鷺の停車場

映画、本、グルメ、クラシック音楽、日常のできごとなどを気ままに書いています

やきとり屋すみれ 柏東口店でテイクアウト

柏駅東口の「やきとり屋すみれ 柏東口店」でお弁当のテイクアウトをしました。

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お店は柏駅東口を出て徒歩3分ほど、花屋の2階にあります。都内だけで40店ほど、千葉県内でも5店ほど出店しているチェーンのようです。

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もともとは夜のみの営業だったようですが、コロナ渦を受けてランチからの営業になっています。

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お持ち帰りメニュー。

あらかじめ電話で予約してから来店。世間的には平日のお昼時、店内にはカウンター席に2人、テーブル席に1組のお客さんがお昼を食べていました。

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焼き鳥弁当(800円。値段は税込み)。値段はテイクアウトメニュー記載のものから改定されているようです。上から、つくね、ねぎま、ひなトロが載っています。いずれも十分満足できるお味でした。

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家族が食べたから揚げ弁当(700円)。揚げたてだったこともあり、かなり満足していました。

このお店もいずれは夜に食べにいってみたいと思いました。

 

 

◎やきとり屋すみれ 柏東口店
千葉県柏市柏1-5-6花ヒロビル2F(Tel:050-2019-1431)
営業時間:17:00~24:00(ラストオーダー フード23:00・ドリンク23:30)※現在は11:30~20:00(ラストオーダー19:00)
定休日:なし

映画「すばらしき世界」

再び週末にMOVIX柏の葉に行きました。

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週末の午後ですが、緊急事態宣言下というのが大きいのでしょう、まだ人はまばらです。

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この日の上映スケジュール。引き続き20時までに上映が終了するスケジュールになっていました。

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この日観に来たたのは、「すばらしき世界」(2月11日(木)公開)。

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上映は470+3人、この映画館では最大のシアター10。「花束みたいな恋をした」、「ファーストラブ」など、全国での興行成績がより上位の作品も上映しているのに、この作品を最大スクリーンということは、この館では公開初週だった前週末の入りが良かったということなのでしょう。この日のお客さんは4~50人ほどでした。

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刑期を終えた元殺人犯の出所後の日々を描いた佐木隆三の小説「身分帳」を基に、舞台を約35年後の現代に、西川美和の脚本・監督で映画化した作品。


公式サイトのストーリーによれば、

 

 冬の旭川刑務所でひとりの受刑者が刑期を終えた。
 刑務官に見送られてバスに乗ったその男、三上正夫(役所広司)は上京し、身元引受人の弁護士、庄司(橋爪功)とその妻、敦子(梶芽衣子)に迎えられる。
 その頃、テレビの制作会社を辞めたばかりで小説家を志す青年、津乃田(仲野太賀)のもとに、やり手のTVプロデューサー、吉澤(長澤まさみ)から仕事の依頼が届いていた。取材対象は三上。吉澤は前科者の三上が心を入れ替えて社会に復帰し、生き別れた母親と涙ながらに再会するというストーリーを思い描き、感動のドキュメンタリー番組に仕立てたいと考えていた。生活が苦しい津乃田はその依頼を請け負う。しかし、この取材には大きな問題があった。
 三上はまぎれもない“元殺人犯”なのだ。津乃田は表紙に“身分帳”と書かれたノートに目を通した。身分帳とは、刑務所の受刑者の経歴を事細かに記した個人台帳のようなもの。三上が自分の身分帳を書き写したそのノートには、彼の生い立ちや犯罪歴などが几帳面な文字でびっしりと綴られていた。人生の大半を刑務所で過ごしてきた三上の壮絶な過去に、津乃田は嫌な寒気を覚えた。
 後日、津乃田は三上のもとへと訪れる。戦々恐々としていた津乃田だったのだが、元殺人犯らしからぬ人懐こい笑みを浮かべる三上に温かく迎え入れられたことに戸惑いながらも、取材依頼を打診する。三上は取材を受ける代わりに、人捜しの番組で消息不明の母親を見つけてもらうことを望んでいた。
 下町のおんぼろアパートの2階角部屋で、今度こそカタギになると胸に誓った三上の新生活がスタートした。ところが職探しはままならず、ケースワーカーの井口(北村有起哉)や津乃田の助言を受けた三上は、運転手になろうと思い立つ。しかし、服役中に失効した免許証をゼロから取り直さなくてはならないと女性警察官からすげなく告げられ、激高して声を荒げてしまう。
 さらにスーパーマーケットへ買い出しに出かけた三上は、店長の松本(六角精児)から万引きの疑いをかけられ、またも怒りの感情を制御できない悪癖が頭をもたげる。ただ、三上の人間味にもほのかに気付いた松本は一転して、車の免許を取れば仕事を紹介すると三上の背中を押す。やる気満々で教習所に通い始める三上だったが、その運転ぶりは指導教官が呆れるほど荒っぽいものだった。
 その夜、津乃田と吉澤が三上を焼き肉屋へ連れ出す。教習所に通い続ける金もないと嘆く三上に、吉澤が番組の意義を説く。「三上さんが壁にぶつかったり、トラップにかかりながらも更生していく姿を全国放送で流したら、視聴者には新鮮な発見や感動があると思うんです。社会のレールから外れた人が、今ほど生きづらい世の中はないから」。その帰り道、衝撃的な事件が起こる・・・。

