鷺の停車場

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映画「サバカン」

休日の夕方、TOHOシネマズ柏に行きました。


休日とはいえ、夕方16時ごろの時間帯だからなのか、お客さんはまばらでした。


この日の上映スケジュール。夕方なので残りの上映回は少ないです。既に上映が終わったものも含めると、この日は16作品・27種類の上映でした。

この日観るのは「サバカン」(8月19日(金)公開)。全国157館と中規模での公開。映画情報サイトなどの口コミ評価もおおむね高いようだったので、行ってみることにしました。


上映は265+2席のスクリーン9。お客さんは15人ほどの入りでした。


チラシの表裏。

1980年代の少年のひと夏を描いたオリジナル作品のようで、監督は、大ヒットしたドラマ「半沢直樹」の脚本などを務め、本作が長編映画初監督となる金沢知樹、脚本は金沢知樹・萩森淳。

 

公式サイトのストーリーによれば、

 


1986年の長崎。夫婦喧嘩は多いが愛情深い両親と弟と暮らす久田は、斉藤由貴キン肉マン消しゴムが大好きな小学5年生。そんな久田は、家が貧しくクラスメートから避けられている竹本と、ひょんなことから“イルカを見るため”にブーメラン島を目指すことに。海で溺れかけ、ヤンキーに絡まれ、散々な目に遭う。この冒険をきっかけに二人の友情が深まる中、別れを予感させる悲しい事件が起こってしまう・・・。

 

・・・というあらすじ。

 

公式サイトで紹介されているキャストは、

  • 久田 孝明(ひさだ たかあき)【番家 一路/草彅 剛】:小学5年生の主人公。弟がいる。大人になった現在は作家で、一人暮らし。

  • 竹本 健次(たけもと けんじ)【原田 琥之佑】:孝明のクラスメイト。漁師だった父を亡くし、妹2人・弟2人の5人兄弟の家は貧しい。

  • 久田 良子(ひさだ よしこ)【尾野 真千子】:孝明の母。怒らせると怖い肝っ玉母ちゃん。

  • 久田 広重(ひさだ ひろしげ)【竹原ピストル】:孝明の父。

  • 竹本 雅代(たけもと まさよ)【貫地谷 しほり】:健次の母。女手ひとつで子供たちを育てている。

  • 内田のじじい【岩松 了】:健次がみかんを盗みに入るみかん農家。
  • 弥生(やよい)【村川 絵梨】:孝明と離婚した元妻。孝明との間に生まれた娘と暮らしている。

  • 亜子(あこ)【福地 桃子】:孝明の父の姉の娘に当たる従姉。よく孝明の家に遊びに来ている。

  • 大内田 健夫(おおうちだ たけお)【ゴリけん】:健次の叔父。不慮の事故で雅代が亡くなった後、健次を引き取る。

  • 金山(かなやま)【八村 倫太郎】:ヤンキーに絡まれた健次たちを助けてくれた青年。

  • 由香(ゆか)【茅島 みずき】:金山の彼女。溺れかけた孝明を助けるなど、ふたりに優しく接する。

  • 宮田 学(みやた まなぶ)【篠原 篤】:孝明の担任教師。

  • 市川(いちかわ)【泉澤 祐希】:若い編集者。現在の孝明に文学系はもうからないとゴーストライターを勧める。

というもの。草彅剛は大人になった久田の回想という形で、劇中のナレーションも務めています。

 

ネタばれになりますが、もう少し詳しくあらすじを記すと、

 

売れない作家の久田は、弥生からお金(たぶん娘の養育費)の振り込みがないことに督促の電話が入り、言い訳をする。久しぶりに小学生の娘と会い、水族館でイルカショーを見た久田は、長崎の海を思い出す。編集者の市川にゴーストライターの話を持ちかけられた久田は、家にあった鯖の缶詰が目に入ると、小学生時代の思い出が鮮やかに蘇り、パソコンに向かい小説を書き始める。

小学5年生の夏、作文が得意で、斉藤由貴キン肉マン消しゴムが大好きな久田は、両親と弟と暮らしていた。あることがきっかけで、家が貧しくクラスメートから疎んじられていた竹本に誘われ、ヤンキーがイルカを見たというブーメラン島を目指すことになる。両親には内緒で、自転車の二人乗りで向かおうと朝早く待ち合わせて家を出ようとする二人は、久田の父親に見つかってしまうが、父親は温かく送り出す。しかし、下り坂で転んで自転車は壊れてしまい、さらにヤンキーに絡まれるが、軽トラックで通りかかった金山が助けてくれる。ブーメラン島の対岸までやってきた二人は、ブーメラン島に向け泳ぎ始めるが、たどり着く直前、久田の足が攣って、溺れそうになる。そこに助けに飛び込んでくれたのは由香だった。ブーメラン島でイルカを探す二人だったが、発見することができず、そのまま泳いで戻る。戻った二人は再び由香に会うと、由香は貝を焼いて二人にふるまい、自転車が壊れているのを見て、金山を呼び、軽トラックの荷台に自転車と二人を乗せて家の近くまで送り届ける。

これをきっかけに、夏休みの間、二人は一緒に毎日を過ごすようになり、友情が深まっていく。寿司が食べたいという久田に、竹本は久田を家に招き、漁師だった亡き父親がよく作ってくれたという鯖缶の握りをふるまう。

しかし、夏休みが明けてすぐ、竹山の母親が交通事故で突然亡くなってしまう。竹山たち5人の兄弟姉妹は、3人の親戚にバラバラに引き取られることになり、久田は学校で竹山がお別れする間もなく転校することになったことを知らされる。久田は望遠鏡を買うために貯金箱に貯めていたお金で、たくさんの鯖缶を買い、竹山が旅立つ駅に走ってそれを手渡す。竹山を見送った久田は、駅に待っていた父親に号泣して抱きつく。父親の自転車に乗って家に帰ると、母親も優しく抱きしめる。

舞台は再び現在に戻り、竹山との思い出を書いた本は出版されて、弥生からは読んだと電話がかかってくる。竹本は長崎で夢だった寿司屋を営み、「サバカン」も出しているらしい。久田は久しぶりに故郷を訪ね、竹本と会う。

 

・・・というもの。

懐かしさと切なさを感じさせるなかなかいい映画でした。ブーメラン島への冒険から徐々に友情を深めていく二人の描写と、デフォルメが入ったユーモラスな描写で家族漫才のような久田の家族シーンとの対照もよく、テンポよく最後まで観させられました。

1986年に小学5年生ということは、現在は40代半ばとなった久田が、約35年前の小学生時代を回想するという設定。あまり年代が変わらないかもしれません。私自身はこうした劇的な冒険や別れはありませんでしたが、同世代の頃ちょっとした冒険をしたことを思い出しました。