鷺の停車場

映画、本、グルメ、クラシック音楽、日常のできごとなどを気ままに書いています

映画「ラーゲリより愛を込めて」

先日、TOHOシネマズ流山おおたかの森に行きました。


世間的には平日の15時ちょっと前の時間帯ですが、ロビーにはけっこうお客さんがいました。


この日の上映スケジュールの一部。この日は、舞台挨拶中継付なども含めると20作品・25種類の上映が行われていました。


この日観たのは、「ラーゲリより愛を込めて」(12月9日(金)公開)。全国350館規模と大規模での公開です。個人的には、こうした時代ものの映画はどちらかと言えば好きな部類ではありませんが、映画情報サイトの口コミ評価は総じて高いようだったので、観に行くことにしました。


上映は125+2席のスクリーン8。お客さんは4〜5割ほど入っていました。年配の方もいましたが、おそらく二宮和也のファンなのでしょう、学校帰りらしい女子高生など若い女性がかなり多くいらっしゃいました。


チラシの表裏。


その前に映画館で配布されていた別バージョンのチラシ。


辺見じゅんのノンフィクション「収容所から来た遺書」を原作に実写映画化した作品で、監督:瀬々敬久、企画プロデュース:平野隆、脚本:林民男などの主要スタッフ。瀬々敬久監督の作品は、私自身は、DVDで観た「8年越しの花嫁 奇跡の実話」(2017年12月16日(土)公開)、スクリーンで観た「糸」(2020年8月21日(金)公開)に続いて3本目になります。

 

公式サイトのストーリーによれば、

 

第二次大戦後の1945年。そこは零下40度の厳冬の世界・シベリア…。わずかな食料での過酷な労働が続く日々。死に逝く者が続出する地獄の強制収容所ラーゲリ)に、その男・山本幡男は居た。「生きる希望を捨ててはいけません。帰国(ダモイ)の日は必ずやって来ます。」絶望する抑留者たちに、彼は訴え続けた――

身に覚えのないスパイ容疑でラーゲリに収容された山本は、日本にいる妻・モジミや4人の子どもと一緒に過ごす日々が訪れることを信じ、耐えた。劣悪な環境下では、誰もが心を閉ざしていた。戦争で心に傷を負い傍観者と決め込む松田。旧日本軍の階級を振りかざす軍曹の相沢。クロという子犬をかわいがる純朴な青年・新谷。過酷な状況で変わり果ててしまった同郷の先輩・原。山本は分け隔てなく皆を励まし続けた。そんな彼の仲間想いの行動と信念は、凍っていた抑留者たちの心を次第に溶かしていく。

終戦から8年が経ち、山本に妻からの葉書が届く。厳しい検閲をくぐり抜けたその葉書には「あなたの帰りを待っています」と。たった一人で子どもたちを育てている妻を想い、山本は涙を流さずにはいられなかった。誰もがダモイの日が近づいていると感じていたが、その頃には、彼の体は病魔に侵されていた…。

松田は、危険を顧みず山本を病院に連れて行って欲しいと決死の覚悟でストライキを始める。その輪はラーゲリ全体に広がり、ついに山本は病院で診断を受けることになった。しかし、そこで告げられたのは、余命3ヶ月― 山本により生きる希望を取り戻した仲間たちに反して、山本の症状は重くなるばかりだった。それでも妻との再会を決してあきらめない山本だったが、彼を慕うラーゲリの仲間たちは、苦心の末、遺書を書くように進言する。

山本はその言葉を真摯に受け止め、震える手で家族への想いを込めた遺書を書き上げる。仲間に託されたその遺書は、帰国の時まで大切に保管されるはずだった…。ところが、ラーゲリ内では、文字を残すことはスパイ行為とみなされ、山本の遺書は無残にも没収されてしまう。山本の想いはこのままシベリアに閉ざされてしまうのか!?死が迫る山本の願いをかなえようと、仲間たちは驚くべき行動に出る――

戦後のラーゲリで人々が起こした奇跡―― これは感動の実話である。

 

・・・というあらすじ。

 

公式サイトで紹介されている主要登場人物は、

  • 山本 幡男(やまもと はたお)【二宮 和也】:事実無根のスパイ容疑により、妻と4人の子どもを日本に残してラーゲリに収容される。妻との再会の約束を果たすため、「ダモイ(帰国)」を信じ、劣悪な環境の中でも抑留者たちを励まし、生きる勇気を与え続ける。

  • 山本 モジミ(やまもと もじみ)【北川 景子】:山本幡男の妻。元教師で、幡男が抑留されてからは4人の子どもを女手ひとつで育て上げる。夫と交わした再会の約束を信じて帰国を待ち続ける。

  • 松田 研三(まつだ けんぞう)【松坂 桃李】:戦場で足がすくみ戦闘に参加出来ず、目の前で友人を亡くした経験から、自らを「卑怯者」と思い悩む。心の傷を抱えながら、山本と共にラーゲリでの生活を送る。

  • 新谷 健雄(しんたに たけお)【中島 健人】:生まれつき足が不自由なため徴兵されなかったが、漁の最中に連行される。故郷の兄弟を常に気にかけ、労働作業中に出会った子犬をクロと名付けて食糧を分け与える優しい青年。教育を受けておらず、山本からは読み書きを教わる。

  • 山本 顕一(やまもと けんいち)【寺尾 聰(壮年期)】:山本幡男の長男。10歳の時に満州ハルビンからの帰国途中、ソ連軍の爆撃に合い、父親とは離れ離れに。父の姿や言葉、家族の思い出を胸に、母を支える。

  • 相沢 光男(あいざわ みつお)【桐谷 健太】:ラーゲリ内においても軍人時代の「軍曹」という自らの階級に拘り、一等兵であった山本や松田らに高圧的な態度を取り、特に山本を敵対視する。

  • 原 幸彦(はら ゆきひこ)【安田 顕】:山本にロシア文学の素晴らしさを教え、彼の人間形成に大きな影響を与えた同郷の先輩。ラーゲリで追い詰められた末にとってしまったある行動により、心を閉ざしてしまう。

  • クロ:労働作業中の抑留者たちの前に現れた黒毛の犬。親からはぐれた様子を見かねた山本がラーゲリに連れ帰る。新谷らに食料を分け与えられ、いつしか生活を共にするようになる。

というもの。

 

1945年8月9日に、当時のソ連ソヴィエト社会主義共和国連邦)が日ソ中立条約を破って満州(や千島列島、南樺太など)に侵攻し、投降した日本軍捕虜など多数の日本人がシベリアなどで抑留され強制労働させられ、多くの命が失われたことは、歴史上の事実としては知っていましたが、その過酷さと、それに耐えて生き抜いた人々の思いが、身に迫り、心を打つ作品でした。事実に基づく物語とは言っても、映画なので、細部には脚色もあるのだろうと思いますし、終盤はお涙頂戴な展開に流れた印象もありましたが、涙なしには観ることができませんでしたし、周りでもところどころから鼻を啜るような音が聞こえ、涙して観た人が多かったことが分かりました。主役の二宮和也、妻役の北川景子はじめ、俳優陣も好演でした。