『響け!ユーフォニアム』シリーズへの応援コメント」として、小説のカバーイラストのアサダニッキ、コミカライズ版の作者のはみ、取材を受けた吹奏楽関係者、テレビアニメ版の監督の石原立也、シリーズ構成の花田十輝、キャラクターデザインの池田晶子、シリーズ演出の山田尚子などの方々がコメントを寄せています。山田さんが「シリーズの中で好きなエピソード」として、第2巻の「北宇治高校吹奏楽部のいちばん熱い夏」で描かれたみぞれと希美のエピソードを挙げていたのは、これが「リズと青い鳥」につながる源流のひとつだったのかなあと思ったりもしました。