鷺の停車場

映画、本、グルメ、クラシック音楽、日常のできごとなどを気ままに書いています

「映画 太陽の子」

再びTOHOシネマズ流山おおたかの森に行きました。

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平日の夕方、ロビーにはそれなりにお客さんがいます。

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この日の上映スケジュール。緊急事態宣言を受けて、21時までに上映が終了するスケジュールになっているので、夕方以降の上映回はこれが全部。

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この日は、58席のプレミアスクリーンで、「映画 太陽の子」(8月6日(金)公開)を観ます。

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太平洋戦争末期の「F研究」と呼ばれた日本の原爆開発の事実を基に、時代に翻弄されながら全力で駆け抜けた若者たちの姿を描いた青春群像物語。終戦75年を迎えた2020年、NHKとELEVEN ARTS Studios(USA)による日米合作作品として製作され、2020年8月15日にNHKで放送されたドラマ「太陽の子 Gift of Fire」を、テレビドラマ版とは異なった視点で描いたものだそうで、監督・脚本は黒崎博。

 

公式サイトのストーリーによれば、

 

1945年の夏。軍の密命を受けた京都帝国大学・物理学研究室の若き科学者・石村修(柳楽優弥)と研究員たちは、原子核爆弾の研究開発を進めていた。
研究に没頭する日々の中、建物疎開で家を失った幼馴染の朝倉世津(有村架純)が修の家に居候することに。
時を同じくして、修の弟・裕之(三浦春馬)が戦地から一時帰郷し、久しぶりの再会を喜ぶ3人。
ひとときの幸せな時間の中で、戦地で裕之が負った深い心の傷を垣間見る修と世津だが、一方で物理学に魅了されていた修も、その裏にある破壊の恐ろしさに葛藤を抱えていた。
そんな二人を力強く包み込む世津はただ一人、戦争が終わった後の世界を見据えていた。
それぞれの想いを受け止め、自分たちの未来のためと開発を急ぐ修と研究チームだが、運命の8月6日が訪れてしまう。
日本中が絶望に打ちひしがれる中、それでも前を向く修が見出した新たな光とはーー?

 

・・・というあらすじ。

主な登場人物は、

  • 石村修【柳楽優弥】:海軍から原爆開発の密命を受けた京都帝国大学の学生で、原子物理学を志す科学者。「実験バカ」と呼ばれるほど情熱的に研究に没頭する一方で、その研究がもたらすであろう恐ろしい結末を思い、葛藤する。幼なじみの世津に密かに想いを寄せている。

  • 石村裕之【三浦春馬】:修の弟。陸軍の士官として出兵していたが、肺の療養のため一時帰郷する。以前と変わらぬ明るさで家族や世津に優しくふるまうが、前線での壮絶な戦いが脳裏から離れることはない。裕之もまた世津に想いを寄せている。

  • 朝倉世津【有村架純】:軍の紡績工場で働きながら「戦争が終わったら教師になる」と、戦後の未来を見据えて力強く日々を生きている。空襲被害を避けるための“建物疎開”で家を取り壊され、祖父と共に幼なじみである修の家に居候することに。修と裕之を兄のように慕う。

  • 石村フミ【田中裕子】:修と裕之の母で、家を亡くした世津とその祖父を自宅へ住まわせる。軍人の夫を失ってからは女手一つで、時に優しく、時に厳しく息子たちを育て、違う道をそれぞれに歩む息子たちを案じながらもじっと見守っている。

  • 朝倉清三【山本晋也】:世津の祖父。世津と二人で寄り添うように暮らしてきたが、建物疎開で家を失い、世津と一緒に修の家の離れに移り住むことになる。戦争に明け暮れる昭和の日本を見つめてきた世代。

  • 荒勝文策【國村隼】:京都帝国大学理学部の教授で日本の原子物理学の第一人者。アインシュタインとも交流を持ち、徹底した実験主義で原子核エネルギーの秘密に迫ろうとする。日本の敗色が濃くなる中、海軍の依頼で新型爆弾の開発を引き受け、戸惑いながらも、学生の科学者たちを守りながら導く存在。

  • 澤村【イッセー尾形】:京都五条坂にある陶器屋「釜いそ」の主。焼き物の釉薬として使用している「硝酸ウラン」を修に提供している。

  • 澤村はな【土居志央梨】:陶器屋「窯いそ」の主人・澤村の娘。

  • 木戸貴一【三浦誠己】:京都帝国大学・理学部の助教授。荒勝教授の物理学研究室でF研究のリーダーを務める。

  • 岡野真三【宇野祥平】:京都帝国大学・理学部、荒勝教授の物理学研究室に在籍する工学系の助教

  • 清田薫【尾上寛之】:京都帝国大学・理学部、荒勝教授の物理学研究室で助手として在籍。

  • 花岡喜一【渡辺大知】:京都帝国大学・理学部、荒勝教授の物理学研究室に在籍の大学院生。修の一期上で、時に修を叱咤激励しながらも、研究がはらむ危うさにジレンマを感じている。

  • 堀田茂太郎【葉山奨之】:京都帝国大学・理学部、荒勝教授の物理学研究室に在籍の大学院生。修と共にF研究に従事。結果を見いだせない研究に疑問を持ち戦地へ赴いてしまう。

  • 村井正史【奥野瑛太】:京都帝国大学・理学部、荒勝教授の物理学研究室に在籍の大学院生。修と共にF研究に従事。

など。このほか、修が心の中で自問自答する中で対話するアルベルト・アインシュタインの声を、ピーター・ストーメアが担当しています。

 

個々の登場人物やエピソードは創作の部分も多いのだろうと思いますが、エンディングに京都帝国大学の物理学研究室の写真が写し出され、日本での原爆開発が実際にあったことが示されます。戦争末期、追い込まれた戦況で、戦争の先の未来を見通すことができない状況の中で、もがいていく若者たちの姿が心に迫る作品でした。

療養のため一時帰省したものの、死を覚悟して再び部隊に戻っていく裕之の姿は、昨年自ら命を絶った三浦春馬が演じていることもあって、それが重なって見えて、特に強く刺さりました。主役の柳楽優弥も、これまで抱いていた印象とは全く違う役柄を違和感なく演じていて、いい意味で驚きました。個人的には、エンディングのテーマソングの福山雅治「彼方へ」は、作品本編の雰囲気とは違和感があって、後味がやや損なわれてしまったのが、少し残念でした。