鷺の停車場

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映画「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」(実写版)

実写版の映画「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」(1995年8月12日(土)公開)を観ました。

打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか? [DVD]

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もともと1993年に製作・放映されたテレビドラマを再構成して劇場公開した、いわば岩井俊二の映画監督としての出世作となった作品で、次のようなあらすじ。

小学生の典道(山崎裕太)と祐介(反田孝幸)は仲のいい友達で、ともに同級生のなずな(奥菜恵)に好意を抱いている。一方、なずなの方は、両親が離婚し、母親(石井苗子)に引き取られて2学期から転校することになる。花火大会の日、プールでクロールで競う典道と佑介を見たなずなは、勝った方を花火大会に誘おうと密かに賭けをする。ちょうどその頃、クラスの男友達の間では打ち上げ花火を横から見たら丸いか平べったいかで議論になる。それを実際に確かめるため、灯台に登ってみることになり、典道と佑介も一緒に行こうと誘われる。その先は、2つのバージョンが並列で示される。

最初のバージョン、プールでの勝負は、典道が先行するも、ターンの時に足をプールサイドにぶつけて怪我をしてしまい、祐介が勝つ。なずなに誘われた佑介だったが、男友達との約束を優先してなずなを置き去りにし、なずなは母親に捕まえられ、連れ去られてしまう。怒りから典道は佑介を殴り、自分が勝っていればと後悔する。ここでこのバージョンは終わり、次のバージョンに移る。

次のバージョン、プールでの勝負は典道が勝ち、なずなに誘われた典道は、男友達と一緒に行こうと家にやって来た佑介を撒いてなずなと走り、バスに乗って駅に向かう。最初は電車に乗って駆け落ちする勢いだったなずなだが、時間が経つと気持ちが変わったのか、再びバスに乗って戻り、学校のプールで典道と水遊びした後、二学期にまた会おうと言って去っていく。その頃、佑介たち男友達は、灯台に向かったが、着いたときには花火大会は終わっていた。典道は花火大会の出店街で偶然に恋人と一緒にいた担任の三浦先生(麻木久仁子)に出会い、横から見た花火の話をすると、2人が知り合いの花火師にかけあってくれて、余りの花火を一発打ち上げてもらえることになる。典道は下から、佑介たちは横から、それぞれ打ち上げ花火を見るのだった。(ここまで)

小学生の一夏の淡い恋模様、そして、ちょっとした疑問を確かめるために無茶とは思わず行動に移す、小学生の真っ直ぐさが心にしみる良作でした。撮影当時は10代前半だったはずの奥菜恵のどことなくミステリアスな雰囲気も魅力的。成長の激しいこの年代、典道役の山崎裕太や佑介役の反田孝幸は実年齢もほぼ設定どおりだったようですが、なずな役の奥菜恵はその2歳ほど上で、いかにも小学生という感じの2人と比べるとかなり大人びて映りましたが、この辺はご愛嬌でしょうか。

2つのバージョンが並べられているのは、本作が製作されたテレビドラマシリーズの企画コンセプトによるものだそうですが、単体の映画として見ると、最初のバージョンは余計なような気がしました。

昨年公開されたアニメ版はまだ観てませんが、機会あれば見比べてみたいと思いました。