アニメ「この音とまれ」第2クールを途中から見て、けっこう良かったので、原作のアミューさんのマンガを一気読みしました。
引き続きジャンプスクエアで連載中、現在単行本が21巻(第83話まで)出ています。
先輩の引退により廃部寸前となった時瀬高校・箏曲部。新入部員集めに苦労する唯一の部員となってしまった2年生の部長・倉田武蔵だが、元不良の久遠愛や箏の鳳月会の家元の娘で筝の天才・鳳月さとわ、愛の友人の足立実康・水原光太・堺通孝の1年生たちが入部して、ドタバタしつつ懸命な練習を重ね、学校中を納得させる演奏をするまでに成長し、部の存続を勝ち取る。(第3巻収載の#9「音の行方」までの部分)
武蔵と同学年の来栖妃呂も加わり、7人となった時瀬高校箏曲部は「関東邦楽祭」に出場するが、入賞を逃す。(第8巻収載の#28「一歩前へ」までの部分)
しかし、顧問・滝浪涼香も部員たちの演奏を認め、筝の家元・鳳月会の支部・椿会の跡継ぎである堂島晶を外部指導者に迎えて県予選大会へ臨み、全国大会への切符を手にする。(第14巻収載の#54「スタートライン」までの部分)
新年度を迎えた時瀬高校筝曲部は、由永侑、百谷名都の2人の新入部員を迎え、全国大会に向けて練習に励むが(第16巻収載の#60「新しい風」からの部分)・・・というのが、おおまかなあらすじ。
各話のタイトルの一覧です。
第1巻
- #1 新入部員
- #2 資格の在り処
- #3 僕らの入部動機
第2巻
- #4 新生筝曲部始動
- #5 出来ないこと
- #6 初めての響き
- #7 それぞれの想い
第3巻
- #8 響き届け 僕らの音
- #9 音の行方
- #10 見えない境界線
- #11 知られざる音の葉
- 番外編(♭1 気になるお年頃/♭2 愛の休日/♭3 武蔵とマメ子)
第4巻
- #12 本当の理由
- #13 ここから
- #14 みちしるべ
- #15 向かい風
第5巻
- #16 突き刺さる言の音
- #17 答え
- #18 ステップ
- #19 近くて遠い距離
第6巻
- #20 となり
- #21 探してた音
- #22 関東邦楽祭開幕
- #23 桐生桜介
第7巻
- #24 ライバル
- #25 決断
- #26 久遠
- #27 光の音
- 番外編~久遠家の日常~(♭1 理由/♭2 打開策/♭3 打開策2/♭4 くまのおにぎり)
第8巻
- #28 一歩前へ
- #29 きづき
- #30 ゆるぎないもの
- #31 二人の時間
第9巻
- #32 音の真実
- #33 再会
- #34 陰
- #35 それぞれの決意
第10巻
- #36 ただの一度も
- #37 堂島晶
- #38 対峙
- #39 青春力
第11巻
- #40 もう一度
- #41 意味と役割
- #42 いつか
- #43 決戦の朝
第12巻
- #44 全国予選開幕!
- #45 王者の覚悟
- #46 三つのパラフレーズ
- #47 青春は微笑まない
第13巻
- #48 数学のおと
- #49 正解のその先
- #50 さとわの音
- #51 音楽の本質
第14巻
- #52 天泣
- #53 1/14
- #54 スタートライン
- #55 懐かしい温度
第15巻
- #56 青い糸
- #57 ホワイトクリスマスイブ
- #58 New Year
- #59 present
第16巻
- #60 新しい風
- #61 二人の実力
- #62 後輩
- #63 先輩
第17巻
- #64 シンフォニーブルー
- #65 それぞれの六段
- #66 Fill In
- #67 耳もとの本音
第18巻
第19巻
第20巻
- #75 一英高等学校
- #76 restart
- #77 イントロダクション
- 読切 5×100
第21巻
- #78 分かれ道(前編)
- #79 分かれ道(後編)
- #80 ひとりと独り
- #81 もう一つの選択肢
- #82 ブルーモーメント
- #83 大事にしてたこと
私が見たアニメ第2クールの途中からの回との関係では、
- アニメ第19話「対峙」:第10巻収載の第36話「ただの一度も」の途中から、第37話「堂島晶」、第38話「対峙」
- アニメ第20話「もう一度」:第10巻収載の第39話「青春力」、第11巻収載の第40話「もう一度」
- アニメ第21話「意味と役割」:第11巻収載の第41話「意味と役割」、第42話「いつか」
- アニメ第22話「決戦の朝」:第11巻収載の第43話「決戦の朝」、第12巻収載の第44話「全国予選開幕!」
- アニメ第23話「王者の覚悟」:第12巻収載の第45話「王者の覚悟」、第46話「三つのパラフレーズ」
- アニメ第24話「正解のその先」:第12巻収載の第47話「青春は微笑まない」、第13巻収載の第48話「数学のおと」、第49話「正解のその先」
- アニメ第25話「天泣」:第13巻収載の第50話「さとわの音」、第51話「音楽の本質」、第14巻収載の第52話「天泣」
- アニメ第26話「スタートライン」:第14巻収載の第53話「1/14」、第54話「スタートライン」
という対応関係になっています。
原作のマンガを通して読んでも、私がアニメで見たストーリー部分にほぼ対応する、堂島晶が登場して全国大会予選が終わるまで、単行本でいうと第9巻から第14巻までの部分がとくに心に響きました。
第9巻収載の第33話「再会」で初めて堂島晶が登場しますが、とりわけ印象に残ったのは、第35話「それぞれの決意」。部員たちを教える堂島晶が、基本に立ち返った練習をさせます。「たった一音だからとバカにしているんですか。演奏というものはどれも、この一音が繋がってできるものなんですよ」「合わせる指の音量が同じでないと、粒はそろいませんよ」「これが『粒がそろう』ということです」と、自分が見本を弾きながら部員たちに理解させるシーンは、背筋が伸びるというか、ピーンと張りつめた感じがしました。
第10巻収載の第39話「青春力」、第11巻収載の第40話「もう一度」のあたりは、アニメでも印象に残った回ですが、マンガでも、さとわと晶が合奏するシーンなど、音がないのに音楽による変化を感じさせる描写は巧みです。
そして、第13巻収載の第50話「さとわの音」・第51話「音楽の本質」で時瀬高校が「天泣」を演奏するシーン、アニメで演奏を何度も聴いたから、という要素も大きいのだろうと思いますが、画だけで音をイメージさせる描写はすごいと思いました。
唯一、要所要所に散りばめられている高度な技術を気にさせない、難しいことをやっているように見せない、それが音楽ってもんだろう、という楽器屋のおばあさんの言葉は、ちょっと違うかなあ。それは高度な演奏かもしれないけど、「音楽」そのものではなく「音楽」の見せ方の問題だろうと思います。確かに、高度な演奏に心震わされることがあるのはそうなのですが、「それが音楽ってもんだろう」と言われると、その高度な技術自体は手段にすぎないようにも思うのです。あまのじゃくかもしれませんけど。しょせん、高度な技術も手段にすぎないのであって、その技術がなければ伝えられないものが少なくないことは間違いないのですが、そうした技術を使って何を伝えるかが本質だろうと思います。