鷺の停車場

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テレビアニメ「凪のあすから」

テレビアニメ「凪のあすから」を見ました。

nagiasu.jp

2013年10月から2014年4月にかけてTOKYO MXなどで放送されていたオリジナルアニメ。dアニメストアで他の作品を見たときに、何度かおススメの作品として表示されて、ちょっと気になっていましたが、全26話と話数が多いこともあって、見始めるきっかけがなかなかありませんでした。最近になって、家で過ごす時間が大きく増えたこともあって、見始めてみました。

監督:篠原俊哉、シリーズ構成:岡田磨里、キャラクター原案:ブリキ、キャラクターデザイン・総作画監督石井百合子、アニメーション制作:P.A.WORKSという主要スタッフ。篠原監督・アニメ制作がP.A.WORKSというコンビは、少し前に見た「色づく世界の明日から」と同じです。

 

全体のあらすじは、

 

海の中にある村・汐鹿生(しおししお)で仲良く暮らす14歳の先島光【花江夏樹】、向井戸まなか【花澤香菜】、比良平ちさき【茅野愛衣】、伊佐木要【逢坂良太】の4人は、汐鹿生の中学校が廃校になったことにより、地上の鴛大師(おしおおし)の中学校へ通うようになる。最初は陸の人間たちに溝を感じる光たちだったが、同級生の木原紡【石川界人】と出会いなどを経て、少しずつ溝が埋まっていく。
一方、光の姉のあかり【名塚佳織】は陸の人間の潮留至【間島淳司】と付き合っていることが見つかってしまい、陸の人間と結ばれることを禁ずる村の掟から反対され一度は心が揺らぐが、至と生きていく決心を固める。
その頃、汐鹿生やにぬくみ雪が降るようになる。それは、海神の力が弱り、世界は凍え、海の人間に冬眠の時がやってくることを意味していた。
不漁の兆しを感じた陸の人間も協力することになり、古くから伝わる神事「おふねひき」は、冬眠に入る日と同じ日に、陸と海の人間たちが共同して、あかりと至の結婚と一緒に執り行われることとなる。あかりの結婚の当日、「おふねひき」のさなかに起きた渦潮により、汐鹿生では冬眠が始まるが、ちさきは1人陸上に取り残される。

それから5年後、陸の世界では寒冷化が進み、海の世界との交流は絶たれていた。唯一冬眠しなかったちさきは紡の家で暮らしながら看護師を目指し、紡は大学で海の研究に当たっていた。光に憧れていた至の娘の美海【小松未可子】とその友人で要に憧れていた久沼さゆ【石原夏織】も、憧れの気持ちを持ったまま、光たちと同じ年になっていた。
そんなある日、行方不明だった光が5年前と変わらぬ姿で見つかる。光は冬眠中の記憶がなく、おふねひきは昨日のように感じており、5年間ですっかり変わってしまった町や人々を受け入れられない。間もなく、要も5年前と変わらぬ姿で発見されるが、ちさきは自分だけが変わってしまったことに戸惑う。
そんなある日、海に落ちた美海は自分が海の中で呼吸ができるようになる。海の人間を母に持つ美海に、海の人間が持っている薄膜「エナ」ができていた。そして、紡たちの提案で、美海、光、要は汐鹿生を探しに海に潜る。美海が砂の流れるような音に導かれて進むと、かつてと風景が一変した汐鹿生にたどり着く。そして、「おふねひき」で生贄として捧げされる人形「おじょしさま」の墓場のような場所に導かれた3人は、そこに冬眠しているまなかを見つけるが、エナが失われていていた。美海の前に汐鹿生の守り神であるうろこ様【鳥海浩輔】が現われ、「何かが現れるとき、何かが失われる」と語る。
3人はまなかを陸に連れて帰るが、目覚めたまなかは人を好きになる心を失っていた。かつて、陸から生贄として海神に捧げられ、陸の想い人を忘れられず、人を好きになる心を奪って陸に戻された「おじょしさま」、まなかはおじょしさまとして、5年間墓場に眠っていたのだった。しかし、陸だけで再び行われた「おふねひき」で、美海はまなかを助けるため海神様の大渦に呑み込まれてしまう。美海を助けに向かった光と紡だが、美海はおじょしさまの墓場で繭のようにエナに包み込まれていた。そこで、海に溶けていた「おじょしさま」の想いに初めて気付いた海神様の御霊火が大きく反応して汐鹿生の街に灯をともし、美海は光に助けられ、凪だった海が波を取り戻す。

・・・という物語。

 

