休日の朝にMOVIX亀有に行きました。
まだ8時前の時間帯ですが、ロビーにはたくさんのお客さんがいました。
この日の上映スケジュール(の一部)。1席ずつ間隔を開けての販売のせいもあって、残席が少なくなっている上映回もちらほらありました。
この日観るのは「MINAMATA―ミナマタ―」(9月23日(木)公開)。
上映は、148+2席のシアター3。朝早い回ですが、25人くらいお客さんが入っていました。
写真家ユージン・スミスと当時の妻が水俣病を取材し1975年に発表した写真集「MINAMATA」を基に映画化した作品。主演のジョニー・デップが自ら製作(プロデューサー)も務め、監督/脚本/プロデューサーはアンドリュー・レヴィタス、脚本はデヴィッド・K・ケスラー、音楽は坂本龍一が担当しています。
公式サイトのストーリーによれば、
1971年、ニューヨーク。アメリカを代表する写真家の一人と称えられたユージン・スミスは、今では酒に溺れ荒んだ生活を送っていた。そんな時、アイリーンと名乗る女性から、熊本県水俣市にあるチッソ工場が海に流す有害物質によって苦しむ人々を撮影してほしいと頼まれる。水銀に冒され歩くことも話すことも出来ない子供たち、激化する抗議運動、それを力で押さえつける工場側。そんな光景に驚きながらも冷静にシャッターを切り続けるユージンだったが、ある事がきっかけで自身も危険な反撃にあう。追い詰められたユージンは、水俣病と共に生きる人々にある提案をし、彼自身の人生と世界を変える写真を撮る―—。
・・・というあらすじ。
主な登場人物は、
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アイリーン【美波】:通訳などでスミスの撮影をサポートし、自らも写真を撮る。
シゲル【青木柚】:ユージンが公園で偶然出会い、写真を教える水俣病患者。
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ロバート・"ボブ"・ヘイズ【ビル・ナイ】:「LIFE」誌の編集長。
など。
心に迫り、また、考えさせられる作品でした。
水俣病やその経緯については、本などを通して知識としては知っていますし、10数年前に実際に水俣に行って関連施設を見学したこともありますが、本作のテーマであるユージン・スミスの話は知りませんでした。おそらく撮った写真はどこかで見ているはずですが、気に留めていなかったのでしょう。
公式サイトでのユージンとアイリーンの紹介によると、実際の2人は結婚して1971年に水俣に移住したとのことなので、細部の設定は変更が加えられていますし、個々のエピソードには脚色された部分も当然あるはずですが、大筋は事実に基づいたものだと思いますし、随所に挿入される当時の映像や写真も、作品の緊迫感を高めています。エンドロールには、世界各地で発生した公害問題の紹介も流れますが、こうした悲劇を繰り返さないためにも、多くの人に観てほしい作品だと思います。
ちなみに、以前水俣に行ったとき、肥薩おれんじ鉄道(旧鹿児島本線)の水俣駅を降りると、たった100mほど先の正面にチッソの工場(現在は、チッソの事業再編で事業子会社のJNC㈱の水俣製造所になっているようです)の門が見えるロケーションに、これはすごい企業城下町だと鮮烈な印象を受けた記憶があります(もっとも、駅に近い立地には、物資輸送などの必要性があったはずですが)。約50年経って光景も当時とはかなり変わっているはずで、本作の工場などのシーンは、別の場所で行われています。エンドロールで流れる字幕を見て推測する限り、海などのロケも、水俣ではなく、同じ熊本県の芦北町などで行われているようです。