鷺の停車場

映画、本、グルメ、クラシック音楽、日常のできごとなどを気ままに書いています

アニメ映画「銀河鉄道の夜」

休日の午後、キネマ旬報シアターに行きました。

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この週の上映作品。

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柏駅の西口を右手に進んで階段を下りた1Fにあります。

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夏休みということでアニメの名作映画の上映が行われています。

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細田守監督作品の上映も予定されていました。

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観に来たのは「銀河鉄道の夜」(1985年7月13日(土)公開)。かなり昔、中学校の国語の授業だったか、学校でビデオでこの映画を観させられて、とても鮮烈な印象を受けたことを覚えています。宮澤賢治の童話を読むようになったのも、その体験が大きかったと思います。その後、テレビで放映されたときなど、何度か見たことがありますが、スクリーンで観る機会はそうないだろうと思って、やってきました。

今の作品はDCP(デジタル・シネマ・パッケージ)によるデジタル方式での上映になっていますが、この作品はDCP化されていないようで、今では珍しいフィルム上映。

上映は2Fにある136席のスクリーン3。この日も1席ずつ間隔を開ける指定席方式での販売でした。

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2Fに上がると、ロビーに銀河鉄道の夜の展示がありました。

スクリーンに入ると、30人ほどはお客さんが入っていました。私と同じように、スクリーンで上映される珍しい機会にやってきた人も多いのでしょう。 

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銀河鉄道の夜 [Blu-ray]

銀河鉄道の夜 [Blu-ray]

  • 発売日: 2014/05/30
  • メディア: Blu-ray
 

宮澤賢治の童話を、テレビアニメ「タッチ」などを手掛けた杉井ギサブロー監督がアニメ映画化したもので、脚本は別役実

細部に記憶違いがあるかもしれませんが、映画のあらすじは次のようなもの。


父は遠くに漁に出かけて不在で、働きながら病気の母と暮らす少年ジョバンニ【田中真弓】。同級生のザネリ【堀絢子】たちに「お父さんがラッコの上着を持ってくると言っていたよ」とからかわれ孤独なジョバンニだが、父同士が友人で小さい頃にはよく遊んだカムパネルラ【坂本千夏】はそれを気の毒そうに見ていた。

星祭りの夜、届いていない牛乳を出かけたジョバンニが丘の上でひとり星空を眺めていると、目の前に銀河鉄道が現れる、列車に乗って窓の外を見ていたジョバンニが車内に目を戻すと、向かいの席にはカムパネルラが座っていた。

2人は銀河を旅し、渡り鳥を捕まえる鳥捕り【大塚周夫】、燈台守【常田富士男】、老婆【新村礼子】、乗っていた旅客船が氷山に衝突して沈んだ家庭教師の青年【菊池英博】、かおる子【中原香織】・ただし【渕崎ゆり子姉弟など、さまざまな人々と出会う。

ハレルヤが流れる南十字の駅でほとんどの客は下りていき、2人きりとなったが、窓の外に現れた石炭袋を見たカムパネルラは、あすこにいるのはお母さんだ、と不思議なことを言い、ジョバンニに別れを告げて去っていく。別れを惜しんでカムパネルラの名を叫ぶジョバンニ。

ジョバンニが気が付くと、丘の上だった。旅をしてきた銀河を見ながら、本当の幸いのために尽くすことを心に誓うジョバンニ。牛乳をもらって戻るジョバンニは、行き会った同級生のマルソ【一城みゆ希】から、カムパネルラがザネリを救おうと川に入ったが見つからないと聞かされる。

ジョバンニが川に向かうと、カムパネルラの父【納谷悟朗】は、川に落ちて45分が経ったことであきらめようとしていたが、ジョバンニに気付いて、ジョバンニの父から元気な便りが来た、もう着くだろうと話す。ジョバンニは、牛乳と父の知らせを持って母のもとに向かって走り出すのだった。


宮澤賢治の原作童話を繰り返し読んだのはもうだいぶ前になりますが、記憶の範囲では、原作との違和感はなく、基本的に原作に沿ったあらすじになっていると思います。

フィルム上映の映画を観るのは久しぶりですが、最近のデジタル上映の映画と比べると、解像度は粗い感じです。フィルムの保存状態があまり良くなかったのか、画面のノイズが多く入っている部分もありました。先日観た「風の谷のナウシカ」は、本作の1年前に公開された作品なので、公開当時の映像の質は大差なかったのだろうと思いますが、同作はデジタルリマスターされていることもあって、明らかに画質が違っていました。本作も、デジタル化されれば、もっと鮮明な画質で観ることができるのだろうと、ちょっと残念に思いました。

それでも、冒頭から、独特の世界観に引き込まれる描写で、細野晴臣による音楽もとても印象的。昔も強く心打たれたタイタニック沈没を下敷きに描かれている306番(讃美歌「主よ御許に近づかん」。現在は320番となっているようです)のシーンでは、やはり涙がこぼれました。改めて観ても、やはり名作です。

久しぶりに観て、家でも見直してみたいと近くのレンタルDVDのお店を覗いてみましたが、古い作品だからか、既に店頭からは消えていました。再び観るには、自分でBlu-rayを買うしかないのかもしれません。