鷺の停車場

映画、本、グルメ、クラシック音楽、日常のできごとなどを気ままに書いています

JR九州@カンブリア宮殿

鉄道つながりでもう1つテレビ番組を。

www.tv-tokyo.co.jp

独自の取組で成果を上げた企業トップにスポットを当てて、その取組や思想などを、ロケ映像と本人をスタジオに招いてのインタビューで明らかにするこの番組。毎週録画予約をして視ていますが、当然ながら、取り上げる企業は毎回変わるので、回によって印象は良し悪しです。(ただ、番組最後の村上龍の感想は余計だなあと毎回思います…)

さて、JR九州といえば、同社のJRロゴのカラーと同じ赤色の車両が特急を含め数多く走っているイメージが個人的には強いのですが、今や「ななつ星 in 九州」を筆頭に、水戸岡鋭治氏のデザインによる様々な観光列車(特別なデザイン(D)と、地域に基づくストーリー(S)を兼ね備えた列車という意味で「D&S列車」というそうです)が走っていることも、大きな特色です。

国鉄の分割民営化直後の1989年、D&S列車の先駆けとなった「ゆふいんの森」も、唐池会長のアイデアによるものなのだそうですが、こうした、列車に乗ること自体が旅の目的となるようなD&S列車の積極的な展開は、単に乗客増というだけでなく、観光客を地元に呼び込み、地元との連携を深める効果もあるようです。また、韓国と福岡を結ぶ高速船事業や外食事業といった多角化の推進は、本州の3社のように、単なる旅客輸送だけでは成り立たない厳しい経営環境で生き残るための懸命の努力だったのでしょう。今や売上高に占める鉄道事業の割合は4割以下なのだそうで、こうした取組が身を結んだことが、2年前に実現した完全民営化につながったことは間違いありません(番組では大きく取り上げられていませんでしたが、九州新幹線の全線開業の効果もあるのだろうとは思います)。

ただし、多角化を図ろうとしても、すべてが思いどおりに成功するとは限りません。エースこそ外に出せ、という趣旨の言葉もありましたが、1人1人の働きが大きく業績に影響する新事業にいい人材を投入するのも、そこで成果を上げていかないと経営が成り立たないという危機感の1つの表れともいえます。また、番組でも紹介されていたように、鉄道事業から他事業に転換された社員のモチベーションを上げるための仕組みなど、様々な取組があって、現在の成功があるのだろうと思いました。