鷺の停車場

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アニメ「月がきれい」を見る②第5話~第8話

アニメ「月がきれい」の続きです。

「月がきれい」Blu-ray Disc BOX(初回生産限定版)

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第1話で知り合い、第2話で近付き、第3話で小太郎が告白し、第4話で茜がそれを受け入れる返事をして、第5話からは、付き合い始めた2人の恋物語

付き合い始めたもののどうしたらいいかよく分からないぎこちない2人、友人が同じ人を好きになってしまう三角関係と、そうした中で互いに壁に直面しながら、秘密にしていた交際を友人たちに明かしさらに関係を深めていく2人の様子が、透明感のある、みずみずしい雰囲気の中で、もどかしくなる展開で描かれます。

監督などスタッフの方のインタビューを読むと、この作品では、アニメで広く行われている、映像に合わせて後から声を収録するアフレコ(アフター・レコーディング)ではなく、事前に収録した声に合わせて映像を付けるプレスコプレスコアリング)で作られていて、女子同士の会話など、細部を声優さんのアドリブに委ねたシーンもあるそうです。ショートエピソードが挿入されている回があるのは、本編では描けなかった周りの人物を描くという狙いのほか、声優のセリフ回しの速さなどから見込みより時間が詰まった部分の時間調整という面もあったとのこと。回によってエピソードの数がバラバラなのはそのせいだったのですね。

 

 

 

引き続き、アニメテレビ公式サイトに掲載されているストーリーに触れつつ、各話の内容を紹介したいと思います。(以下<  >内は公式サイトの記載です。

 

 

 

第5話:こころ

<誰も知らないけど、私と安曇くん、付き合い始めましたーー。特に理由はないけれど、2人の仲はまだ秘密。でも「つきあう」って何するの?初めてのことに気持ちは盛り上がりながらも、悩ましい小太郎と茜は…。>

タイトルは夏目漱石の小説「こゝろ」(大正3(1914)年)。これは読んだことがあります。親友が恋していた女性に先に結婚を申し入れ結婚を決めたことで親友を自殺で失った男性が、自ら自殺する前に主人公に宛てた手紙でその苦悩を明かす作品。三角関係という点で、本話とちょっとは共通するのかもしれません。

付き合い始めた茜と小太郎だが、2人とも付き合うって何をしたらいいのかよく分からず、それぞれ姉の彩音や小説のアドバイスを求めたりする行きつけの古本屋の立花(岩田睦樹)に尋ねたりして、どうしたらいいか悶々とする。一方、千夏は小太郎に積極的に声を掛けるようになる。小太郎が茜にLINEで昼休みに図書室で会う約束をしても、千夏に先回りされて話をすることができず、茜は機嫌を損ねる。
タイムが伸びず、どこか様子がおかしい茜に、比良は帰りに話そうと誘い、励ましの言葉を掛けるが、どこか話しにくそうにする茜に気を遣って帰っていく。翌日、茜は、後輩たちから比良先輩と付き合っているんですか、と聞かれ、慌てて否定する。
そんなある放課後、小太郎が行きつけの古本屋に行くと、店番の立花が、気を利かせて席を外してくれる。小太郎は茜を呼び出し、やってきた茜と小太郎は言葉を交わす。今度県大会があるけどタイムが伸びない、と言う茜に、走る茜が好き、見に行こうかな、と言う小太郎。太宰治の「斜陽」の一節が頭に浮かぶ小太郎。うまく言葉が出ない茜に小太郎がその手を握ると、茜もその手を握り返す。その時、茜のスマホに「安曇くんのこと好きになっちゃったみたい」と千夏からのLINEが入る。

本編エンディングの後には、次のショートエピソードが挿入されています。

●漢一匹!小笠原大地(1)

小太郎の友人の大地が、ろまんに体重はパッと見でだいたい分かると言うと、その言葉に、その特殊能力、マジ迷惑、と反応する周囲の女子たち。

●美羽と稲葉(1)

稲葉保仁(石井マーク)が、気まぐれな今津美羽(千管春香)にどっちの服がいいと聞かれて答えるが、違う方を選ぶ美羽に、最初から決まってんじゃんと思う稲葉。

●美羽と稲葉(2)

再びどっちがいいと聞かれ、今度は、好きな方にすれば、と答えると、使えない、と反応され、どうすりゃいいんだよ、と嘆く稲葉。

彩音のカレシ(1)

