鷺の停車場

映画、本、グルメ、クラシック音楽、日常のできごとなどを気ままに書いています

やきとん ぽるこ@柏でテイクアウト

柏駅東口の「やきとん ぽるこ」でお弁当のテイクアウトをしました。

あらかじめ予約しようと、数か月前にもらっていたテイクアウトメニューを見てお店に電話すると、その後品ぞろえが変わったらしく、お弁当では、豚丼ローストポーク丼の2品があり、お肉の量の違いで、それぞれ並盛・中盛・神盛の3種類から選べるとのこと。

スタンダードっぽい豚丼を予約注文し、指定した時間のちょっと後にお店に伺いました。

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お店は、柏駅東口を出て、旧水戸街道千葉銀行柏支店のある交差点から県道51号(市川柏線)沿いに曲がってすぐのところ、「家系ラーメン 宗八」の隣にあります。歩いて5分もかからない場所。

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店頭に豚丼ローストポーク丼の看板が出ていました。ランチタイムはこれがメインメニューのようです。

既に頼んだ豚丼はでき上がっていて、代金を払って持ち帰り、さっそく食べてみました。

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備長炭焼 十勝豚丼・並盛(880円)。

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◎やきとん ぽるこ 柏店
千葉県柏市柏3-1-6(Tel:04-7136-7008)
営業時間:11:00~20:00(ラストオーダー:料理19:30、ドリンク19:00)※現在(まん延防止等重点措置適用)の営業時間
定休日:不定

阿月まひる「たとえ好きなものが見つからなくても」

阿月まひるさんの小説「たとえ好きなものが見つからなくても」を読みました。

昨年12月に文庫本書き下ろしで刊行された作品。たまたま目にして手に取ってみました。

文庫本の背表紙には、次のような紹介文が掲載されています。

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好きなものがない。それは、「なんにもない」のと同義なのだろうか――25歳のフリーター・海帆はひょんなことから高校生活をもう一度送ることになる。そこで出会ったのは、記憶にないクラスメイトの龍禅寺光。外見とは裏腹に妙に大人びている彼のおかげで、苦手だった友人関係に向き合ったり、初恋に気づいたりと青春を精いっぱいやり直す。しかし、担任が好きだという龍禅寺には秘密があるようで……。共感度100%の一冊。

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作品は、4章で構成されており、全章を通じて、最初と最後に描かれる25歳の部分はⅠ~Ⅳとローマ数字、その間で描かれる高校生の部分は一~二十と漢数字の小見出しで区切られています。各章のおおまかなあらすじは次のとおりです。

一章 にゅうにゅうと掻くいびき

25歳の相原海帆は、「ふつう」を望む元教師の母親に「どうしてそんなこともできないの?」と言われ続け、折り合いが悪かった。

バイト先のファミレスチェーン店でデリバリーメニューのチラシ配りに出かけた海帆はミスをする。

帰宅した海帆。高校時代の同級生・ゆっちゃんから共通の友人・中垣鈴が報告なく結婚していたことを愚痴るラインが入る。つまらない人間になってしまったことを悔しく思う海帆が次に意識が浮上すると、15歳の体で教室に座っていた。

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そこは高校の入学式直後の教室だった。夢から醒めないことをいいことに、海帆は友達のいない高校生活を謳歌する。

ある放課後、記憶にない同級生・龍禅寺光が教室にやってきて、突然声を掛けてくる。海帆のクラスの担任の30代前半と思しき男性教師・藤城先生が好きと語る龍禅寺。そこにやってきた藤城先生と龍禅寺は、漫画「ジョジョの奇妙な冒険」好きで意気投合する。

翌日、ジョジョはクラスで流行する。

ある用事で職員室の藤城先生を訪ねた海帆は、本当の高校生の時には見たことがなかった藤城先生の笑顔を見て、不思議な感情を抱く。

職員室を出て図書室に行った海帆。「エルマーのぼうけん」を借りようとしたところで、本当の高校生の時友達だったひろさんが携帯電話で恋人と話しているのを耳にする。ミステリアスに見せてるけど中身空っぽそう、余裕で嫌い、と海帆のことを話すのを耳にし、吐きそうになるのをこらえる。

とても無様な気分で学校を出た海帆は、同じ制服を着た少女が塀にもたれるようにしてうずくまっているのを見て声を掛ける。それは鈴だった。警戒する鈴に、思わず海帆は中学生の時に痴漢に遭ってから男性に嫌悪感を抱くようになったことを告白する。

