鷺の停車場

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香月美夜「本好きの下克上~司書になるためには手段を選んでいられません~第四部 貴族院の自称図書委員Ⅳ」

香月美夜の小説「本好きの下克上~司書になるためには手段を選んでいられません~」の第四部「貴族院の自称図書委員Ⅳ」を読みました。

ローゼマインが貴族院に進んでからを描く第4部の第4巻。第3巻に続いて読んでみました。

単行本の表紙裏には、次のような紹介文があります。

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近付く春。ローゼマインに下町組との別れを悲しんでいる暇はなかった。貴族院の一年生が終わり、やることはてんこ盛り。

ルッツと約束した本を増やすことはもちろん、春を寿ぐ宴ではエーレンフェストの政略として、ヴィルフリートとの婚約を発表。上位領地への対抗策を次々に繰り出す。

神官長との魔術具のインク作り、直轄地を魔力で満たす祈念式、ハルデンツェルでは図らずも古い儀式を蘇らせることに……。領地の発展を目指し、下町の大規模な整備まで実施する中、他領の暗躍も活発になっていく。

雪解けに祝福を! 領地に繁栄を! 春の訪れに華やぐビブリア・ファンタジー最新刊!

書き下ろしSS×2本、椎名優描き下ろし「四コマ漫画」収録!

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本巻は、プロローグ・エピローグと見出しで区切られた16節からなり、紹介文にあるとおり、巻末に番外編2編、イラストを担当している椎名優による巻末おまけの四コマ漫画が収録されています。各節のおおまかな内容を紹介すると、次のようなあらすじです。

プロローグ

貴族院の1年生を終えてエーレンフェストに戻ったヴィルフリートは、ジルヴェスターから義妹ローゼマインとの婚約を打診される。ジークフリートは、新産業が根付くまで少なくとも10年必要になる、ローゼマインを他領に出すことができない、言動だけを見ればローゼマインは問題児だと語り、ヴィルフリートが最も適当な理由を説明する。ヴィルフリートは、側近たちに相談し、婚約を受けることを決める。

春を寿ぐ宴

ルッツたちとの別れの後、城に戻ったローゼマインは、シャルロッテ、ヴィルフリートとお茶会を開き、祈念式の担当分担を相談する。その次の日、春を寿ぐ宴が開かれる。全ての貴族が揃う大広間で、ジークフリートはヴィルフリートとローゼマインの婚約を発表し、貴族たちは一斉にざわめく。

文官との顔合わせ

婚約が発表されたローゼマインの元に大量の面会依頼が届くが、フェルディナンドの助言を仰ぎ、文官との顔合わせを終えたら神殿に戻ることにする。エルヴィーラに納本制度を設ける必要性を熱弁するローゼマインは、グスタフやジルヴェスターが推薦した文官たちと顔合わせし、グーテンベルクを招く前に行う準備などを説明する。神殿に戻ったローゼマインは、エルヴィーラの貴族院物語を真似て書いた恋愛小説をフェルディナンドに見せるが、破廉恥にも程があると却下される。

神殿での生活

ローゼマインはエラとフーゴを呼び、結婚は問題ないが、神殿の中には夫婦の部屋を作ることができないと話し、お祝いを渡す。その後、フランやザームと成人式と洗礼式の打ち合わせを行う。翌日から、規則正しい神殿生活を送るローゼマインは、エーレンフェスト以外の領地では下水道のようなものが設置されているというグスタフの手紙をフェルディナンドに見せると、フェルディナンドはそれを城に報告することにする。冬の成人式を迎えたローゼマインは、髪飾りが完全に定着したことを実感する。

シュバルツ達の衣装

成人式を終えたローゼマインは、シャルロッテがまとめた届いた領地の浄化についての手紙を読む。やってきたフェルディナンドとシュバルツとヴァイスの衣装作りについて打ち合わせるローゼマインは、手間のかかる刺繍を回避しようと、魔力で染めることを考える。

