鷺の停車場

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香月美夜「本好きの下克上~司書になるためには手段を選んでいられません~第三部 領主の養女Ⅰ」

香月美夜の小説「本好きの下克上~司書になるためには手段を選んでいられません~」の第三部「領主の養女Ⅰ」を読みました。

テレビアニメ版を見て読み始めたシリーズ。テレビアニメでは(まだ)描かれていない第3部に入りました。

単行本の表紙裏には、次のような紹介文があります。

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自身の魔力を貴族から狙われたマインは、下町の家族や仲間との別れを決断した。大切な人々に危険が及ばないよう、名前も「ローゼマイン」に改名し、「領主の養女」として新生活を開始することになる。だが、その上級貴族社会での日々は過酷だった。儀式や礼儀作法を学ぶための猛特訓に加え、就任した神殿長や工房長の責任は重い。病弱な7歳の少女には厳しすぎる……はずが、神官長からのご褒美が「神殿図書室の鍵」だったことで一変!これさえあれば、たくさんの貴重な本が読める!名前が変わっても、変わらぬ本への情熱で、ローゼマインは新世界を駆けぬけていく!

広がる緻密な世界観と本の生産体制。本を愛する全ての人に捧げる、ビブリア・ファンタジー第三部開幕!

書き下ろし番外編2本+椎名優描き下ろし「四コマ漫画」+第1回人気キャラクター投票結果発表などなど、盛りだくさん!

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本巻は、プロローグ・エピローグと見出しで区切られた20節からなり、紹介文にあるとおり、巻末に番外編2編、イラストを担当している椎名優による巻末おまけの四コマ漫画、人気キャラクター投票結果が収録されています。各節のおおまかな内容を紹介すると、次のようなあらすじです。

 

プロローグ

カルステッドはフェルディナンドとローゼマインについての設定を詰める。第一夫人のエルヴィーラに話をした結果、ローゼマリーの娘とは公表せずに洗礼式を行い、エルヴィーラが母代わりに教育することになる。魔術具を使ってローゼマインの体に流れる魔力を調べたフェルディナンドは、ローゼマインに、君は一度死んだことがある、中心に近い位置で魔力が固まっていると告げる。

診断結果と貴族街

フェルディナンドは、魔力があちこちで固まっているせいで流れが悪くなり倒れやすいのだと思う、魔力を溶かす薬はあるが必要な材料の入手が難しい、と語る。3日後、ローゼマインは、専属楽師となるロジーナ、専属料理人となるエラを連れ、迎えに来たカルステッド貴族街に向かい、エルヴィーラに挨拶する。

洗礼式の準備

貴族街でエルヴィーラ、三男のコルネリウスが一緒に暮らすカルステッドの家での生活が始まったローゼマインは、リンシャンを入手するためベンノを呼んでもらう。エルヴィーラはベンノが持ってきたリンシャンや植物紙、髪飾りを気に入り、ローゼマイン用の髪飾りを注文する。貴族たちの名前を覚えるのに苦労するローゼマインだったが、全部覚えて洗礼式を乗り切れば、書棚の鍵の管理を任せるとフェルディナンドに釣られ、俄然やる気になる。洗礼式の前日、ローゼマインは、普段は騎士寮で暮らしているカルステッドの長男・エックハルトと次男・ランプレヒトと顔を合わせる。

貴族の洗礼式

洗礼式の日、儀式を行うためにカルステッドの家にやってきた神官長のフェルディナンドから祝いに髪飾りを渡されたローゼマインは、それが元の姉・トゥーリと母・エーファが作ったものだと気付き、寂しさに襲われ涙してしまう。領主・ジルヴェスター一家も到着し、洗礼式が行われる。フェルディナンドから祝福を与えられたローゼマインが祝福のお返しを行うと、その魔力に、ホールに集まった人々はざわつく。

養子縁組

すると、ジルヴェスターが自分とローゼマインの養子縁組を行うことを宣言する。ジルヴェスターは、魔力量が多いためカルステッドが隠して育て、神殿で孤児院の子供たちを哀れに思い仕事と食事を与え、聖女のごとく慕われ、崇められている、とローゼマインの生い立ちを話し、成人するまでの間、神殿長の職に就けること、印刷業を領地の新しい事業として広げていくと話す。契約を結んだ後、歓談が始まり、ローゼマインは、護衛騎士となるダームエルとブリギッテを紹介され、貴族たちから挨拶を受ける。そこにジルヴェスターの息子のヴィルフリートがやってきて、ローゼマインを強引に遊びに行くと連れ出し走るが、虚弱なローゼマインは意識を失ってしまう。意識を回復したローゼマインにフェルディナンドは、ヴィルフリートやその護衛騎士であるランプレヒトに虚弱さを叩きこむためにやったと語る。

