鷺の停車場

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丸の内TOEI@銀座で「この世界の片隅に」を観る

丸の内TOEIで「この世界の片隅に」を観ました。
この映画館、銀座なのに「丸の内」なのはやや謎ですが、丸ノ内線銀座駅のすぐ近くだからなんでしょうね、たぶん。
東映本社ビルの1階と地下。入口前の外堀通りに面したところにチケット売場、1階が500席強のTOEI①、地下が350席強のTOEI②で、かつては別の映画館だったからか、入口は別になっています。

この世界の片隅に」の上映は1階のTOEI①。12月初めの上映開始から半年間も、東映本社お膝元、都心ど真ん中の500人規模のスクリーンで連日上映していたのは、ちょっと考えると凄いことです。
その時々の人気作をやればもっと収益は上がるでしょうし、配給元直系のテアトル新宿でさえ平日は休映となる中、他社配給作品を連日上映とは。映画館の心意気を感じます。
その丸の内TOEIもこの日で上映終了。
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映画館に着くともう予告編が始まっていて、まもなく本編上映とのことで急いで入ります。
3日前に先売り券を買った時は「どこでも空いてます」と聞いてどうなるかと思っていたのですが、予想以上に埋まってます。じっくり確認してはいませんが、100人はいないにしても80人ほどいたと思います。同様に上映終了を惜しんで来た人もけっこういるのでしょう。
席は昔ながらの傾斜がなくスクリーンを見上げるタイプですが、スクリーンはそこそこ大きく、イスもドリンクホルダー付きの最近のシネコン風で座り心地は十分。
本編が始まると、かごの中ですずちゃんが海苔を切っているところでほんのかすかに空襲の場面の爆撃機の来襲音を思わせる重低音の響きと振動が。こんな効果音あったかなあと思っていると3~4分おきに出てくるので、おそらく映画館の前、外堀通りの地下を通る丸ノ内線の電車が通る音なのでしょう。
BGMが入ったりちょっと賑やかな場面では全く気になりませんが、結婚した日の夜、すずさんが外に出て防空演習の照明に見とれる場面など、静かな場面ではどことなくその後やってくる空襲への通奏低音のように響きます。
音響は、イオンシネマ幕張新都心のULTIRA9.1chほど重低音の迫力はありませんが、大きめかつうるさ過ぎない音量で、不満はありません。
周りもクスっとする場面で小声で笑ったり呟いたりするお客さんがわずかにいる程度で、ガサガサ、ボリボリは全くなく、集中が伝わってきて、私もどんどん引き込まれます。
ただ、玉音放送の後ですずさんが畑で涙を流す場面は何回観てもなぜかしっくりきません。ここは監督のお考えもあり原作と台詞が変わっていて、それを批判される方もおられるようですが、私自身にとってはそれが問題なのではないような気がします。
とはいえ、やはり終盤は涙なしには見れません。
2回目のエンドロールの終わりまで静まった館内。
実は最終上映の映画館で観るのは2回目。前回は最後に自然と拍手が起きてちょっと意外だった記憶があったので、今回もそうなるのではとちょっと身構えましたが、そのまましんみりと余韻を味わうかのように終了。
外に出るとまだ空は明るく賑やかな銀座。
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映画館の人たちの思い入れを感じながら、温かい気持ちで帰路に就きました。