魔術具のインク

魔術具のインクを作ることになったローゼマインは、フェルディナンドに素材の調合のやり方、インク作りの手順を教えてもらい、インクを作ってみる。でき上がったインクは、書いた後に色が消えるが、ローゼマインの魔力にだけ反応して線が浮かび上がるものになっていた。予想外の展開に、フェルディナンドの研究熱に火がつく。

ギルベルタ商会への依頼

オットー、コリンナ、トゥーリたちギルベルタ商会を呼んだローゼマインは、夏の星祭りに出るエラの髪飾りと図書委員の腕章、夏のための新しい髪飾りを依頼した後、早くエーレンフェストに広めようと蝋纈染めのやり方を教える。

グーテンベルクの集い

オットーは、染色工房にもグーテンベルクの称号がほしいと思っている職人は多いと話し、ギルベルタ商会主催でグーテンベルクの称号をかけたコンペが行われることになる。面会を終えたローゼマインにプランタン商会から手紙が届き、洗礼式の前日にグーテンベルクたちを呼び、2年間の成果を聞き、ハルデンツェルに向かう相談をする。

消えるインクと城への帰還

春の洗礼式を終えたローゼマインは、領主への恭順の姿勢を見せるため、フェルディナンドとともに神殿にこもる。フェルディナンドはローゼマインを呼び、ローゼマインが作ったインクを研究した結果を聞かされ、消えるインクは危険だと製法を秘匿すると告げる。ライゼガンク伯爵が城を出るのを待って城に帰還したローゼマインは、下町の整備などについて情報を確認し、染め物を流行らせようとブリュンヒルデと話す。

領主会議の前に

領主会議に向けて、領主一族が集まるお茶会に出席したローゼマイン。ジルヴェスターは、エーレンフェストの影響力が上がって注目が集まってきていると話し、エントヴィッケルンによる下町の整備を行うと告げる。フェルディナンドやローゼマインの提案で、建物はいじらずに地下に下水を整備することにし、ギルド長グスタフや兵士を使って周知を図ることにする。また、ギルドからの要望で、許可を受けた商人を区別するため、イルクナーで開発されたナンセーブ紙を使った勘合符を作ることになる。会議を終えたローゼマインは、エルヴィーラやフロレンツィア、シャルロッテとのお茶会で、染め物を復活させることになったこと、ギルベルタ商会主催のコンペが行われることになったことなどを報告し、シュバルツたちの衣装について側近たちと相談する。

直轄地の祈念式

祈念式の準備で神殿に戻ったローゼマインは、ギルベルタ商会から届いた布や糸を魔力で染める。祈念式に出発したローゼマインは、最初に向かったハッセで、警護のため同行していたギュンターたち兵士に、エントヴィッケルンが行われることを説明し、協力を求める。各地を回って祈念式を何事もなく終えたローゼマインは、城に戻る。

ハルデンツェルの職人達

グーテンベルクを連れ、エルヴィーラ、ヴィルフリート、シャルロッテや護衛のカルステッドたちとハルデンツェルに向かったローゼマインは、神殿長として領主に魔力に満ちた小聖杯を渡した後、印刷業の状況を確認するため、印刷室や鍛冶場などを見学する。

ハルデンツェルの祈念式

広場で行われる祈念式に神殿長として出席するローゼマイン。舞台の上で騎士たちが歌う歌が聖典に載っていた眷属の女神が歌う歌だとギーベ・ハルデンツェルに話すと、ローゼマインも一緒に歌うことを提案されるが、ギーベの実妹であるエルヴィーラが助け船を出し、ハルデンツェルの女性たちで歌うことになる。ローゼマインも舞台に上がり、歌が始まるが、神に祈りを捧げる箇所になって、光る魔法陣が小聖杯に吸い込まれ、緑の光の柱が出現し、女性たちの魔力が吸い取られる。その夜、雷が鳴り響くと、その翌日、積もっていた雪が完全に消えていた。