就任式

1日家で休んだローゼマインは、翌日、久しぶりに神殿に向かう。午後、就任式で、疑問の声を上げる青色神官に、フェルディナンドは洗礼式のジルヴェスターと同じように説明する。就任式を終えたローゼマインは図書室の鍵をフェルディナンドに要求する。

久し振りの再会

鍵を手に入れたローゼマインはすぐに図書室に飛び込もうとするが、フランに止められ、星結びの儀式の手順やお祈りの言葉を覚えるよう進言される。翌日、ローゼマインは、フェルディナンドとともに、神殿にやってきたベンノ、マルク、ルッツと孤児院長室で会い、近隣の街の孤児院に工房を作るための下見と、イタリアンレストランの準備状況について報告を受ける。フェルディナンドが戻った後、ローゼマインはベンノやルッツを隠し部屋に招き、貴族街での生活で溜まった鬱憤を吐き出す。

ふわふわパンの作り方

ローゼマインが落ち着くと、ベンノは天然酵母を使ったふわふわパンの作り方を知りたいと話を切り出すが、ローゼマインは、領主の養女として、流行の発信元になり、自分の立場を作るために使うと断り、イタリアンレストランはギルド長に任せ、印刷業の拡大の方に注力した方がいいとアドバイスする。

星結びの儀式 下町編

星祭りの日が近づき、ローゼマインは、ルッツからトゥーリたちが家族で星結びの儀式を行うローゼマインをちらっと見るために神殿に来ると聞かされる。迎えた星結びの儀式、フェルディナンドが神話を語った後、ローゼマインは新婚の新郎新婦たちに祝福を与える。前の神殿長のときと異なる本物の祝福に、新郎新婦たちや青色神官は驚く。儀式が終わり、神殿の扉が開かれると、扉の前に待機していたトゥーリたち家族と、つかの間の触れ合いを行う。

領主の城

昼食を食べたローゼマインは馬車で領主の城に向かう。到着し、夜の宴に出席するダームエルとブリギッテの代わりに、コルネリウスとアンゲリカが護衛に付き、執事のノルベルトから筆頭側仕えとなるリヒャルダを紹介される。リヒャルダはかつてカルステッドの教育係、ジルヴェスターの乳母を務めたベテランだった。着替えて食堂での正餐に臨んだローゼマインは、ジルヴェスターからイタリアンレストランに行く日取りを確認し、その後再び神殿長として貴族街の星結びの儀式に向かう。

星結びの儀式 貴族編

儀式用の衣装に着替え、リヒャルダにホールの手前まで運ばれたローゼマインは壇上に上がり、儀式が始まるまでの間、ジルヴェスターとカルステッドからブリギッテ、ランプレヒト、エックハルトの結婚事情などを聞かされる。儀式が始まり、ジルヴェスターが神話を語った後、ローゼマインは祝福を与えるが、遅くまでの過密スケジュールに、翌日熱を出して寝込む。

領主とイタリアンレストラン

熱が下がった夕方に神殿に戻ったローゼマインは、ジルヴェスターがイタリアンレストランに行く日取りをベンノに知らせるため使いを出す。2日後の食事会当日、ローゼマインは、ジルヴェスター、カルステッド、フェルディナンド、護衛のエックハルトコルネリウス、ダームエル、ブリギッテ、側仕えのフランたちとベンノが用意した馬車でレストランに向かう。ギルド長、フリーダも同席して食事会が始まり、ジルヴェスターは満足そうに食事を平らげる。

小神殿

食事を終えたジルヴェスターは、人払いをしてベンノから印刷業拡大についての報告を受ける。ローゼマインは新しい孤児院と工房を作ることを提案し、ジルヴェスターはそれを認め、孤児院と工房、小さい礼拝室のある小神殿を作ることを決める。フェルディナンドに指示して小神殿の設計をまとめさせ、小神殿を作るハッセの街に向かい、魔力で小神殿を作る。工房を動かすのに必要な初期費用の補助をジルヴェスターに請うが、自分で集めろと却下され、ローゼマインはイタリアンレストランのレシピを売って時間を稼ぐことにする。