駅前のファストフード店で、海帆は彼氏と別れたいが暴力を振るわれ別れられないという鈴の話を聞く。そこに龍禅寺が乱入してくる。嫌悪感が湧かないことを不思議に思う海帆。

その帰り、なぜ声を掛けたのか尋ねる鈴に、海帆は友達になりたかったからと答える。

目覚めると、25歳に戻っていた海帆。スマホには、結婚さえ知らなかったはずの鈴からフランクな感じのメッセージが入ってくる。

二章 身長とおっぱいとおなか

25歳に戻った海帆、カフェで鈴から旦那の愚痴を聞かされる。

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消えていたはずの鈴との縁が復活していた「わけのわからなさ」に家にこもった海帆が1週間経って落ち着いてきたころ、再び15歳にタイムリープする。龍禅寺にタイムリープの話をすると、龍禅寺はそれを知っているようだった。

鈴と一緒に昼食を食べる海帆は、ひろさんこと木倉ひろばが年上の女性とホテルに入っていくのを見たと聞かされる。

ひろさんがレズビアンで女相手に体を売っているという噂は、5月に入ってクラスで急速に広まる。その発信源はゆっちゃんだった。ひろさんはレズビアンであることを認めるが、クラスで孤立する。5月中旬に入り、海帆が龍禅寺を呼び止めると、龍禅寺はひろさんが孤立する状況にイラついていた。校庭にゆっちゃんこと柚本の姿を見つけると、海帆を連れてそれを追う。

呼び止められたゆっちゃんは、不機嫌そうに、ひろさんが友達である資格がなくなったから切っただけ、女が女を好きなんておかしいと話す。龍禅寺は次第に激高してくるが、そこに藤城先生が止めに入り、ゆっちゃんは走って逃げていく。藤城先生は、海帆に柚本さんの話を聞いて、月曜に2人で来るようにと頼み、話を聞くため龍禅寺を連れていく。

十一

海帆はゆっちゃんを探すが見つからず、諦めて帰ろうとした駅で電車を待っていたひろさんを見つけ、勢いのまま話しかける。大きな荷物を持ち、恋人のところでしばらく休むというひろさんは最初当惑するが、最後には通じ合う。

ひろさんに会った数日後、目覚めると25歳の2017年に戻っていた。母親は定職に就かず、結婚もしない海帆にお見合いを押しつけようとする。なんで私の意思を無視するようなことを平気でできるの?と言う海帆に、愛なのにどうして伝わらない、正しい道を歩ませる義務がある、と語る母親。海帆は、タイムリープから戻ってきた理由を理解する。

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タイムリープから戻ったのはこの自分の未来を変えなければいけないと決意させるためだと気づいた海帆は、15歳に戻って、月曜日、校門で登校してくるゆっちゃんに話しかけ、本音をぶつける。長女として兄弟の面倒を見させられているゆっちゃんも、親に対する不満を抱いていた。

十二

1か月あまり経った6月下旬、海帆は龍禅寺と話をする。自分にも変えたい未来があると話す龍禅寺。何事もなく別れるが、それきり龍禅寺は姿を消す。

三章 すっと進化論

ひろさんに会った金曜日とゆっちゃんに声を掛けた月曜日の間の日曜日、海帆は龍禅寺に誘われて喫茶店で会っていた。龍禅寺は海帆に、友達にばかりかまけていていいのか?と母親と向き合うことを示唆し、自分のゴールは近いと語る。そこに藤城先生が喫茶店に入ってくる。龍禅寺は先生をつかまえて同じテーブルに座らせ、自己評価が低い藤城先生を挑発するように厳しい言葉を投げる。海帆が思わず龍禅寺の頬を叩き、胸ぐらを掴んで止めると、龍禅寺はお店を出ていく。

十三

龍禅寺が消え、海帆以外の誰も、龍禅寺の記憶はなく、龍禅寺のがしたことは他の誰かの言動に置き換わっていた。

十四

7月の半ば、海帆は鈴、ひろさん、ゆっちゃんと4人で学校の食堂で昼食を食べるが、暑さのせいかみんなピリピリして気まずい雰囲気で、食事を終えた鈴とひろさんは先に席を立つ。残ったゆっちゃんも席を立つが、その場で嘔吐する。

