鷺の停車場

映画、本、グルメ、クラシック音楽、日常のできごとなどを気ままに書いています

映画「やがて海へと届く」

休日の午後、TOHOシネマズ流山おおたかの森へ。

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ロビーはかなりの混雑。

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この日の午後の上映スケジュール。午前中のみの上映作品も含めると、22作品・25種類の上映が行われていました。

この日観たのは、「やがて海へと届く」(4月1日(金)公開)。以前観て非常に印象に残った『四月の永い夢』の中川龍太郎監督の次回作ということで、気になっていました。上映2週目で早くも1日1回の上映になってしまい、上映終了も早いと思って、観に行くことにしました。

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上映は一番小さい58+2席のプレミアスクリーン。お客さんは15人ほどでした。ゆったりした座席で観ることができるのは、ちょっとお得感があります。

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彩瀬まるの同名小説を実写映画化した作品で、主要スタッフは、監督:中川龍太郎、脚本:中川龍太郎・梅原英司、アニメーション:久保雄太郎・米谷聡美など。

公式サイトのストーリーによれば、

 

あなたのことを、私はどれだけ知っているのだろう。 ある日突然、親友がいなくなった。あれから5年― 忘れたくない思い出と、知らなかった彼女の秘密。
引っ込み思案で自分をうまく出せない真奈は、自由奔放でミステリアスなすみれと出会い親友になる。しかし、すみれは一人旅に出たまま突然いなくなってしまう。あれから5年―真奈はすみれの不在をいまだ受け入れられず、彼女を亡き者として扱う周囲に反発を感じていた。ある日、真奈はすみれのかつての恋人・遠野から彼女が大切にしていたビデオカメラを受け取る。そこには、真奈とすみれが過ごした時間と、知らなかった彼女の秘密が残されていた…。真奈はもう一度すみれと向き合うために、彼女が最後に旅した地へと向かう。本当の親友を探す旅の先で、真奈が見つけたものとはーー切なくも光が差すラスト、誰しもの心に寄り添う感動作が誕生した。

 

・・・というあらすじ。

主な登場人物は、

  • 湖谷真奈(こたに まな)【岸井ゆきの】:主人公の女性。今は飲食店でフロアチーフを務める。

  • 卯木すみれ(うつぎ すみれ)【浜辺美波】:真奈が大学入学時に知り合い、親友となる。東日本大震災陸前高田付近で津波で行方不明となったままとなっている。

  • 遠野敦(とおの あつし)【杉野遥亮】:大学時代からのすみれの恋人。

  • 国木田聡一(くにきだ そういち)【中崎敏】:真奈が働く飲食店の料理人。

  • 卯木志都香(うつぎ しづか)【鶴田真由】:すみれの母。

  • 伊藤祥栄(いとうさちえ)【中嶋朋子】:真奈が旅先で出会う民宿のおかみ。夫と母を津波で失った。

  • 伊藤羽純(いとう はずみ)【新谷ゆづみ】:祥栄の高校生の娘。

  • 楢原文徳(ならはら ふみのり)【光石研】:真奈の勤め先の飲食店の店長。真奈に優しく接するが、自ら命を絶つ。

など。

冒頭、意表を突いて、デッサン・水彩画風のアニメーションで始まります。途中には、ドキュメンタリー風のシーンも入り、終盤には再びアニメーションが挿入されるチャレンジングな構成。

全体に漂う静かな雰囲気は個人的にとても良かったのですが、チャレンジがうまくいっているかというとそうでない残念な部分も。喪失からの再生がメインのテーマと受け取りましたが、ドキュメンタリー風のシーンなどは省いて焦点を絞った方が良かったのではと思いました。終盤のアニメーションは見事でしたが、何を描いているのかは観客の解釈に委ねられていて、うまく理解できないところもあり、もう少しガイドがあるとより説得的だったように思います。

ところで、アニメーションシーンは、冒頭の女性の視点で自身の足元を映す描写は、「リズと青い鳥」の冒頭シーンと全く同じ構図でしたし、終盤に出てくるシネカリグラフィー風の描写は、「この世界の片隅に」の不発弾のシーンを想起しました。実際にこれらの作品を参考にされたのでしょう。