鷺の停車場

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映画「駅までの道をおしえて」を観る

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MOVIX柏の葉に「駅までの道をおしえて」(10月18日(金)公開)を観に行きました。

全国70館の比較的小規模な上映ですが、以前にどこかの映画館でチラシをもらってちょっと気になっていたので、観てみることに。

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この日の上映スケジュール。

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上映は103+2席のシアター4。お客さんは4~5人。公開初週にしては寂しい入りですが、私はチラシ以外に接することはなかったので、あまり宣伝もしていないのでしょうね。

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(チラシの表裏)

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(チラシの中見開き)

作品は、伊集院静の同名の短編小説を原作に映画化したものだそうで、監督・脚色は橋本直樹。公式サイトのストーリーによれば、

 

サヤカ(新津ちせ)は、赤い電車が通る湾岸の街に両親(坂井真紀、滝藤賢一)と暮らす8歳の少女。臨海学校に出かけた数日の間に愛犬のルーがいなくなったことが受け入れられず、ルーと一緒に過ごした場所を訪れては、その姿を探している。
ある日、サヤカはかつてルーに導かれて見つけた、線路の跡が残る原っぱで一匹の犬と出会う。犬はすぐに姿を消すが、数日後、近所の喫茶店の前につながれていた。サヤカは、見るからに頑固そうなマスターのフセ老人(笈田ヨシ)に、犬の名前はルースで、ルースの方から店にやってきたのだと聞かされる。時の止まったようなジャズ喫茶を営むフセ老人もまた、数十年前に幼くして亡くなった息子の死を受け入れられずにいた。
やがてサヤカは喫茶店に通うようになり、ルーの思い出話をしたり、フセ老人の息子コウイチローの話を聞いたりするうちに、フセ老人と打ち解けていく。サヤカは、フセ老人が待っているという大切な「何か」を、ただ待ち続けるのではなく、一緒に探しに行こうと提案する。
週末。サヤカとフセ老人とルースは海に向かった。「何か」とは一体なんなのか?そして二人は「何か」を見つけることができるのだろうか?

 

というあらすじ。

実は、寝坊してしまったせいで、本編冒頭のおそらく数十秒を見逃してしまったのですが、私には響く映画でした。

犬の死を受け入れられない少女サヤカと、息子の死を受け入れられない老人フセが、ある犬をきっかけに知り合い、引き寄せられるように打ち解けていきます。しかし、それもわずかの間のことで、サヤカはフセも失うことになります。それでも、その犬と再び出会い、前向きに走り出すところで、映画は終わります。

自分が学校の体験教室で家を空けている間に犬を失い、その事実を受け入れることができないサヤカの心象を、回想シーンをはさみながら表現していく描写は、とても良かった。終盤の電車が出てくるシーンなど、現実から離れたシーンでは、ちょっと演出過剰に感じる部分もありましたが、そうしたところを除けば、音楽も効果的で、心にしみました。「この世界の片隅に」で音楽を担当したコトリンゴによる挿入歌も良かった。

主演の新津ちせは、アニメの新海誠さんの娘だそうで、話題作りとの批判もあるみたいですが、既に映画などに何本も出演している子役。本編中はほとんど出ずっぱり、セリフ回しは確かにたどたどしいところがありましたが、シーンに合った表情がとても良くて、8~9歳でこんな演技ができるなんて凄いと率直に思いました。

何か大きな出来事が起こるわけではない地味な展開なので、評価が分かれる作品だとは思いますが、落ち着いた雰囲気の切ない系の映画が好きな人であれば、観て損はないと思います。