公式サイトに掲載されているストーリーは以下のとおりです。 

第一話:海と大地のまんなかに

海村に住む先島光は、それまで通っていた波路中学が廃校になったため、幼馴染の向井戸まなか、比良平ちさき、伊佐木要らと一緒に、地上にある美濱中学校に通うことに。
光の提案で全員波中の制服を着ていく約束をしていたが、まなかだけは「反感買っちゃうかも」と濱中の制服を着ていた。
それを見た光に怒られ、一度着替えに戻ったまなかだったが、皆の元に戻る途中、突如、頭上からふってきた網に捕らえられてしまう。
釣り上げられた彼女の目の前には、まなかを不思議そうに見つめる木原紡がいた——。

第二話:ひやっこい薄膜

うろこ様の呪いでまなかの膝にできた“魚面そ”。
翌日ようやく消えたが、紡に、魚面その鱗と自分を綺麗だと言ってもらえたので、少し残念に思っていた。一方、学校で紡とまなかが話している姿を見つけた光は、「地上の奴らが、海村に関わるな」と突っかかる。
だがその後、不本意ながらも紡、まなか、ちさき、要たちと“おじょしさま”と呼ばれる木彫りの人形を作ることに。
文句を言いつつ放課後まで作業していた光は、他の三人と家に帰る途中、光の姉、あかりが地上の男といるところを目撃してしまう。

第三話:海のいいつたえ

海村の大人たちに腕をつかまれ連れられるあかり。
それを止めようとする光たちだったが、“地上の人間と付き合うと、海村を追放される”という海村の掟を初めて聞かされる。
血気盛んな光はちさきたちの制止も聞かず、要と男だけの作戦会議を始める。
追い出されたまなかとちさき。すると、まなかがお腹の赤いウミウシを見つける。
誰にも言えない気持ちを伝えると教えてくれるという赤いウミウシ
そのとき、ちさきはまなかにたずねる、「紡君のこと好きなの?」と……。

第四話:友達なんだから

あかりの彼氏が、あかりや自分に時々ちょっかいを出していた潮留美海の父、至であることを知った光。その事実に動揺するも、二人を別れさせるのに協力してと頼む美海に、邪魔をするのは嫌いだと告げる。
翌日、家庭科の授業で、普段から家事をしている光は、鮮やかな手つきで料理を作っていく。楽しそうにする一同だったが、試食時には海村の班は孤立していた。まなかは勇気を出して他の班に料理を勧めるが、ぞんざいにあしらわれてしまう。それを見た光は思わず立ち上がろうとするが……。

第五話:あのねウミウシ

うろこ様と灯に、至への想い、そして自分の気持ちを打ち明けたあかりは少し笑顔を取り戻していた。そんな姉を見てホッとした光は学校へと向かう。いつもの通学路、ひとり遅れたちさきは浮かない顔でウミウシを眺め、まなかの言葉を思い出していた。「私の気持ち、なんとかしなくちゃ……」と思っていた時、漁の手伝いで遅れていた紡とばったり出会う。そして自分の心を見通されたかのように、自分の気持ちを問いかけられたちさきは、僅かに震えつつ想いを口にする。だが視線の先にはまなかが立っていた……。

第六話:巴日のむこう

プールの授業で女子のスクール水着姿に一喜一憂する男子生徒たち。まだ地上の学校に慣れていないまなかたちも、どうにかクラスメイトたちと仲良くやれるようになってきた。「今日はタイム測るぞ」という先生のひと言に生徒たちから不満の声があがる中、光は紡にライバル心を燃やす。しかし海とは違う感覚、また紡が予想以上に速かったことに動揺した光は、焦って足先を飛び込み台の壁にぶつけて爪を剥がしてしまう。光の動きが突然乱れたことに気がついたまなかは、水中を漂う一筋の血を見た瞬間、プールに飛び込んでいた。

第七話:おふねひきゆれて

放課後、木工室ではクラスメイトたちが集まり“おじょしさま”完成に向けてラストスパートをかけていた。
「できたぁ〜っ!!」という声とともに、湧き上がる生徒たち。
完成した“おじょしさま”を中心に飾りや付属物が並ぶ光景に、先生も目を輝かせていた。
そんな中紡から、昔のように海も地上も総出でやっていた「おふねひき」を出来ないかと提案があり、まなかやクラスメイトたちもそれに賛同。それを見た光は、海村の説得を自分からすすんで引き受け、紡に地上の村と全体をまとめるよう声をかける。