 

というあらすじ。

上記のストーリーの中で紹介されている以外のキャストとしては、

  • 三上が殺人を犯した後に離婚し、今は再婚している元妻・久美子:安田成美
  • 三上と兄弟分の下稲葉組の組長:白竜
  • 組長の妻・マス子:キムラ緑子

など 。

 

弱者への優しい目を持つが、根は直情的な三上が、かたぎとして生きていこうとする姿を描いています。元受刑者が社会復帰に苦労する姿が丁寧に描かれ、いろいろと考えさせられるいい映画でした。

厄介者を排除しようとするこの社会で生きていくためには、三上は沸き起こる怒りを抑えなければならない。我慢しきれず激高するシーンもあり、それが、帰宅時の会社員にからむチンピラを叩きのめす、上記のストーリーにある「衝撃的な事件」を起こすことになります。
その直後、一度はかたぎで生きることに嫌気が差し、兄弟分の組長に電話を掛けた三上は、その誘いで九州に向かい、ひと時穏やかな日々を過ごしますが、その組にも警察の捜査が入ってしまいます。組長の妻はかたぎの世界を諦めないよう諭して餞別を渡し、三上を逃がします。
そんな時、津乃田から、三上が育った児童養護施設で母親のことを調べてくれることになったと連絡が入り、三上は津乃田とその施設を訪れます。当時の書類は既に焼却されていたことが分かり、母親の情報は得られませんが、三上は施設で暮らす子供たちとサッカーで遊び、涙します。
東京に戻った三上は、井口の勧めで、老人養護施設で働くことになります。働きながら自動車教習所に通う日々が始まり、庄司夫妻や松本、津乃田たちにも就職を祝福され、安定した生活が始まるかと思われたある日、施設で、一緒に働く知的障害者を陰でいじめるスタッフを見つけ、叩きのめしたい衝動を必死で抑えます。その直後、他のスタッフと仕事をする三上のところにそのスタッフもやってきて、その知的障害者スマホゲームに夢中なあまり、お風呂に入れていた老人が溺れそうになったこと、受け入れると補助金がもらえるのでこの施設には前科者や知的障害者が多いが、働きぶりが悪いと見下した言い方で愚痴ります。三上は、一瞬攻撃的な衝動を覚えますが、それを抑えて愛想笑いを浮かべ、やり過ごします。
その帰り、その知的障害者から、摘んだ花をもらってアパートに向かう三上に、元妻の久美子から電話が入ります。当時のアルバムも残っている、今度(子どもも一緒だが)デートしようと誘う久美子の声に、暖かい気持ちになって帰宅した三上ですが、洗濯物を取り込んだところで倒れ、そのまま命を失ってしまいます。

 

善良な市民がリンチに遭っていても見過ごすのがご立派な人生ですか?、との三上の投げかけは、見ている我々に向けられたものでもあります。三上の社会復帰を後押しする庄司たちは、本当に必要なもの以外は切り捨てないと自分の身は守れない、逃げるのは敗北じゃない、と社会で生きていくために諭し、その思いを受け止めた三上は、沸き上がる怒りを必死に抑えます。これは、一度は組長のもとに身を寄せるも、ヤクザの世界も昔と違って生きにくくなっていることを実感したこともあるのだと思います。社会で生きていくためには必要な現実的な知恵・スキルですが、それが三上の寿命を縮めたことも確かでしょう。

