鷺の停車場

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香月美夜「本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第四部 貴族院の自称図書委員Ⅰ」

香月美夜の小説「本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~」の第四部「貴族院の自称図書委員Ⅰ」を読みました。

ローゼマインが貴族院に進んでからを描く第4部の第1巻。第3部に続いて読んでみました。

単行本の表紙裏には、次のような紹介文があります。

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約二年間の眠りから目覚めたローゼマイン。周囲の変化は大きく、浦島太郎状態に不安がいっぱい。けれど、休む間もなく、貴族になるための学校「貴族院」へ入学する。

そこは魔力の扱いや魔術具の調合を教えられ、領主候補生は領主として領地を治めるための魔術を学ぶ場。個性的な教師や他領の子供達と一緒に寮生活をしながら、成長を目指す―—―—はずが、院内に大型図書館があるとわかって大変。王族も領主候補生もほぼ眼中になく、ローゼマインは図書館へ突き進むのだった!

本を読むためには手段を選んでいられません!学園を舞台に繰り広げられる、ビブリア・ファンタジー新章開幕!

書き下ろしSS×2本、お馴染み椎名優描き下ろし「四コマ漫画」、「第2回人気キャラクター投票結果」収録!

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本巻は、プロローグ・エピローグと見出しで区切られた22節からなり、紹介文にあるとおり、巻末に番外編2編、イラストを担当している椎名優による巻末おまけの四コマ漫画、第2回人気キャラクター投票結果が収録されています。各節のおおまかな内容を紹介すると、次のようなあらすじです。

 

プロローグ

フェルディナンドは、神殿長室で、ユレーヴェの汚れを落としたローゼマインに眠っていた2年の間に起きたことを説明する。

浦島太郎なわたし

隠し部屋でフェルディナンドから2年間の出来事の概要を聞いたローゼマイン。筋力が減って弱っているた身体強化の魔術具を付けてもらい、3日後には城に移り、貴族院に行く準備に入ると聞かされる。そして、フランたち側仕えから神殿の状況について報告を受け、やってきたベンノたちから印刷事業の発展状況について話を聞く。

城への移動

城に向かったローゼマインは、やる気にさせようとするフェルディナンドから貴族院に国内第2位の図書館があると聞かされ、俄然やる気になる。貴族院には筆頭側仕えのリヒャルダがついていくことになる。

夕食会

夕食会に向かったローゼマインは、ジルヴェスターやヴィルフリート、シャルロッテたちに会い、ボニファティウスにお礼の手紙を渡す。ボニファティウスからは身体強化の特訓を受けることになり、冬の社交界の終わりに魔術強化の講義を行うことにする。

短期集中講座と準備

ローゼマインは、貴族院に向けたフェルディナンドの短期集中講座をこなす一方で、冬の社交界に向けて衣装を準備する。ジークフリートからエーレンフェストの影響力を上げたいと聞かされ、貴族院での成績を上げようと考える。

授与式

冬の洗礼式の日、ローゼマインは貴族院の新入生の授与式に出席するため大広間に向かい、貴族たちの挨拶を受ける。

冬の子供部屋と出発

ローゼマインは冬の子供部屋に顔を出し、貴族院で情報を収集してくれた子供に報酬のお金を渡す。そして貴族院への出発の日がやってくる。

入寮と側近

転移陣で貴族院の寮に移ったローゼマインが上級生が待つ多目的ホールに向かうと、3年生の上級側仕え見習いのブリュンヒルデ、アンゲリカの妹で4年生の中級側仕え見習いのリーゼレータ、アンゲリカに憧れる2年生の中級護衛騎士見習いのユーディットの挨拶を受ける。ヴィルフリートが到着すると、エーレンフェスト寮の寮監を務めるヒルシュールがやってきて、新入生に寮の説明をする。自分の部屋に戻ったローゼマインは、リヒャルダと相談して側近を決める。

成績向上委員会

内定した側近たちの挨拶を受けるローゼマインは、側近となる下級文官見習い1年生のフィリーネと成績向上委員会について話をする。その後の夕食会で、ローゼマインは自分の側近を発表し、エーレンフェストの成績を上げるため、班分けをして成績向上委員会を発足させる。