十五

海帆はゆっちゃんを保健室に連れていって寝かせる。ゆっちゃんは痴漢に遭っていた。勘違いかもしれない、事を荒立てたくないと言うゆっちゃんに、やってきた藤城先生はあなたが安心できるよう、回復に努めると話す。海帆は自分が誰を好きになるのかを理解する。

四章 名前のわかる雨

藤城先生が好きな自分の気持ちを知って数日、海帆は幸せな気分で過ごす。

十六

夏休み直前の三者面談、海帆の母親が藤城先生の恩師だったことが判明する。

十七

とてももやもやしたまま夏休みに入った海帆は、家にいるのが苦痛で、藤城先生に会いたくて以前に先生に会った喫茶店に行く。やってきた藤城先生と話をすると、先生は龍禅寺のことを覚えていた。

十八

それを聞いて号泣する海帆は、藤城先生に自分がタイムリープして本当は25歳であることを話し、好きだと告白すると、藤城先生はぼろぼろと涙を流して泣く。

十九

茶店を出て、藤城先生は自分の生い立ちを話す。高校教師になったのは、自分なりに高校生活をやり直すような気持ちで、納得をしたかったからだと語り、こんな自分をあなたが好きになる必要はないと海帆の告白を拒絶する。

二十

家に帰った海帆は母親に向き合い、私はお母さんが思うような理想の娘には絶対ならない、私の気持ちが蔑ろにされてきたことは一生許さないと告げる。ベッドに入って次に目を開けると、25歳に戻っていた。

■□■

夢の中で、海帆は龍禅寺に会う。龍禅寺は、タイムリープは終わった、二度と過去に戻ることはないと語り、海帆に別れを告げる。

タイムリープが終わっても、海帆はファミレスでバイトするフリーターのままだったが、鈴、ひろさん、ゆっちゃんとの縁は続いていた。海帆はこれから現実を変えていこうと決意する。

百貨店のレストランで鈴、ひろさん、ゆっちゃんと会った海帆は、藤城先生が好きなことを打ち明ける。3人もそれを応援する。

教師を辞めて7年、今は予備校の事務員をしている藤城は、日曜日の夕方、電車を下り改札を出たところで、美人の女性に呼び止められる。それは海帆だった。

以前に行った喫茶店に藤城先生と移動した海帆は、藤城先生が好きな自分の気持ちを告白する。

(ここまで)

 

25歳の海帆が15歳、高校1年生をやり直す中で、謎めいた龍禅寺との出会いで、自分の過去、そして未来を変えていく勇気を得ていく物語、と受け止めました。

龍禅寺はどこか秘密を抱えた存在ですが、私の洞察力が乏しいのか、その秘密は最後まで明かされるこれはなく、消えていきます。海帆は、流されるままに生きていたそれまでの姿勢を改め、自分から変えていこうと行動するようになるのですが、その大きな原因となっていた母親との関係がどう変化したのかも、よく分からないままに終わります。作品全体としてはささやかなハッピーエンドで、読後感も悪くないのですが、このあたりには消化不良感が残りました。

テレビアニメ「スーパーカブ」

テレビアニメ「スーパーカブ」を見ました。

supercub-anime.com

今年4月~6月にTOKYO MXなどで放送された作品で、個人的には、2021年春アニメの中では、最も好感が持てた作品でした。

角川スニーカー文庫から刊行されているトネ・コーケンさんの同名小説をアニメ化したものだそうで、監督:藤井俊郎、シリーズ構成・脚本:根元歳三、キャラクターデザイン:今西亨、アニメーション制作:スタジオKAIなどの主要スタッフ。

 

山梨県北杜市の高校に通う、両親も友達も趣味もない女の子・小熊が、ふと見かけた中古のスーパーカブを買ったことで、ちょっとずつ単調な毎日が変わり始める・・・という物語。

主な登場人物は、

  • 主人公の高校2年生・小熊(夜道雪)

  • スーパーカブを通じて仲良くなった長身長髪のクラスメイト・礼子(七瀬彩夏

  • 文化祭でのアクシデントを通じて仲良くなったクラスメイト・恵庭椎(日岡なつみ

など。

 

公式サイトに掲載されているストーリーは、次のとおりです。

第1話 ないないの女の子

朝目を覚ましそそくさと朝食を済ませ、お弁当を用意し家を出る。親はいない、お金もない、趣味もない、友達と呼べる人も将来の目標もない、「ないないづくし」の女子高生「小熊」。そんな彼女がたまたま立ち寄った場所、「バイクショップ」。そこで出逢ったのは古びた1台のバイク、後に小熊の生活を一変させる「スーパーカブ」だった。

