先日、劇場版「ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝―永遠と自動手記人形―」のBlu-rayを買いました。
昨年9月に3週間限定上映ということで公開が始まった作品でしたが、その後上映館も拡大されて、最終的には3か月くらい上映されていたと思います。私も何回もスクリーンに足を運びましたが、再び見たくなるだろうと思って、3月18日の発売前に予約していました。
本体のBlu-rayには、通常の音声のほか、オーディオ・コメンタリーとして、ヴァイオレット・エヴァーガーデン役の石川由依、エイミー・バートレット(イザベラ・ヨーク)役の寿美菜子、テイラー・バートレット役の悠木碧の3人の声優によるコメンタリーが付いています。
その他の特典として、①石川由依・寿美菜子・悠木碧・内山昂輝(ベネディクト・ブルー役)のキャストコメントやその他のキャラクター紹介、世界観設定・鈴木貴昭による「当時の女学校に関して」「時代の変遷について」の解説、設定資料を収録したブックレット、②藤田春香監督によるコンテ・コメンタリー(解説付き絵コンテ集)、③原作の暁佳奈さんの書き下ろし短編小説「エイミー・バートレットと春の木漏れ日」、④劇場入場者プレゼント「書き下ろし短編小説冊子」表紙原画カード(4種)、劇場ポスター縮刷版カード が付いています。
大まかなあらすじは、次のようなもの。
作品の前編「寂しくなったら名前を呼んで」は、船でライデンシャフトリヒに向かう少女、テイラー・バートレットの描写で始まります。テイラーがある言葉を口にしたところで、ヴァイオレット・エヴァーガーデンが全寮制女学校に入ったイザベラ・ヨークの家庭教師として赴任する場面に切り替わります。イザベラに淑女にふさわしい振舞いや作法を身に付けるために派遣されたヴァイオレットに、始めは冷たく接するイザベラだったが、交流を通じて、思いが次第に変化していき、別れの夜、愛する妹テイラーのために、エイミー・バートレットという自分の名前も過去も捨てて名家の娘となった自分の過去をヴァイオレットに話し、妹への手紙を託す。その手紙を届けに孤児院を訪れたポストマンのベネディクトが、文字が読めないテイラーにその内容を読み聞かせると、テイラーは立ち上がって涙を流し、「エイミー」とその名を呼ぶ。
後編「君の名を呼ぶ、それだけで二人の絆は永遠なんだ」は、最初に出てきた船が港に錨を下ろし、テイラーがライデンシャフトリヒの地を踏むところから始まります。ヴァイオレットとベネディクトが勤めるC.H.郵便社を訪ねるテイラーは、手紙で幸せを届けるポストマンになりたいと訴え、見習いとして働き始める。その思いに触れたヴァイオレットは、姉に手紙を書くことを勧め、文字を十分に書けないテイラーを手伝う。その手紙を届けるため、ベネディクトは結婚して居場所が分からなくなったイザベラを探し出し、テイラーを連れてその屋敷に向かう。手紙を渡されてその内容を読んだイザベラは感激して涙を流し、隠れてその様子を見ていたテイラーも涙する。戻ってエヴァーガーデン家に養子として引き取られたテイラーは、窓から外を眺め、姉エイミーを思うのだった・・・というところで、物語は幕を閉じます。
やっぱり、家で見返してもいい映画でした。
通常の音声でひととおり見た後、キャストによるオーディオコメンタリーを見てみます。監督からのメッセージも時折交えながらの主要な役を演じた女性声優3人によるコメンタリー。映画ではそれぞれキャラが立って全く違う喋り方なのに、コメンタリーではあまり声が違わなくて、時々誰がしゃべっているのか分からかったりするのは面白いところだと思いました。
コメンタリーでのコメントをいくつか挙げると、
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もともとはもっと短い映画の予定で、アフレコは1日で行われた。(前半あまり出番のない)悠木さんは前半はお客さんのような気持ちで参加していた
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声優さんはいろんな役をやることが多いが、みんなのメイン・ウェポンで取りかかった感じがする。テレビシリーズのときから、ここをやったら絶対大丈夫なところをできる人を選んだみたいなことを(音響監督の)鶴岡さんが言っていた
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前編後半の舞踏会のシーンのヴァイオレットのパンツスタイルの衣装は、シリーズ構成の吉田(玲子)さんのアイデア
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前編の回想シーンでのテイラーは、普通に教育を受けてきていたらもっと話せる年齢だが、ちゃんと教育を受けておらず話せないので、より動物味があったらいいなと思って取り組んだ
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郵便配達のシーンでテイラーが歌う歌は、文字を覚えるための歌で、本当はフルサイズあるらしい(けど悠木碧さんもフルは知らない)
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この間オーケストラ・コンサートをやったときにタイプライターを叩かせてもらったが、けっこう力強くやらないといい音が鳴らなくて、こんな感じなんだと始めてわかった(石川さん)
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(孤児院のように)ガヤっとしているところで育っていると、自分の声が大きくないと伝わらないから、たぶん競って育つ、そんな感じが出るといいなと思ってワシワシしてみた(悠木さん)
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終盤のエイミーが空に向かってテイラーの名前を叫ぶシーンは、はばたけ、という思いをここに込めたと監督が言っていた
などなど、興味深いお話が聞くことができました。
要所要所で紹介された監督からのメッセージにも、
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イザベラは、悪目立ちしないようにバレエの所作を取り入れている。次第にレディに近づくにつれて手先やつま先まで美しく立ち回れるようになっている
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前編の後半にヴァイオレットがイザベラの手を引いて学校に向かうシーンは、歩いているのか走っているのか分からない何ともいえないスピード感にして、呼吸器の弱いイザベラを気遣うヴァイオレットを表現している
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花の色は、前編は白に統一しているが、後編は一転して色とりどりにしている
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前後編に分けているけれど、姉妹のつながりを映像の表現としても表現したくて、時間や場所は違ってもレイアウトを同じにしたりシンメトリーにしたりしている
といったように、画作りのこだわりがうかがえました。
当初は1月10日公開予定だったものが、昨年の放火事件の影響で4月24日に公開が延期された「劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン」ですが、新型コロナウイルス感染症の拡大により政府が緊急事態宣言を発する方針を公表という状況を受け、再び公開延期が発表されました。延期後の公開日は今のところ未定で、外出自粛が不要となってからになるのだろうと思うと、数か月先になるのかもしれません。観ようと思って前売券を買っていたので、楽しみに待ちたいと思います。
その代わりということはないですが、本作の再上映が4月10日から始まるようです。「劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン」に限らず、数多くの新作映画が公開延期となってしまい、代替で上映する作品を用意する必要がある映画館の事情もあるのでしょうけど、少し嬉しく思います。首都圏に外出自粛要請が出されている現状では、すぐに観に行くのは難しいですが、状況が許せば、もう一度スクリーンで観てみたい気もします。