鷺の停車場

映画、本、グルメ、クラシック音楽、日常のできごとなどを気ままに書いています

映画「名前」

下高井戸シネマで「名前」(6月30日(土)公開)を観ました。

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(映画館でもらったチラシ)

この映画、存在を知って観たいと思い始めた時には、無理なく行けるエリアでの上映は既に終わってしまっていました。今回、1週間だけですが再び都内で上映されるということで、これがスクリーンで観れる最後のチャンスと、行ける機会をうかがっていました。

舞台挨拶付き上映も上のチラシ裏面に記載の土・月に加え、木曜日にもさらに追加されて計3回行われたそうですが、それらは仕事などで行くことができず、上映最終日の金曜、やや強引に仕事を終わらせて、何とか行くことができました。

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下高井戸シネマは2月ほど前に「四月の永い夢」を観にきた時以来で、2回目。 

reiherbahnhof.hatenablog.com

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この週の上映作品とタイムスケジュール。

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館内のお客さんは2~30人程度。

久保として妻が入院していると嘘を付いてペットボトルのリサイクル工場でバイトし、ビジネスマンの吉川として飲み屋街で酒を飲むが、茨城県南部、守谷か取手あたりの民家に一人で暮らす40代の中村正男津田寛治)。工場で妻の入院先と言っていた病院に働く友人がいる職員の情報で嘘がバレて詰められるが、そこに久保に来客があると言われ、行ってみると、1人の見知らぬ女子高生の笑子(駒井蓮)だった。彼女は、「父がお世話になってます」と言い、母は転院したから早く行こう、と助け船を出し、半ば強引に中村の家に押しかける。
シングルマザーの母が水商売を営んでおり、家で一人がちな笑子は、中村の家に出入りするようになり、2人は交流を深めていく。一方、笑子は幽霊部員として在籍していた演劇部の舞台に人数が足りないと誘われて加わるが、指導する先輩から、自分を出してない、演技が嘘っぽいと追い込まれていく。そんな中、友人の里帆(松本穂香)の彼氏である翔矢(勧修寺保都)から突然告白され、彼氏を奪われる形となった里帆は「最低」と吐き捨てて去っていく。
笑子はずぶ濡れになって中村の家にやってくる。そこで、笑子は自分がなぜ中村に近付いたのかを打ち明ける。激しく動揺する中村は、自分の過去、笑子の思いと向き合うことになり、そこに秘められた真実が明らかになっていく。・・・というあらすじ。監督は戸田彬弘

観に来て本当に良かった、というのが率直な感想。

なぜ中村がいくつもの偽名を使っているのかは、劇中で語られる本人の説明を聞いても、ちょっと腑に落ちないところがありましたが、社会的地位も家族も失ってだらしない生活を送る中村と、父親に会ったことがなく母親も不在がちな笑子が出会って、お互いの欠損感を埋める存在となっていきます。真実が明らかになって2人はそれぞれの道を進んでいく形になるわけですが、ともに過ごした時間は、きっとその後の2人に大きな影響を与えるのでしょう。駒井蓮の清真な演技も印象的です。特に夜の校庭での心からの叫びは刺さりました。感涙というタイプの映画ではありませんが、迷いながら生きている2人の姿に引き込まれていく映画でした。

上映後の売店ではおそらくパンフレットを買う方の行列ができていました。私だけでなく、感銘を受けた人が多かったことがうかがえました。

関西などではこの後も上映予定の映画館もあるようですが、関東での上映はこれで最後のよう。ギリギリでスクリーンで観ることができて良かった。