エントヴィッケルン

神殿に戻ったローゼマインは、エントヴィッケルンに向けて、回復薬を飲みながら魔石に魔力を込めていく。迎えたエントヴィッケルンの日、領主一族はそれぞれ魔力を込め、無事に成功する。ローゼマインはフェルディナントたちと下町がどう変わったのかを見に行く。建物が全く変わっていないことにがっかりするフェルディナンドに、ローゼマインは洗浄の魔術で建物を綺麗にしようとするが、フェルディナンドは、それでは効率が悪いと、魔法陣を使って建物を洗浄する。

留守番中の生活

城に戻って熱を出したローゼマインが回復したころ、ジルヴェスターは領主会議に出発していく。フェルディナンドから側近や兄妹と交流を深めるよう言われたローゼマインは、リヒャルダに相談し、みんなで一緒にシュバルツたちの衣装作りをする。刺繍をしながら側近たちと話しているうちに、マントに刺繍することが告白のような特別な意味があることを知る。アンゲリカを目指すユーディットには、投擲の腕を磨いた方が強くなるとアドバイスする。騎士見習いの訓練では、ボニファティウスと貴族の森に採集に行き、魔獣のグリュンに遭遇する。

領主会議の報告会

領主会議から戻ってきたジルヴェスターを出迎えたローゼマインたちは、領主一族たちと報告会に参加する。ジルヴェスターは、貴族院の順位が10位に上がったこと、中央やクラッセンブルクとの取り引きが決まったこと、ヴィルフリートとローゼマインの婚約が王に承認されたこと、アーレンスバッハからランプレヒトとフロイデンに花嫁を迎えることなどを報告する。

私的な報告会

報告会の終了後、ローゼマインはフェルディナンドとジルヴェスターの執務室に呼ばれる。ダンケルフェルガーからの立派な本を受け取った後、クラッセンブルク、ドレヴァンヒェル、アーレンスバッハ、ダンケルフェルガー、フレーベルタークから接触があったことを聞かされ、上位のクラッセンブルク、ドレヴァンヒェル、ダンケルフェルガーに警戒が必要、アーレンスバッハには特に警戒が必要だと忠告される。

エピローグ

領主会議を終えて自領に戻ったアウブ・アーレンスバッハのギーゼルフリートは、第一夫人のゲオルギーネに、エーレンフェストの流行の仕掛け人は、ローゼマインの後見人のフェルディナンドだという噂があると話すと、ゲオルギーネは卒業後に神殿入りした最優秀の領主候補生だと話す。それを聞いたギーゼルフリートは、頭の中で何かがカチリとはまるように、ひとつの提案が思い浮かぶ。

 

ここまでが本編。その後に、番外編の書き下ろしが2編。

ハルデンツェルの奇跡

祈念式の翌日、雪が完全に消えたハルデンツェルで、ギーベ・ハルデンツェルが妹・エルヴィーラの夫である騎士団長・カルステッドと、クラッセンブルクとの境界門が開く可能性やローゼマインとヴィルフリートの婚約について話すエピソード。

大改造を防ぐには

ローゼマインからエントヴィッケルンの話を聞いたギュンターが、建物を全て作り変える大改造を避けようと、下町に情報を広め、エントヴィッケルンがうまくいくように見回りなどに活躍するエピソード。

 

さらに、著者によるあとがきの後に、「毎度おなじみ 巻末おまけ」(漫画:しいなゆう)「ゆるっとふわっと日常家族」と題して、「交渉決裂」「女子会の後」「手芸ではなく美術」の3本の四コマ漫画が収録されています。

 

これまでの巻と比べると、大きな展開はありませんが、それまでの印刷業に加えて、染め物の復活に着手するなど、産業は順調に発展していきますし、他領の様々な動きなど、今後の展開に結びついていくであろう弾込めがいろいろあった印象。エピローグのアウブ・アーレンスバッハのエピソードは不気味ですが、次巻以降、フェルディナンドをめぐって大きな展開があるのだろうと予想します。この先も続けて読んでみようと思います。