進級式と親睦会

新しい生活が始まる。進級式と親睦会を控え、ローゼマインはエーレンフェストの女性全員にリンシャンを使って髪を綺麗にしてもらう。講堂に約2千人の全校生徒が集まる。70人もいないエーレンフェストは13位だった。進級式が終わり、全ての領地の領主候補生が集まる部屋に移動するローゼマインは、体の小ささから好奇の視線を受ける。

王族と他領の貴族

エーレンフェストの順番となり、ローゼマインがヴィルフリートとともに王族たちに挨拶した後、他領地の領主候補生たちに挨拶していくと、6位のアーレンスバッハのゲオルギーネの末娘のディートリンデはヴィルフリートのみに笑顔を向ける。一通り挨拶が終わった後の昼食、側近で5年生の上級文官見習いのハルトムートはローゼマインの聖女伝説を作り上げると言い出す。

算術・神学・魔力の扱い

講義が始まったらお昼休みに図書館に行こうとするローゼマインだったが、フェルディナンドから全ての試験に合格するまで禁止するように言われていると告げられる。ヴィルフリートから1年生全員が合格しなければだめだと言われたローゼマインは、1年生全員の一発合格を目指して勉強させる。講義が始まり、貴族院の説明の後、算術と神学の試験でエーレンフェストの1年生8人は全員合格する。午後の魔力の扱いの実技で、十分すぎる魔力を持つローゼマインは、魔石に魔力をうまく込めることができず苦労する。

歴史・地理・音楽

寮に戻ったローゼマインのもとに、図書館の司書のソランジュ先生から登録は4日後の昼休みとの返事が届いていた。ローゼマインは1年生を全力で追い込んで勉強させ、翌日の歴史と地理の試験も全員が合格する。午後の音楽の実技、ローゼマインはフェシュピールでフェルディナンドがアレンジしたアニメソングを弾くと、音楽教師から初めて聞いたと呼び止められる。

騎獣作製と魔力圧縮

午前中の座学が終わってしまったローゼマインは、1年生に呼びかけて来年分の参考書作りを始める。お金を稼ぐために奔走するのは浅ましいと言う上級貴族に、上級貴族らしいお金の稼ぎ方を考えられるようにならなければと諭すローゼマインは、上級貴族をその気にさせるために魔力圧縮方法を餌にする。午後の騎獣作製の実技で、いつものレッサーバスを出すと、初めて見た教師のフラウレルムは泡を吹いて倒れてしまう。翌日の午後、ローゼマインは魔力圧縮の実技に臨む。

魔力圧縮 四段階

自分の順番が回ってきたローゼマインは、何か新しい圧縮方法の参考になりそうなことはないかと先生達の話を思い出し、スープを煮詰めるイメージで圧縮してみることにし、合格する。寮に戻ったローゼマインに、ヒルシュールが急ぎの話があるとやってくる。人払いをした部屋で、ヒルシュールは魔力圧縮の時に初めて遭遇した異常事態を解明したいと、何をしたか説明を求める。

図書館登録

ついに図書館登録の日がやってきて、ご機嫌のローゼマイン。側近で上級側仕え見習いのブリュンヒルデから、ローゼマインが売り出した楽譜の曲を弾いた3年生の演奏を聴いた音楽の先生方からローゼマインをお茶会に誘いたいと打診があったと知らされ、専属楽師のロジーナと新しい曲をアレンジして用意し始める。お昼休み、1年生全員と側近を連れて図書館に向かうローゼマインは登録料を払うが、閲覧室に行くのをリヒャルダに止められ、閲覧室を見るだけでいいと駄々をこね、認められると、歓喜のあまり本気で神に感謝して祈りを捧げてしまい、指輪から祝福の魔力が噴き出し、黄色の光が部屋中に広がる。すると、部屋の奥から黒と白の2匹のウサギのぬいぐるみが立ち上がり、歩いてくる。それは図書館を手伝う魔術具のシュバルツとヴァイスだった。中級貴族のソランジュの魔力では動かすことができなかったが、ローゼマインの魔力で再び動き出したのだ。ローゼマインを主として指示を仰ぐ2匹に、ローゼマインはソランジュ先生のお手伝いをするよう指示する。

