鷺の停車場

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コミック「幼女戦記」を読む①第1巻~第3巻

劇場版で初めて接してすっかりはまってしまった「幼女戦記」、カルロ・ゼン作の原作小説に続いて、コミカライズ(漫画化)した東條チカ作のマンガを読み始めました。

原作小説で挿絵などのイラストを担当している篠月しのぶがキャラクター原案として名を連ねています。

ストーリー展開は基本的にこれまで紹介した原作小説に沿っているようなので、原作小説やアニメ版との対応関係などを中心に、簡単に紹介します。

第1巻

幼女戦記 (1) (角川コミックス・エース)

幼女戦記 (1) (角川コミックス・エース)

 
Kapitel:01 北辺の空

"Kapitel"(カピテル)とは「章」という意味のドイツ語(英語のchapterに相当)です。

原作の第1巻の第0章「プロローグ」・第1章「北辺の空」、おおむねテレビアニメ版の第2話「プロローグ」に対応する部分で、現代日本のサラリーマンから「存在X」によって戦争の時代の孤児の女児ターニャ・デグレチャフに転生させられた主人公が士官候補生、准尉となり、統一暦1923年6月、北方軍管区ノルデン戦区での初任務で、協商連合軍の航空魔導師アンソン・スー中佐率いる航空魔導部隊に予期しなかった襲撃を受けるが、戦果を上げ、銀翼突撃章を受ける。戦闘中ページ見開きで「ツカマエタ」と不気味な笑みを浮かべるターニャの表情は強烈です。

Kapitel:02 エレニウム九五式

原作の第1巻の第2章「エレニウム九五式」、おおむねテレビアニメ版の第3話「神がそれを望まれる」に対応する部分で、少尉になったターニャが、クルスコス陸軍空港隊試験工廠で技術検証要員として、死の危険をかえりみないマッドサイエンティストのシューゲル主任技師によるエレニウム九五式の検証試験に従事させられ、異動願が受理されて開発が中止されるも、シューゲルによる試験の強行によりターニャが不本意ながら神への祈りを強要され、試験が奇跡的に成功する。

神への祈りを強要されるシーン、存在Xが、キリスト教風の神ではなく、仏教の菩薩のような姿で現れるのは、ちょっと意外な表現で面白い。

Kapitel:03 ラインの護りⅠ

原作の第1巻の第3章「ラインの護り」、おおむねテレビアニメ版の第1話「ラインの悪魔」に対応する部分で、第二〇五強襲魔導中隊の第三小隊長としライン戦線に送られたターニャが着任し、上官となるシュワルコフ中尉や、初めての部下となるヴィクトーリア・イヴァーノヴナ・セレブリャーコフ伍長(ヴィーシャ)たちと出会う。

シュワルコフ中尉と初めて会うシーン、原作小説もそうですが、ベテランが来ると期待していた中尉の「貴官は幼年学校出の新任からなる小隊を 上手く指導できるかね?」との試すような問いかけに、ターニャが「そうせよ とご命令ください・・・かくあれかし と御覧に入れます」と答えるシーンは、とても印象的です。

第2巻

幼女戦記 (2) (角川コミックス・エース)

幼女戦記 (2) (角川コミックス・エース)

 
Kapitel:04 ラインの護りⅡ

原作の第1巻の第3章「ラインの護り」、おおむねテレビアニメ版の第1話「ラインの悪魔」に対応する部分で、ターニャたち小隊が戦闘を重ねて経験を積み、友軍弾着観測員の救援に向かう。ヴィーシャのビジュアルは、ちょっと緩い感のあるアニメ版とはかなり違ってかなり美少女です。第1章に出てくるアンソンを始め、男性陣も総じてアニメ版より美形ですし、キャラクターの印象は、ターニャを除いて結構違います。アニメから入った人だとこの辺は好みが分かれるかもしれません。

Kapitel:05 ラインの護りⅢ

原作の第1巻の第3章「ラインの護り」、おおむねテレビアニメ版の第1話「ラインの悪魔」に対応する部分で、友軍弾着観測員の救援に出撃したターニャたち小隊は、友軍弾着観測員が撃墜されたとの連絡を受けるが、敵二個中隊を追撃し、ターニャの驚異的な能力によって殲滅する。

Kapitel:06 軍大学Ⅰ 大学選考軍議会

原作の第1巻の第4章「軍大学」、おおむねテレビアニメ版の第4話「キャンパス・ライフ」に対応する部分で、レルゲン中佐が、ターニャの軍大学入学に異を唱え、幼女の皮をかぶった化け物と主張するが、ゼートゥーアたちに押しきられる。入学しキャンパスライフを満喫するターニャが、休日の図書館でゼートゥーア准将に出会う。

ゼートゥーアのビジュアルも、アニメ版よりも学者然としています。

第3巻

幼女戦記 (3) (角川コミックス・エース)

幼女戦記 (3) (角川コミックス・エース)

 
Kapitel:07 軍大学Ⅱ 総力戦理論

原作の第1巻の第4章「軍大学」、おおむねテレビアニメ版の第4話「キャンパス・ライフ」に対応する部分。ゼートゥーアから戦争の見通しについて率直な意見を求められたターニャは、前世の経験から、好感度アップのためのプレゼンに努め、世界大戦に至るだろうこと、総力戦では敵軍の戦争継続能力を粉砕すべき、そのためには即応航空魔導大隊が適切と進言する。ゼートゥーアは衝撃を受け、深く思索に沈む。レルゲンはルーデルドルフに渡されたゼートゥーアが書いた論文を読んでかつて感じた違和感に苛まれる。

Kapitel:08 軍大学Ⅲ 即応魔導大隊構想

原作の第1巻の第4章「軍大学」、おおむねテレビアニメ版の第4話「キャンパス・ライフ」に対応する部分。軍大学同期で席次を争うウーガに後方勤務を勧めるターニャ。一方、ゼートゥーアはターニャが進言した魔導大隊を参謀本部直属に置くことを決め、その編成をターニャに命ずる。

Kapitel:09 アンドリューレポート:「十一番目の女神」と「V600」についての謎

大戦から約40年後、かつて従軍記者で当時の帝国軍の謎を追うアンドリューは、連合王国の当時の文書で大戦の各地の主戦場の記録に散見される11文字の伏字を「十一番目の女神」と名付け、その謎を追う。当時の関係者に当たっていくうち、「V600」というキーワードが浮上する。帝国軍の部隊番号には600番台はないが、主任技師だったシューゲルは、部隊番号ではなく編成番号だった可能性を示唆する。さらに調べるうちに、ある魔導部隊の募集が「601」 の編成番号で行われていたことを掴むが、その部隊について聞き込みをしても確たる情報は得られない。

アンドリューが大戦後に「十一番目の女神」などの謎を追う話は、原作小説の第1巻などに断片的に出てきますが、この章は、それらを基にアレンジしたエピソード。

11文字の謎は「ラインの悪魔」に違いないと思うのですが、ライン川のラインは英語でRhine、フランス語でRhin、悪魔は英語でdevil、フランス語でdiableだそうなので、いずれも11文字にはなりません。単語間のスペースを1字に数えて11文字なのでしょうね。

続きはまた改めて。