第八話:たゆたう想いのさき

地上で至と共に生きていくことを決めたあかりと、姉と一緒に家を出ると宣言した光。
2人は引きとめようとするうろこ様の術を振り切り、なんとか地上へとたどり着いた。
至の家に姉と居候することになった光は、美海があかりに、本当は好きという気持ちを伝えたいと知り、まなかたちと一緒に姉へのプレゼントを街に買いに行こうと提案。
そんな光に少し驚きながらも美海の表情は明るくなっていった。
買い物当日、まなか、ちさき、要を加えた5人は慣れない券売機で右往左往。
そこに手を差し伸べたのは街へ向かう紡だった。

第九話:知らないぬくもり

薄く積もった“ぬくみ雪”を集めて雪ウミウシを作って遊ぶ美海とあかり。
そんな2人を眺めながら光は、海村とひとり残った父・灯のことを考えていた。
その頃、海村では男衆が公会堂に集まり、神妙な顔つきでうろこ様に目を向けていた。
宮司である灯が声をかけると、うろこ様は小さく息を吐き、真剣な表情でこの先訪れる禍事についての話を始めた……。
翌日、まなかのひと言から、中止になった「おふねひきを」を、自分たちの手で最後までちゃんとやるために、教師やクラスメイトは、準備のために奔走するのだった。

第十話:ぬくみ雪ふるふる

うろこ様から、海神様の力がかつてとは比べようもない程弱く小さいこと、海にも地上にもぬくみ雪が降り積もり、世界はどんどん灰色に冷たく凍えていくこと、 エナを持つ者が凍える世界から逃れるには、眠ること以外に術はないことが告げられる。
いきなりの事に半信半疑の光は、地上のことを心配するが、 灯に「あいつらにはエナはない。何も言う必要はない」と突き放される。
諦めきれない光は、海神様の力を取り戻すため何が何でも「おふねひき」を実行するんだと、まなかたちを引き連れうろこ様に直談判に行くのだが……。

第十一話:変わりゆくとき

「もう、傍観者でいるのに飽きたんだ」「俺、ちさきのことが好きなんだよね。かなり前から」。
突然要にそう告げられたちさきは、その言葉をうまく受け入れられずにいた。
そして光やまなかも“ぬくみ雪”の脅威から逃れるための冬眠、海神様に力を取り戻してもらうための「おふねひき」などの準備に追われ、 幼馴染のまま、いつまでもいつまでも続くと思っていた彼らの関係は、いつしか大きな変化の時を迎えていた……。
冬眠につく日と「おふねひき」が奇しくも同日と決まり、徐々に時間が迫る中、あかりは皆にひとつの想いを打ち明ける。

第十二話:優しくなりたい

おじょしさまの代わりに自分が船に乗り、「おふねひき」が終わったら海神様に嫁いでいく気持ちで、至のもとへ嫁ぎたいと告げたあかり。
それは最初の「おふねひき」を目指して、もう一度動き出した瞬間だった。
そんなあかりにブーケを作るため空地で花を摘むことにした美海とさゆは、そこで地上に出てきた灯と出会う。
初めて見る灯に驚く少女たちだったが、光やあかりの父であることを知った美海は、光たちが海で冬眠するよう伝えてほしいと願い出る。
だが逆に灯から「地上で生きたほうが幸せなのかもしれない」と告げられるのだった。

第十三話:届かぬゆびさき

家でまなかのことを思い出していた光は、シオシシオに戻った彼女に改めて自分の気持ちを伝える。
まなかも光に何かを伝えようとするが、「おふねひき…終わったら言うね」と微笑み答えるだけだった……。
「おふねひき」当日、それは光たちが冬眠する日でもあった。地上の美濱中学校に初めて登校した時と同じように、幼馴染の4人はそろってうろこ様がいる鳴波神社へ挨拶に向かった。
そして、最後は自分たちに進む道を選ばせてくれた大人たちに見送られ、紡やあかりたちの待つ地上へとあがっていくのだった……。

第十四話:約束の日

汐鹿生の“冬眠”当日に開かれた“おふねひき”から5年。光やまなかの行方が分からぬまま、19歳となったちさきは紡の祖父、勇を見舞いに病院を訪れていた。
看護学校を卒業したら、ここに来るといいわよ」と看護師に声を掛けられ、微笑むちさき。短いようで長い5年という年月は彼女の環境を大きく変えていた。
紡は異常気象を解明するため都会の大学へ、14歳となった美海とさゆは美濱中学校に進学。そして至とあかりとの間には男の子(晃)が生まれていた……。