シュバルツとヴァイス

シュバルツとヴァイスに案内されて図書館の中を見学するローゼマイン。人出が足りないことを知って、自分が図書委員になる、と言い出しそうになったところで、午後の講義のために退室を促す光が降ってくる。シュバルツとヴァイスはローゼマインに新しい服をねだる。

宮廷作法とヒルシュールの来訪

図書館を出て、宮廷作法の実技に臨むローゼマイン。順番に挨拶とお茶会での振る舞いを行う領主候補生たちをチェックする先生を見て、就職試験の面接官を思い出す。ヴィルフリートをその気にさせようと、このお茶会はフェルディナンドに見張られていると囁くと、ヴィルフリートの背筋がしゅっと伸びる。自力で席に座れないローゼマインは、貴族らしさを保ったままうまく対応し、ヴィルフリートとともに一発合格を勝ち取る。寮に戻ると、図書館の魔術具を復活させたと聞いたヒルシュールが再びやってくる。2匹の製法を探るため服を脱がしたいヒルシュールの卒業まで便宜を図るとの悪魔の誘惑に、採寸や着替えに同行したいとの要求を受け入れる。

シュタープの取得

午前中はフェシュピールの練習と参考書作りを行い、司書になるため文官コースの予習をしたローゼマインは、午後の実技でシュタープの取得に臨む。講堂の奥の礼拝室の祭壇の奥へ入れる穴から天然の洞窟を入っていく。シュタープの原料となる「神の意志」を見つけたら採集して戻るだけの実技だが、中級貴族は途中で自分の「神の意志」を見つけて採集していくが、いくら歩いてもローゼマインの「神の意志」は出てこない。螺旋階段を上がった行き止まりの広場で、虹色に光る魔石を見つける。それを採集して戻ろうとするローゼマインだったが、身体強化の魔術具に流し込もうとする魔力は魔石に吸われていき、それ以上の身体強化できない状態で戻るローゼマインは、途中で座って一休みしたところで疲労で眠ってしまう。捜索に来た先生達が大声で呼びかけることで、かろうじて意識を取り戻す。

初めての土の日

やっとのことで自室にたどり着いたローゼマインは、フェルディナンド特製の回復薬を飲み、ベッドで休む。翌日の講義が休みの土の日、ローゼマインは「神の意志」を自分の中に取り込むまで、魔石を抱えて過ごす。魔石が完全に消えたところで、ローゼマインはシュタープの形状を思い出し、手に持った状態をイメージすると、光るタクトのようなシュタープが現れる。いろいろ形を変えてみるが、最終的には大人達が使っているタクトのような形に落ち着く。昼食後、机からこっそり本を取り出してベッドで読むが、リヒャルダに見つかって取り上げられてしまう。体調が完全回復したローゼマインが多目的ホールに行くと、リーゼレータやブリュンヒルデがシュバルツとヴァイスに着せる衣装の話で盛り上がっていた。自分が全ての講義を終えるまでに座学が終わっていれば採寸に同行することを提案し、女の子達は座学を終わらせようと頑張り始める。

奉納舞

昼食後、ヴィルフリートや側近とともに、奉納舞の練習が行われる小広間に向かうローゼマイン。全学年の領主候補生が一緒に集まり、1年生はまず上級生の舞を見学する。最上級生の舞、アナスタージウス王子が闇の神に祈りを捧げる役だったが、光の女神に祈りを捧げる女子生徒の技量は別格で、ローゼマインは彼女をじっと見つめる。小休憩で、ディートリンデは従姉弟同士でお話がしたいとヴィルフリートをお茶会に誘う。ローゼマインは鈍感なふりをして食い下がるが、わたしの従妹ではないと断られ、フレーベルタークのリュティガーを加えた従姉弟3人でお茶会をすることになり、相談を始める。さっきの女子生徒がひとり稽古するのを見つめるローゼマインに、アナスタージウス王子が声を掛け、フラウレルムを襲ったという騎獣を見せろと言うが、ローゼマインは奉納舞のお稽古の後にしてもらい、騎獣を餌にされてもそう簡単に私は釣れぬぞとの言葉に、こちらからは二度と近付かないと誓うとはっきり否定することにする。休憩後、奉納舞を舞ったローゼマインは一発で合格し、アナスタージウスの稽古が終わるのを待つが、出てきたアナスタージウスは、悪いが急用ができた、と帰っていく。