茜の姉の彩音の彼氏は、鳶職の修行をする若者だった。見た目はチャラチャラしていたが、礼儀正しい様子に、意外といい奴じゃないか、と思う両親。

第6話:走れメロス

<「私、安曇くんのこと好きになっちゃったみたい」親友である千夏からのメッセージに、部活の大会を目前に控え茜は気もそぞろ。そんなこととは知らない小太郎のもとには、出版社から連絡があり、会いに行くことに。>

タイトルは太宰治の小説(昭和15(1940)年)。これも読んだことがあります。内容は説明するまでもないでしょう。小説では、メロスは友情、信頼を守るために走りますが、本話では、壁に直面した2人にそれでも前向きに進め、とエールを送るニュアンスに思えます。

小太郎は、神社でのお囃子の稽古をしながら、古本屋での茜とのことを回想し、太宰治の「斜陽」の一節が頭に浮かぶ。帰宅し、受験を心配する母と話しているところに、出版社から電話がかかってくる。
翌朝、2人は、図書室で待ち合わせして会う。小太郎は、今度の日曜に、話があると出版社に呼び出されたことを報告し、茜の大会に行けないことを謝るが、茜は、いいよ全然、一緒に頑張ろうと小太郎と指切りで約束する。
日曜日、小太郎が出版社を訪ねると、編集者の喜多村(杉崎亮)が待っていた。一方の茜は、大会が始まる前、千夏に小太郎と付き合っていると打ち明けるが、千夏は、知ってる、そんなのわかるよ、友達だし、言ってくれてありがとう、と答える。そしてレース本番を迎える。
その頃、小太郎は、喜多村から、純文学は向いていない、やめた方がいい、純文学は儲からない、ライトノベルっぽいのを書いてみないか、その方がデビューしやすいよ、と勧められる。
大会で、茜は、思うような成績を上げることができなかった。比良は厳しい言葉を掛けるが、落ち込む茜の様子を見て、責めるのを止め、励ましの言葉をかける。
帰宅した小太郎は、母の淳子(井上喜久子)に黙って出版社に行ったことを叱られる。一方、茜は、親友の千夏が小太郎が好きなことに動揺していた。
翌朝、図書室で待ち合わせて会った小太郎と茜は、好きなことをもっとちゃんとやると約束する。放課後、茜と千夏はお互い黙っていたことを謝り和解するが、千夏は、告白していい?ちゃんと諦めたいから、と言い出す。

本編エンディングの後には、次のショートエピソードが挿入されています。

●さくらの妄想日記(1)

メガネに三つ編みのクラスで目立たない田中さくら(井上ほの花)が、運動会の借り物競争でみんなにもてる妄想をするが、実際はメガネを借りに来られただけだった。

●美羽と稲葉(3)

美羽の小悪魔的な質問に翻弄される稲葉。

●涼子先生とろまん(4)

コンビニで、ろまんにウェディング雑誌のドレス似合いそう、と言われた涼子は、その雑誌を買うのだった。

●美羽と稲葉(4)

美羽とスマホで写真を撮らされ、ポーズを決めるのにこだわる美羽にうぜーっと思う稲葉。

前半抄:道程

<中学3年の春。出会った小太郎と茜。文芸部男子と、陸上部女子。LINEを通じて二人の距離は近づき、茜が陸上大会の結果を報告に来た神社で小太郎は想いを伝え、茜も修学旅行先で応える。付き合い始めた二人は…。>

第1話~第6話のダイジェスト。タイトルは高村光太郎の詩集(大正3(1914)年)。これは未読です。

第7話:惜しみなく愛は奪う

<夏休み。期末試験も終え、千夏の誘いで同級生たちと遊園地へ。交際を明らかにしていない小太郎と茜がぎこちなく同行する中、小太郎への千夏のアプローチにやきもきする一方、茜は比良と一緒に皆からはぐれてしまう。>

タイトルは有島武郎の著作「惜しみなく愛は奪ふ」(大正9(1920)年)。これは確か読んだことがありますが、内容はあまり覚えていません。

茜と小太郎は、千夏に誘われて友人たちと遊園地に行く。ジェットコースターで千夏は小太郎の隣を陣取り、茜は比良と座ることになる。1人でいなくなったろまんを探しに出た小太郎を千夏はつかまえて話しかける。それを見て微妙な気分になる茜。
小太郎が熱中症で救護室に行ったろまんを迎えに行く間に、茜は比良とはぐれてしまい、小太郎は、その2人を探しに行く。2人を見つけた小太郎は、比良に茜と付き合ってると宣言して、茜の手を取って連れていく。それを目撃して涙する千夏。
比良から小太郎と茜の交際を聞かされ騒然とする友人たち。小太郎は茜にカミングアウトしたことを謝るが、茜は本当のことだから、と答え、2人で遊園地を楽しむ。落ち込む千夏は友人に慰められる。
夜になって、花火が打ち上がる。2人はキスをする雰囲気になるが、たまたま通りかかった子どもにからかわれて機会を逸し笑い合う。千夏は比良に誘ったことを謝るが、比良は気にしてないから、と強がる。帰りの電車の中、疲れて眠る脇に座る茜のスマホに千夏から「告白、できなかった」と嘆きのLINEが届く。