寄付金の集め方

エルヴィーラとジルヴェスターの第一夫人のフロレンツィアが開いてくれたお茶会でカトルカールやロールケーキを出し、寄付金を集めるローゼマインだが、終わった後、熱を出して寝込んでしまう。寄付金の集め方を考えるローゼマインは、リヒャルダの加勢もあり、新しい曲とレシピを提供するのと引き換えにフェルディナンドがフェシュピールを弾いてもらいチャリティーコンサートを開くことにする。

初めての魔術特訓

コンサートを1月後に開くことになったローゼマインは、フェルディナンドから魔石で騎獣を作る魔術特訓を受けるがうまくいかない。フェルディナンドの冷たい仕打ちの意趣返しに、ローゼマインはコンサートにフェルディナンドの肖像画を描いたパンフレットを作ることを決める。

ロウ原紙作成にむけて

パンフレットを作るために神殿に戻ったローゼマインは、フランたちの報告を受け、トロンベでロウ原紙を作ることにする。ローゼマインは、ヴィルマにフェルディナンドの肖像画を描くことを頼む。

フェルディナンドのイラスト

フェルディナンドに呼び出されたローゼマインは、新しい曲を提供するため、記憶にあるアニメソングを歌うと、フェルディナンドとロジーナは相談しながらフェシュピール用にアレンジしていき、ヴィルマはフェルディナンドをスケッチする。

ヨハンとザック

ヨハンに対抗心を燃やし、グーテンベルクの仲間入りを目指す鍛冶職人のザックがヨハンと一緒にやってくる。ローゼマインは、ロウ原紙を作るために紙にロウを引く機械を作ろうと、2人に設計図を書かせ、それぞれが選んだ設計図で機械を作ってもらうことにする。ルッツからはトゥーリたち家族からの近況を知らせる手紙を受け取り、髪飾り職人が完成した髪飾りを持って来ると聞かされる。トゥーリと久しぶりに会ったローゼマインは心が満たされる。

エルヴィーラとランプレヒトの来襲

ローゼマインはヴィルマが作った版紙を渡してルッツにプログラムの印刷を依頼する。神官長の仕事を手伝っていると、ランプレヒトからヴィルフリートのことで話がある、エルヴィーラと訪問してローゼマインと昼食を共にしたいと伝言が入る。3日後にやってきたランプレヒトは、ローゼマインは勉強をしないでジルヴェスターと話してずるいとヴィルフリート言っていると聞かされるが、フェルディナンドは一蹴する。昼食後、ローゼマインはエルヴィーラと演奏会の話を詰める。

騎獣とロウ原紙の完成

ローゼマインは、フェルディナンドの特訓を受け、ネコバスを頭に浮かべてレッサーバス型の騎獣を作ることに成功する。そして、ザックが作った機械で、ロウ原紙が完成し、ローゼマインはザックにグーテンベルクの称号を与える。

フェシュピール演奏会

フェルディナンドがフェシュピールを弾くチャリティーコンサートの日、ローゼマインが印刷したプログラムやイラストは大いに売れて大成功を収めるが、フェルディナンドのイラストを作って売ったことがフェルディナンドにバレて、二度と売らないと約束させられる。

エピローグ

ハッセの小神殿の準備を進めるベンノに、ローゼマインから髪飾りの依頼をしたいので孤児院長室へはこれからもトゥーリを連れてきてほしいと伝言が届く。ベンノとトゥーリに付いて孤児院を訪れたルッツは、ローゼマインの貴族らしい振る舞いに、自分も今までと同じ努力じゃダメだと痛感する。

 

最後に番外編が2編。

妹の護衛騎士

領主の養女となるローゼマインの護衛騎士に付けられることになったカルステッドの三男・コルネリウスがローゼマインの虚弱さを痛感するエピソード。

腹の痛い料理人

ベンノが開くイタリアンレストランの料理人になるためマインの下で経験を積んだフーゴが領主を迎える食事会に臨むエピソード。

 

さらに、著者によるあとがきの後に、「今回も突然に 巻末おまけ」(漫画:しいなゆう)「ゆるっとふわっと日常家族」と題して、「学習」「時限爆弾」「絵心」の3本の四コマ漫画、さらに第1回人気キャラクター投票結果発表(ちなみに、1位は、マインを押さえて神官長・フェルディナンド)が収録されています。


新しく登場する人物が多いので、最初は登場人物相互の関係がスッと頭に入らず読み進めるのに少し手間取りましたが、これまでと同様に、(ローゼ)マインが成長し、本作りが進展していく過程を楽しく読むことができました。