役所広司の演技はさすがで、次第に三上と親しくなっていく津乃田を演じた仲野太賀もいい演技でした。

ところで、自分の母親が本当に自分を思ってくれていたのか、おそらくずっと心の片隅で疑問に思っていたであろう三上には、兄弟分の組長のところに身を寄せたときの、宮城県出身で震災後にこの仕事を始めたというソープ嬢が、自分が産んだ子どもを迎えに行って一緒に暮らしたいと語る言葉は、おそらく大きく響いたのではないかと思います。このシーン、時間的にはほんのちょっとですが、個人的にはとても印象的でした。ソープ嬢のキャストは公式サイトには情報がないので、ネットで調べてみると、桜木梨奈さんという女優でした。

河野裕「きみの世界に、青が鳴る」

河野裕さんの小説「きみの世界に、青が鳴る」を読みました。

きみの世界に、青が鳴る (新潮文庫nex)

きみの世界に、青が鳴る (新潮文庫nex)

  • 作者:裕, 河野
  • 発売日: 2019/04/26
  • メディア: 文庫
 

 「夜空の呪いに色はない」に続く階段島シリーズの第6弾で完結編、2018年3月に刊行された作品。 

文庫本の背表紙には、次のような紹介文が掲載されています。

 

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真辺由宇。その、まっすぐな瞳。まるで群青色の空に輝くピストルスターのような圧倒的な光。僕の信仰。この物語は、彼女に出会ったときから始まった。階段島での日々も。堀との思い出も。相原大地という少年を巡る出来事も。それが行き着く先は、僕と彼女の物語だ。だから今、選ばなければならない。成長するとは、大人になるとは、何なのかを。心を穿つ青春ミステリ、堂々完結。

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作品は、3章とプロローグ・エピローグから構成されています。各章のおおまかなあらすじを紹介します。

プロローグ

真辺由宇の涙についてすべてを知りたいと考えたのは、大人になりたいと相原大地が流した涙を見たからだった。堀は、これから子供を大人にするものを探そうと優しく声をかけ、大地は頷く。

一話、彼女は絶望と手をつなぐ

4月2日、真辺由宇は時任から魔法を貸し与えられた安達の魔法の世界で、大地を幸せにするためシミュレーションを繰り返すが、何度やってもうまくいかず、そのたびに真辺は涙する。七草は、安達のことを尋ねていた堀から、安達は友達だと思い出を書き記した手紙が届く。一方の安達は、真辺に絶望を教えるために手を組もうと七草に提案する。

4月3日、学校の屋上で、七草は100万回生きた猫に堀を優しく守り、手を貸してほしいと頼む。その後、階段を下りながら、七草は真辺と堀のことを考える。

七草は待ち合わせた堀と会う。堀は、私はもっと魔法を好きになりたい、わがままに、貴方を好きな魔女になる、と告白する。その後にやってきた真辺と3人で、時任が作った魔法の世界にいる大地の両親に会いに行く。

まず母親の相原美絵に会った3人は、現実の世界の美絵と会えるよう時任と話をしてもらうことにし、階段島の大地と会ってくれるよう頼む。その後喫茶店に大地の父親に当たる三島という男に安達と会った七草は、大地に会って、父親を演じてほしいと頼む。

階段島の寮に戻った七草は、大地にお母さんに会いたいかと尋ねる。大地はわからないと答えるが、七草は大地に一緒に出掛けようと誘う。

二話、優しい魔女の魔法のすべて

4月4日の日曜日、大地を連れて寮を出た七草は、港から小さい船に乗って、大地の母親と父親が暮らす場所に向かう。

船が着くと、真辺が待っていた。3人は美絵の家で美絵と三島に会う。三島は大地に、君は幸せだ、不幸だと錯覚してしまうだけ、お母さんのことを忘れるだけで君の人生は豊かになると語る。大地が美絵と話す間外に出た七草は、真辺に大地を現実に返すと話す。

その夜も悲劇が繰り返される真辺のシミュレーションを見届けた七草は、灯台で目を覚まし、堀と七草が堀に宛てて書いた手紙について話す。

新学期に入り、七草は新聞部の活動をし、夕方に両親に会いに行った大地を迎えに港に行く日々を過ごしていたが、4月14日になって、両親と会う幸せに罪悪感を感じる大地は、現実の母親に会いたいと話す。