本編エンディングの後には、次のショートエピソードが挿入されています。

●さくらの妄想日記(2)

さくらは、大地のふとしたしぐさから、自分を好きだと勘違いするが、柔道部はないよねーと思う。

●涼子先生と女子たち(1)

ピアノ伴奏する涼子の背中でブラジャーの紐が見えるのにはしゃぐろまんを見て、トイレで男子サイテーと評する女子たち。

●涼子先生と女子たち(2)

涼子先生の香水に興奮する男子を見て、トイレで男子サイテーと評する女子たち。

●涼子先生と女子たち(3)

涼子先生がサイトで紹介されたのを知って、突然親しく話し出す女子たち。

●節子と永原(4)~別れ話編~

別れると言う節子をラブホテルに連れていく永原に、やっぱりダメと思う節子。

●さくらの妄想日記(3)

別れたと聞いた永原に、運命の出会いを妄想するさくら。

第8話:ヰタ・セクスアリス

<「安曇と水野ってつきあってんの?」休み中に遊園地でのことが拡散し、登校日の二人は注目の的。うれしはずかしい空気の中、初めて一緒に帰る約束。小太郎のお囃子の練習に付き合い、二人は夕暮れの川越の街へ…。>

タイトルは森鴎外の小説(明治42(1909)年)。これは未読。

8月10日の登校日を前に、2人の交際の情報はLINEで拡散していた。登校日を前に、太宰治の「思案の敗北」の一節を思う小太郎。一緒に帰ろうとLINEで誘う小太郎だったが、茜は部活があると謝る。
その登校日、学校に行くと、小太郎と茜の交際はクラス中に知れ渡っていた。小太郎はろまんと大地にからかわれ、茜はトイレで友人から質問攻めに遭う。放課後、小太郎は茜を呼び止め、部活の後に待ち合わせるの約束をする。
部活が終わった茜は、小太郎が待つ図書室に向かい、一緒にお弁当を食べた後、お囃子の稽古を初めて見学する。稽古の後、2人は立花から氷川神社の風鈴祭りを勧められる。
夕方、2人は祭へ行く。茜の浴衣姿に見惚れる小太郎。小太郎の誕生日が8月7日と初めて知って慌ててプレゼントを探す茜。2人で風鈴祭りを楽しみ、縁結びの風鈴の短冊を書く。茜は慣れない浴衣用の下駄で指を痛めてしまう。茜は土産物店で買った自分とお揃いの芋のマスコットを買ってプレゼントする。小太郎は「茜ちゃん」と呼び、茜も「小太郎くん」と名前で呼び合い、そして2人はキスをする。縁結びの風鈴には、2人に「ずっと一緒にいられますように」と書かれた2つの短冊が並んでいた。

本編エンディングの後には、次のショートエピソードが挿入されています。

●心咲とカネコ(2)

付き合うようになった2人。金子からグラビアアイドルと同じポーズを求められ赤くなる心咲。

●涼子先生とろまん(5)

夏休みでろまんに会えないのを嘆く涼子。

●美羽と稲葉(5)

こんなとこ、彼氏と来たいよね、と美羽に言われ、俺は…落ち込む稲葉。

●さくらとろまん

ろまんに、リップ変えた?と聞かれキモいと思いつつ、嬉しく思うさくら。

●女一匹♥️滝沢葵

茜と千夏の親友の滝沢葵(白石晴香)が、いじられて喜ぶ陸上部の男子の反応に、マジウザいと思う。

●涼子先生とろまん(6)

ろまんの写真をスマホで見ながら、卒業まで長いなあと嘆く涼子。

●小太郎の両親

小太郎の書きかけの小説を見つけた両親、ひそかに読んで、女心が分かってるじゃないか、と思う父親の龍之介(岡和男)だが、母親の淳子(井上喜久子)は、女心が分かってないとつぶやく。

 

エンドロールの背景に挿入されるLINEの会話の相手方は、第5話は「彼氏さん」、第6話は「彼女さん」、第7話は「夫」、第8話は「ダーリン」になっています。なお、前半抄のエンドロールにはLINE会話の画は入っていません。

続きはまた改めて。