鷺の停車場

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映画「こどもしょくどう」を観る

5月1日の映画行脚の2本目は「こどもしょくどう」(3月23日(土)公開)。

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行ったのはヒューマントラストシネマ有楽町。上映は63席のシアター2だったのですが、チケットは完売になっていました。

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公式サイトのあらすじから引用すると、

「小学5年生の高野ユウト(藤本哉汰)は、食堂を営む両親〔吉岡秀隆常盤貴子〕と妹〔田中千空〕と健やかな日々を過ごしていた。
一方、ユウトの幼馴染のタカシ〔浅川蓮〕の家は、育児放棄の母子家庭で、ユウトの両親はそんなタカシを心配し頻繁に夕食を振舞っていた。
ある日、ユウトとタカシは河原で父親〔降谷建志〕と車中生活をしている姉妹に出会った。ユウトは彼女たちに哀れみの気持ちを抱き、タカシは仲間意識と少しの優越感を抱いた。
あまりに“かわいそう”な姉妹の姿を見かねたユウトは、怪訝な顔をする両親に2人にも食事を出してほしいとお願いをする。
久しぶりの温かいご飯に妹のヒカル〔古川凛〕は素直に喜ぶが、姉のミチル(鈴木梨央)はどことなく他人を拒絶しているように見えた。
数日後、姉妹の父親が2人を置いて失踪し、ミチルたちは行き場をなくしてしまう。これまで面倒なことを避けて事なかれ主義だったユウトは、姉妹たちと意外な行動に出始める――。」

というもの。(〔 〕内は私の補足です。)

監督の日向寺太郎は「火垂るの墓」(実写版・2008年)などで監督を務めているそうですが、私は初めて。脚本の足立紳は、昨年スクリーンで観た「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」でも脚本を務められていた方。

reiherbahnhof.hatenablog.com

無料~安価で子どもたちに食事を提供する「こども食堂」が生まれる過程を描いた映画。おそらく、実際の事実どおりではないのだろうと思いますが、光が当てられることが少ない現代日本に確かにある厳しい現実を意識させられる一方、かすかな希望を感じさせる心温まる作品になっていました。観るには辛い映画かも、と心配もあったのですが、もちろん冷たい現実を描く辛いシーンはあるものの、それを和らげるファンタジー的な要素もあって、心打たれる、予想以上にいい映画でした。

いじめなどの子どもの残酷な一面は、実際はもっと過酷かもしれないと思いますが、物語の展開上必要な以上にはリアルに描くことなく、控えめにとどめられていました。少なくとも私自身には、この程度で十分でした。さらに残酷だと、私には辛すぎて観たのを後悔していたと思います。

俳優陣では、何より、ミチル役の鈴木梨央の演技が素晴らしかった。詳述はしませんが、歌いながら涙するシーンをはじめ、小学生でこの演技はすごいと思って、後で調べてみたら14歳なんですね。映画中のミチルは、少なくとも小学生、主人公で小学5年生のユウトと同世代の設定のようでしたが、全然違和感なく見えました。ユウトの両親役の吉岡秀隆常盤貴子もいい演技で、脇を固めていました。

 

今週のお題「特大ゴールデンウィークSP」