騎獣作製合格

図書館に行きたくてもリヒャルダに却下されるローゼマインは、講義のない日、次に印刷するための原稿作りに精を出す。次の日の音楽の実技で出された課題曲は、フェルディナンドから出された課題で練習したことがある曲で、すぐに合格をもらう。次の日、2年生の分の参考書は早くもまとまりつつあったが、ここ数年のものと大幅に内容が変わっている講義があることに気づく。多目的ホールで、フィリーネやヴィルフリートがお茶会で気を付けることを尋ねると、ハルトムートはエーレンフェストの成績向上について尋ねられるだろうと語り、私はエーレンフェストの聖女のおかげと答えている、詳細を伝える必要はないが、嘘を言ってはならない、信用を得ることから始めなければ、とアドバイスする。午後からの騎獣作製の実技は、ヒルシュールが他の数人の先生も連れてくる。レッサーバスを作ると、新しいものズ騎の先生方は乗り込んであちこち見回し、ヒルシュールはそれを参考に乗り込み型のシュミル風の騎獣を作り出すと、女子生徒たちの人気者になり、乗り込み型の騎獣が女子生徒の間で流行ることになる。

シュタープの基礎

絵本の原稿作りや2年生の予習をしながら、図書館に行くための最後の実技となるシュタープの基礎の実技の日を待つローゼマイン。シュバルツとヴァイスの採寸に一緒に行きたい女の子達も勉強に励む。ようやくやってきたシュタープの基礎の実技で、ヒルシュールの前でシュタープを作って見せ、ルーフェンから伝言に使うオルドナンツの使い方、救援を求めるロートの打ち上げ方を教わり、シュタープを変形させる訓練を受ける。他の領主候補生たちが魔力を使ってリタイアする中、ローゼマインは全ての課題を合格する。

エピローグ

ローゼマインが貴族院に向かってから、ジルヴェスターの元にヒルシュールから、例年なら、特筆すべきことはないとの簡潔な木札が届けられるだけだったのに、意味不明で不穏な報告書が次々と届くようになる。心配になったジルヴェスターがフェルディナンドに報告書について話をすると、フェルディナンドにはヴィルフリートからローゼマインの扱いについての報告が届いており、エーレンフェストの1年生の全員一発合格が、図書館を餌にされたローゼマインが暴走した結果だとわかる。成績の向上や新しい流行の発信は順調なことがわかったが、自由で楽しかった貴族院が領地で待つ親にとってはもどかしいものだと実感し、これ以上の騒動が起きぬよう祈るジルヴェスターだった。

 

ここまでが本編。その後に、番外編の書き下ろしが2編。

有意義な土の日

アンゲリカの妹でローゼマインの側近となったリーゼレータのエピソード。ローゼマインが「神の意志」を採集で意識を失った翌日の土の日、リーゼレータはほかの側近たちとともにローゼマインの様子を心配しつつ、シュヴァルツとヴァイスに興味を持った他の女子生徒たちと図書館に行き、2匹の衣装の新しい衣装で話が盛り上がる。

マインの目覚め

実のマインの姉・トゥーリは、ローゼマインが目覚めたと聞いて、母・エーファたちと一緒に喜ぶが、大きくなってきた弟のカミルがマインを知らないことを実感して、カミルにマインのことをどう話したらいいか悩むエピソード。

 

さらに、著者によるあとがきの後に、「毎度おなじみ 巻末おまけ」(漫画:しいなゆう)「ゆるっとふわっと日常家族」と題して、「毎日牛乳」「愛の形」「定時報告」の3本の四コマ漫画が収録され、最後に「第2回人気キャラクター投票結果」(今回の1位は主人公のマイン)が収録されています。

 

貴族院に入って側近も増え、他領の子や先生も出てきて、登場人物がかなり増えてきました。一読しただけではスッと理解できませんでしたが、読み返してだんだんと頭に入ってきました。続きも読んでみようと思います。