第十五話:笑顔の守り人

巴日の日、5年前と変わらぬ姿で美海たちの前に流れ着いた光。
“おふねひき”の当日からの記憶が一切なかったが、身体には異常なく次の日から潮留家で以前と変わらぬ生活を送ることができた。
ちさき、紡、美海、あかりたちは喜びと共に光を迎えるも、突然のことにどう接していいのか分からずにいた。
また光本人も、紡と一緒に海村の研究している教授の三橋から、世界は依然凍っていっていること、自分以外汐鹿生の人間は誰も目覚めていないことを知り愕然とする。

第十六話:遠い波のささやき

巴日の日、5年前と変わらぬ姿で美海たちの前に流れ着いた光。
“おふねひき”の当日からの記憶が一切なかったが、身体には異常なく次の日から潮留家で以前と変わらぬ生活を送ることができた。
ちさき、紡、美海、あかりたちは喜びと共に光を迎えるも、突然のことにどう接していいのか分からずにいた。
また光本人も、紡と一緒に海村の研究している教授の三橋から、世界は依然凍っていっていること、自分以外汐鹿生の人間は誰も目覚めていないことを知り愕然とする。

第十七話:ビョーキなふたり

冬眠から目覚めた要。あかりから報告を受けた光と美海が漁協に急ぐと、そこには光と同じく5年前と変わらぬ要の姿があった。
また知らせを聞いたちさきと紡も漁協に駆けつけるが、要は2人一緒に現れたことに少し動揺してしまう。だが久しぶりの再会に笑顔を見せるのだった。
その後、三橋から幾つか質問を受けることに。要自身ほとんど記憶はなかったが、砂が流れるような音がした気がすると答える。それを聞いた美海は、自分も今日、海に入った時その音を聞いたと言うのだが……。

第十八話:シオシシオ

三橋の予想を元に汐鹿生への道を探るべく海に潜った光、要、美海の3人。
美海が聞こえたという砂の音を頼りに海流の中を進むと、そこには雪に覆われた汐鹿生があった。光たちにとっては懐かしく、美海にとっては初めて訪れる海村。
静寂に包まれた村を歩く3人は、未だ冬眠から目覚めぬ村人たちを見つける。光と要はそれぞれの家に向かい、ひとり残された美海は光たちが通っていた波路中学に向かう。そこで美海の前に現れたのは……。

第十九話:まいごの迷子の…

“おじょし様の墓場”で厚いエナの膜の中で眠るまなかを見つけた光たち。
エナを失いかけていた彼女をなんとか地上に運び潮留家まで連れて行くが、まなかはまだ眠ったままだった。
その後、医師の診察を受け、エナは無くなったものの身体に異常がないと分かり、ホッとする一同。
医師が帰ったあと、眠るまなかにひとり話しかける光の姿があった。それを見る美海は何を想うのか。
一方で勇を見舞いに行ったちさきは、勇からおじょし様の話には続きがあると聞かされるのであった。

第二十話:ねむりひめ

おじょしさまの墓場で眠るまなか見つけ地上に連れ出した光たち。自分たちと同じようにすぐに目覚めると思っていたが、一週間経ってもまなかは眠り続けたままだった。
光、要、ちさきは、まなかを目覚めさせる手がかりを探すため連日汐鹿生に潜っていた。一方、美海とさゆも学校の図書室でさまざまな文献を調べることに。
白雪姫からヒントを得たさゆの「光がまなかにキスしちゃえばいいと思うんだ」というひと言を強く否定する美海。そこで美海は本当の自分の気持ちに気付くのだった……。

第二十一話:水底よりの使い

光と美海が言い争う中、突如目覚めたまなか。驚く光と美海をよそに、まなかはまるで何事もなかったかのような笑顔を見せる。
エナが突然なくなってしまった原因は分からずじまいだったが、ほかに異常はなく、そのまま至の家に居候することになる。
流氷、降り積もったぬくみ雪、5年前と変わった町並みに驚きつつも、再びみんなでいられることが嬉しそうでもあった。だがそんな彼女の笑顔に、光はどこか違和感を覚えるのだった。

第二十二話:失くしたもの

うろこ様のことを話題にした紡の肘に、以前のまなかと同じ魚面そができる。それを知った光たちは、うろこ様が海の中では無く地上にいると確信。
汐鹿生の皆のこと、これからの地上のこと、そしてエナを失ったまなかのことを聞き出すため、美海、さゆも交えて、うろこ様探しが始まる。
そんな中、空き地の土管に仕掛けたHな本とたけのこの煮物がなくなっていることに気付くまなかたち。まなかは絶対うろこ様だと大騒ぎ。そんなわざとらしいほど元気に振る舞う彼女に、光は疑問に思っていたことをぶつける。

