シネプレックスつくばに行きました。
つくばの映画館といえば、以前に一度MOVIXつくばに行ったことがありますが、この映画館は初めてです。
映画館は、土浦から水海道方面に延びる国道354号線沿いにある天然温泉入浴施設「つくばYOUワールド」内にあります。同じ敷地内に隣接して、クライミングジム、ボウリング場、ヤマダ電機もありました。入浴施設に併設されているシネコンはかなり珍しいかも。
入口も入浴施設と共通です。入口の左脇には上映作品の案内が見えます。
入口を入って左側が入浴施設、右側が映画館になっています。
映画館に入ると、横長のロビーになっています。世間的には平日の午後、お客さんはまばらです。
この日の上映スケジュール。17作品・19種類の上映でした。普通の平日にもかかわらず、7時台の上映回が多くあるのは驚きます。このあたりの地域の人たちは朝が早いのでしょうか。
観るのは「わたしのお母さん」(11月11日(金)公開)。公開開始時の上映館は、全国でたった13館。公開2週目からは上映館が10館以上増えたようですが、それでもかなり小規模な公開。気になっていた作品でしたが、時間・場所が合う手ごろな映画館がなく、この映画館でやっていると知って、ちょっと遠いですが、足を伸ばしてやって来たのです。
上映は151+1席のシネマ2。お客さんは、自分も含めて5人でした。
チラシの表裏。
幼いころから母親に苦手意識を抱き、自分の気持ちを表すことのできない女性と母親の関係を描いたオリジナルのヒューマンドラマで、監督:杉田真一、脚本:杉田真一・松井香奈、撮影:鈴木周一郎などの主要スタッフ。
公式サイトのストーリーによれば、
「私は良かれと思ってやってるのよ。なに怒ってるの」
「大切にしないとさ、親なんだから」
三人姉弟の長女で、今は夫と暮らす夕子は、急な事情で母の寛子と一時的に同居することになる。明るくて社交的な寛子だったが、夕子はそんな母のことがずっと苦手だった。不安を抱えたまま同居生活がスタートするが、昔と変わらない母の言動に、もやもやした気持ちを抑えきれない夕子。
そんなある日、ふたりの関係を揺るがす出来事が――。
・・・というあらすじ。
公式サイトで紹介されている登場人物は、
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吉村 夕子【井上 真央】:主人公。3人姉弟の長女。結婚しているが、子どもはいない。
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松田 寛子【石田 えり】:夕子のお母さん。若くして夫を亡くし、女手一つで3人の子を育てた。
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松田 晶子【阿部 純子】:夕子の妹。まだ独身。
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吉村 信次【橋本 一郎】:夕子の夫。
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松田 美奈【ぎぃ子】:勝の妻。内心寛子を疎ましく思っている。
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スーパーの店長【宇野 祥平】:夕子がパートで働いているスーパーの店長。介護離婚が原因でスーパーを辞めることになる。
という感じ。(それぞれの登場人物の説明は加筆しました)
ネタばれになりますが、記憶の範囲でもう少し詳しめにあらすじを紹介すると、
コーラスのサークルで活動するなど、社交的な寛子。夕食の用意で揚げ物をしているところに友人が訪れ、火を消したつもりで話し込んでいるうちにボヤを出してしまう。同居する勝・美奈夫婦とホテルに一時避難するが、美奈は寛子がパウダールームに行っている間に勝に寛子に対する不満を漏らす。
ある団地のアパートに夫・信次と暮らす夕子は、信次の部屋を開けるために荷物を自分の部屋に運び込み、駅まで車で向かい、母・寛子と再会する。寛子はしばらく夕子のところに転がり込み、同居生活が始まる。社交的な寛子は隣の家の幼稚園児の女の子ともすぐ仲良くなるが、しばらくすると、寛子を疎ましく思う美奈は夕子の家に寛子の荷物を送ってくる。顔を出した晶子に寛子は愚痴をこぼす。
晶子と夕子は寛子と1泊の温泉旅行に出かける。晶子は寛子と仲良く接するが、夕子は微妙な距離を保って寛子と接する。夕子は寛子への苦手意識が消えず、もやもやした気持ちが鬱積していく。
そんな中、退職するスーパーの店長の送別会に参加した夕子は、もやもやした気分から、下戸なのにビールを飲んですっかり酔っぱらってしまう。二次会のカラオケボックスで酔っぱらう夕子に声を掛けたスーパーの店長は夕子に家まで送ろうと声をかけるが、あまりに無防備な夕子に思わずキスをしようとし、気づいた夕子はそれを拒んで逃げ出し、歩いて家まで帰る。
家に着いたのは日付も変わった深夜だった。夕子の帰宅に気づいた寛子が起きてきて、夕子を叱責し、自分の子育てが間違ったとなじる。反抗的な目を向ける夕子に、良かれと思ってやっているのにその態度はなんだ、と寛子は憤り、夕子の家を出て行く。
家に戻った寛子は急死する。勝からの知らせで夕子は病院の霊安室に駆け付ける。遅れて駆け付けた晶子は号泣するが、夕子は涙が出ない。
葬儀は寛子の自宅で執り行われ、火葬して斎場から戻った夕子たちは参列者に食事を振る舞う。その最中、鏡台の脇に置かれた寛子のスマホに着信が入ったの気づいた夕子はその電話に出て、寛子が死んだことを伝える。そのまま鏡を見つめる夕子は、私はお母さんが嫌いだった、とぽつりとつぶやき、布団に顔をうずめて号泣する。
・・・という感じ。
説明的な描写はなく、セリフも少なめで、観客の想像・解釈に多くを委ねる作品。全体的に静かで内省的な雰囲気が漂っています。夕子の心情に想像が及ばないところもありましたが、セリフな少ない描写で母娘の葛藤をうまく描いていました。退屈に思う人も確実にいると思いますが、こういう空気感の作品は好きです。セリフが少ない中で夕子の心情を表現する難しい役どころを演じた井上真央の演技は特筆もの。エンドロールの音楽も余韻を高めていました。