第2話 礼子

スーパーカブ」との生活が始まった小熊。まだぎこちなさが残るも「スーパーカブ」の扱いにも段々と慣れてきた。小熊が「スーパーカブ」に乗っていることを知った礼子。「スーパーカブ」を見せて欲しいという礼子に困惑する小熊は、放課後ならと渋々承諾する。

第3話 もらったもの

スーパーカブ」のエンジンをかけ、ヘルメットを被り、グローブをはめて、朝8時過ぎに家を出る。小熊の1日が始まった。「スーパーカブ」との生活も慣れてきた一方で、礼子との関係はまだぎこちない。
今日も「スーパーカブ」と一緒に昼食を食べる二人。礼子の「郵政カブ」の荷台に設置された「箱」に興味を持った小熊。そんな小熊を礼子はある場所に連れて行く。

第4話 アルバイト

スーパーカブ」に乗り始めて初めての夏。礼子は夏休みにでっかい事をしたいと言う。一方小熊は「学校書類の運搬業務」をすることに。「スーパーカブ」で学校間の重要書類の運搬である。運搬業務の前日、小熊はオイル交換をするため再びシノさんのお店を訪ねる。

第5話 礼子の夏

礼子の自宅に招かれた小熊。そこで目にしたのは傷だらけになった礼子のカブだった。少し気になりながらも、料理をし始める小熊。食事中、礼子が話し始める。夏休みの間、「近くて遠い場所」に行っていた、と。

第6話 私のカブ

いつもの教室。明日からの修学旅行を控え、パンフレットを眺めながらニヤける小熊。礼子も旅行雑誌を食い入るように読んでいる。
帰宅後の夜、自宅でもパンフレットを眺めながらニヤける小熊。ところが、翌朝、発熱し体調を崩す。落胆した小熊は、仕方なく学校に欠席の連絡を入れる。

第7話 夏空の色、水色の少女

季節は初秋を迎え、校内は文化祭を前に不思議な熱っぽさを帯びていた。文化祭の準備に勤しむ恵庭椎。そんな椎を横目にカブの冬支度に備えてバイク用品のお店に立ち寄る小熊と礼子。昼休み。いつものように昼食を食べに行こうとする二人は、ちょっとしたトラブルに遭遇する。

第8話 椎の場所

寒さは一段と厳しさを増していた。そろそろ外で昼食を食べるのも辛くなってきた小熊と礼子。放課後、椎から彼女の両親が営んでいるカフェに誘われる二人。そんなカフェ「ブール」はドイツ風パンを作っているお店。どうやら礼子はこのお店の常連のようだ。

第9話 氷の中

凍えるような寒さの中、登校する小熊。「やっぱりあれを買うしかない!」という小熊に、「あれだけは絶対に嫌っ!」という礼子。昼食。椎からの差し入れで温まる二人。帰り道、椎は自宅のカフェに二人を誘う。どうやら二人に防寒対策として薦めたいものがあるようだ。

第10話 雪

学校も冬休みに入った。寒さ対策も万全の小熊。これで自由にスーパーカブで走り回れる、今まで通りいつでも、どこまでも。朝目を覚ますと外は雪に覆われた銀世界が広がっていた。スーパーカブに乗り始めて初めての雪だった。

第11話 遠い春

小熊の家で夜ご飯を食べる小熊、礼子、椎の3人。後片付けの手伝いをする椎。「この冷たくて暗い冬を、どこかに消して欲しい」と懇願する椎に、出来ないと話す小熊。翌日も寒々しい街と平穏な日々が続く。

第12話 スーパーカブ

遠くの場所で桜が咲いている。春はそこまで来ている。桜を見に行く計画を立てた3人は、早朝、旅支度をして北杜市を出る。私たちは今日旅に出る、スーパーカブと共に。

 

(ここまで)

これほど起伏の少ないストーリーの物語は、1クール・十数話を使って描くアニメシリーズとしてはかなりレアな部類だと思います。主な登場人物も、主人公の小熊、2話から登場する礼子、第7話から登場する椎の3人だけというこじんまりした世界を描いています。しかし、落ち着いたテンポで、スーパーカブとの出会いによって、少しずつ主人公の世界が広がっていく展開が、何とも心地よい作品でした。