第二十三話:この気持ちは誰のもの

まなかが人を好きになる心を無くしていることをうろこ様から聞かされた光と美海。
どうすれば元のまなかに戻るのか、そればかり考える光はまなかの顔をまともに見ることができなかった……。
2人はちさき、要、紡、さゆにまなかのことを相談しようとする。今までのように皆で考え、何か解決策に繋がればと期待したのだが、要やちさきからは解決策どころか、今のまなかは楽しそう、好きの感情が戻ることで逆に辛くなることもあるのではと予想外な言葉が返ってくる。
それを傍でじっと聞いていたさゆが叫んで……。

第二十四話:デトリタス

ちさきを追って海に飛び込んだ紡。息が出来ず意識を失いかけるも、突如身体にエナが生まれ呼吸ができるようになる。
ちさきに追いついた紡は、冬眠する汐鹿生で自分の想いをちさきに伝える。感情が交錯するちさきは涙ながらにその場から走り去ってしまう。
その一方、晃からの手紙を受け取るまなか。そこには一生懸命な文字で「まなか、だいすき」と書かれていた。
だが、誰かを好きになる心を失くしてしまったまなかは、晃の気持ちにどう答えて良いか分からず、無言で立ち去ることしかできなかった……

第二十五話:好きは、海と似ている。

ぬくみ雪の脅威を少しでも抑えるため、そしてまなかの気持ちを取り戻すため、光たちは再びおふねひきをすることに決める。
祭りの前日、皆が準備をする中おじょしさまに着けられた赤ウミウシのペンダントにまなかの“好き”が詰まっていると聞かされた晃は、突然ペンダントを引きちぎってしまう。
そのはずみで海に吸い込まれるよう落ちていくペンダント。慌てて海に飛び込む美海だったが、溶けだしたウミウシの石の小さな粒子から、5年前、ウミウシにつぶやいたまなかの声が聞こえてくる。

最終話:海の色。大地の色。風の色。心の色。君の色。~Earth color of a calm

まなかを助けるため海神様の大渦に呑み込まれ、おじょしさまの墓場で繭のようにエナに包み込まれる美海。
彼女を追ってきた光と紡は、海神の力に阻まれ手を出せずにいた。
紡はほかに異変が起きていないか調べるためうろこ様の社に向かうのだが、光はまなかの気持ち、そして美海の気持ちを知り、その場から動けずにいた。
“人を好きになる気持ち”を改めて実感して苦悩する光。
そんな姿を繭の中から眺める美海は、ひとつの想いを強く感じていた。
「好きになる気持ちは、ダメじゃない」と――。

(ここまで)

 

13話までが冬眠前の汐鹿生を描くいわば第1部で、14話以降が5年後を描くいわば第2部になっています。

海の景色など、風景の美しさはとても見事です。アニメーション制作のP.A.WORKSは、同じく作画が見事だと思う「色づく世界の明日から」、「さよならの朝に約束の花をかざろう」と同じ。目が大きいキャラクター・デザインは私の好みとはちょっと違いましたが・・・

まなかが好きな光だが、まなかは紡が好きなんだと思い込んでいる。そんなまなかは自分の気持ちがわからない。ちさきは光を好きだが、要はちさきが好きで、それぞれの思い、踏み込んで変わっていくことへの迷いが交錯していきます。

5年後の第2部では、紡は5年間一緒に暮らしてきたちさきが好きになっているが、ちさきはその好意を感じつつ、光が好きな自分のままでいなければいけないと思っている。目覚めた光はまなかが、要はちさきが好きなことは変わっていませんが、同じ年になった美海は5年前に幼心に恋していた光が好きになり、同様にさゆも要が好きになっていて、さらに互いの思いが交錯し、最終的には、人を好きになる心を取り戻したまなかは、光と両想いになってハッピーエンドを迎え、紡はちさきと、要はさゆと向き合う雰囲気を醸し出して物語の幕を閉じます。

他の人が好きな人を好きになってしまうことへの迷い・逡巡が、作品を通じて描かれる大きなテーマですが、人を好きになるって、ダメじゃない、という美海の思いが、海神を「おじょしさま」の想いに気付かせ、汐鹿生の人々を冬眠から日常を取り戻す大きな力になります。中学生が主人公ですが、このあたりの関係は、ちょっと大人びた感じがしました。

 

お題「#おうち時間