七草は、大地を現実に戻して、魔法の世界の両親に定期船を出してもらうよう、時任を説得する。

4月16日の夜中、七草は大地を連れて寮を出る。大地が寮の管理人・ハルに別れの挨拶をするために一度戻ると、堀が姿を見せる。七草は純粋だと言う堀に、君は僕の理想の魔女だと話す。堀は、子供の僕を捨てたいと言う大地の願いを聞いて、大地から半分を引き抜いていた。七草が大地を連れて階段を上がると、半分ずつの大地は出会い、現実の世界に帰っていく。

七草が階段を下りると、階段の下に真辺が待っていた。今の大地が堀の魔法の全てだ、という七草の言葉を否定する真辺。じゃあいつまでだって話をしようと七草が言うと真辺は、大好き、と唐突に言う。僕もだ、と返す七草に、真辺との最初の思い出が蘇る。

三話、失くしものはみつかりましたか?

1 真辺

七草は安達を呼び、真辺のために魔法を使うと、真辺は幼いころ七草と何度も通った公園に立っていた。

2 七草

真辺は、安達が作った魔法の世界で大地を幸せにするためのシミュレーションを繰り返す。一緒に長い時間を過ごす中で、七草は堀のことを、また自分は何を捨てたのか考える。奇跡のようにちょっとした幸せが起きるが、真辺は満足せず先に進んでいく。七草は、真辺の絶望を作ろうとして、安達と手を組んだのだった。

3 真辺

世界がブラックアウトして、真辺は再び公園に戻る。七草は、現実に影響を与えるには魔法の世界から外に出なければいけない、理想を追い続ける限りけっして現実と繋がれないが、理想を諦めれば自分で魔法を否定することになると言うが、真辺は、君が隣にいれば間違いを説明してくれる、私の絶望は君がいなくなることだけ、と語る。

4 七草

真辺の言葉に、七草は中学生の真辺と別れたときのことを思い出す。じゃあ真辺、と話し出すと、僕が消えよう、君の絶望のために、と言葉が出る。どちらかの魔女に言わされたと直感する七草。目を開くと、堀と安達がいる灯台の中だった。連れ戻したのは私だと言う堀は、失くしものはみつかりましたか?と話す。その言葉で不意に打たれた七草は、みつかったよ、と答え、一緒に真辺を助けに行こうと言う。

5 ふたり

階段を上る七草に、階段島での記憶が去来する。さらに上ると時任がいた。何度も真辺の魔法を止めようと思ったと言う時任に七草は、貴女より僕たちの方が幸せ、と言う。一方、真辺がいる公園に現れた堀は、そろそろ終わりにしませんか、と声をかけ、貴女は大地と同じように救われるべきものにみえると話す。真辺は、堀の魔法の価値が初めてわかったと言うが、諦めず前に進もうとする。階段に戻った堀は七草に、魔女になったら手伝ってほしいと話し、下りていく。七草は、階段に座りこんでシミュレーションの世界を見ている真辺に声をかけ、その魔法を終わらせる。

6 七草

目覚めた真辺に七草は、僕が魔法を終わらせた、僕たちができることを探せばいいと話す。真辺は、君との思い出だけできっとどこまでだっていける、でも、できるならいつまでも隣にいてほしいと語る。

エピローグ

それから2年ほど経って、真辺は階段島から突然姿を消した。さらに5年ほど経って、七草は現実の世界の自分に会う。大地の16歳の誕生日だと言う彼は、市役所に勤め、指には銀色の指輪をはめていた。真辺に会いたくないか尋ねる彼に七草は、会いたくなったら、どこにいたとしても、こっちから会いに行くよ、と答え、別れる。

 

(ここまで)

理想を諦めず追い続ける真辺を信仰し、魔女としての堀を好きな七草が、大地の幸せを追い求める真辺に向き合う中で、「失くしもの」を見つけ、前に進んでいくというストーリーなのですが、最後まで謎の多い物語でした。「失くしもの」が具体的に何なのかといった、物語の中で鍵となることは、明確には描かれず、周辺の心情描写で間接的に描かれる形。全編を通じて、ミステリアスな雰囲気は魅力的だったのですが、私の感受性が乏しいのかもしれませんが、最後まで読んでも、やはり消化不良感が残りました。