鷺の停車場

映画、本、グルメ、クラシック音楽、日常のできごとなどを気ままに書いています

映画「フラグタイム」を観る

年末年始の休みのある日、ほかの家族もそれぞれ予定があって丸一日フリーになりました。せっかくなので、日頃はなかなかすることが難しい、少し遠出をして、気になっていた映画をまとめて観る映画漬けに費やすことに。

いつもより少し早起きして、まずは新宿へ。

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新宿三丁目駅近く、マルイアネックスの上にある新宿バルト9へ。 

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まだ8時半ごろ、朝イチの上映はもう順次始まっていることもあってロビーの人はまばらでした。

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409席のシアター6に入ります。 

観たのは「フラグタイム」(2019年11月22日(金)公開)。

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(チラシの表裏)

公式サイトのイントロダクションを引用すると、

 

誰とも関わりたくない、関われない。人付き合いが苦手な森谷美鈴【伊藤未来】は、1日3分間だけ時間を止められる高校生。
ある日彼女は、時間が停止している間に、クラスいちの美少女・村上遥【宮本侑芽】のスカートの中を覗いてみたが、なぜか村上には時間停止の力が効かず、秘密がバレてしまう。
お詫びとして森谷は、村上の願いを何でも聞くと約束するが―――――

 

というあらすじ。(【   】内のキャストは私が追記しました。)

2人の女子高生が互いを好きになる、いわゆる百合系の作品なのですが、私自身の感想としては、作品の主題は、人付き合いが苦手な一人と、周りとうまく付き合っているもう一人が、それぞれ互いの心の痛みを理解していく物語。監督・脚本の佐藤卓哉の前作「あさがおと加瀬さん」もいわゆる百合系のストーリーだったようですし、制作サイドの狙いは、百合系を前提としたものだったのかもしれませんが、百合的な交流や恋愛感情というより、互いが心の痛みを理解して、互いのためを思う振舞いが印象深く心に迫る物語だったので、こうした筋書きを描くのは、この設定であることは必然ではないだろうと思いました。

周りとの交流を避けて自分の殻にこもる主人公と、クラスの人気者が心を通わせていく、という意味では、例えば「君の膵臓をたべたい」にも共通します。マンガの原作を映画化したもの、ということなので仕方ないのでしょうけど、百合系の設定を外して再構築すれば、もっと広い範囲に響く作品になったのではないでしょうか。少なくとも私は、躊躇してここまで引っ張らずに観に行っていただろうと思います。

この日のお客さんも、ぱっと見た限り、もしかすると全員が男性、おそらく中高年中心で登場人物と同世代はほとんどいない感じだったので、世間的にはコア系の作品と受け取られているのでしょう。制作サイドもそういう意図だったのでしょうし、そうした設定が好きな客層も確実にあるのだろうとは思いますが、もったいない気がしました。いい作品なのですけど。