鷺の停車場

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映画「天間荘の三姉妹」

休日の午後、MOVIX柏の葉に行きました。


15時過ぎの時間帯、ロビーは比較的閑散としていました。


この日の上映スケジュールの一部。


この日観たのは、「天間荘の三姉妹」(10月21日(金)公開)。


上映は221+2席のシアター8。お客さんは10人弱。公開初週としては寂しい入りです。映画情報サイトの口コミ評価は総じて良いのですが、上映時間が本編150分とけっこう長めなので、気軽には行きにくいこともあるのでしょうか。


チラシの表裏。

ヤングジャンプ コミックス DIGITALから刊行されている髙橋ツトムさんの漫画「天間荘の三姉妹-スカイハイ-」を原作に実写映画化された作品だそうで、監督:北村龍平、脚本:嶋田うれ葉、音楽:松本晃彦などの主要スタッフ。

 

公式サイトのストーリーによれば、

 

 天界と地上の間にある街、三ツ瀬。美しい海を見下ろす山の上に、老舗旅館「天間荘」がある。切り盛りするのは若女将の天間のぞみ(大島優子)だ。のぞみの妹・かなえ(門脇麦)はイルカのトレーナー。ふたりの母親にして大女将の恵子(寺島しのぶ)は逃げた父親をいまだに恨んでいる。
 ある日、小川たまえ(のん)という少女が謎の女性・イズコ(柴咲コウ)に連れられて天間荘にやってきた。たまえはのぞみとかなえの腹違いの妹で、現世では天涯孤独の身。交通事故にあい、臨死状態に陥ったのだった。
 イズコはたまえに言う。「天間荘で魂の疲れを癒して、肉体に戻るか、そのまま天界へ旅立つのか決めたらいいわ」。しかし、たまえは天間荘に客として泊まるのではなく、働かせてほしいと申し出る。そもそも三ツ瀬とは何なのか? 天間荘の真の役割とは?

たまえにも「決断の時」が刻々と近づいていた。

というあらすじ。

 

公式サイトで紹介されている主要登場人物は、

  • 小川 たまえ【のん】:交通事故で臨死状態となり、天間荘にやってきた女性。

  • 天間 かなえ【門脇 麦】:のぞみの妹。三ツ瀬水族館でイルカのトレーナーをしている。

  • 天間 のぞみ【大島 優子】:三ツ瀬の老舗温泉旅館「天間荘」の若女将。

  • 魚堂 一馬【高良 健吾】:鮮魚店の息子。かなえと恋愛関係にある。

  • 芦崎 優那【山谷 花純】:自殺を図って臨死状態となり、天間荘にやってきた若い女性。自暴自棄だが、実は誰かとつながることを求めている。

  • 早乙女 海斗【萩原 利久】:再建された三ツ瀬水族館でイルカのトレーナーをしている若い男性。

  • 早乙女 勝造【平山 浩行】:かつての三ツ瀬水族館の館長で、海斗の父。

  • 魚堂 健一【柳葉 敏郎】:鮮魚店を営む一馬の父。

  • 宝来 武【中村 雅俊】:天間荘の料理長。

  • 財前 玲子【三田 佳子】:肝臓癌で臨死状態となり、天間荘に滞在している老婦人。偏屈だったが、たまえと接するうちに徐々に心を開いていく。

  • 小川 清志【永瀬 正敏】:のぞみ、かなえ、たまえの父。恵子を捨てて別の女性との間にたまえをもうける。かつてはカメラマンをしていた。

  • 天間 恵子【寺島 しのぶ】:天間荘の大女将。自分たちを捨てた清志を恨んでいる。

  • イズコ【柴崎 コウ】:臨死状態となった人を天間荘に連れてくる不思議な霊能者?の女性。

という感じ(それぞれの登場人物の説明は加筆しました)。

 

多少ネタバレになりますが、記憶の範囲でもう少しあらすじを記すと、

 

地上と展開の間にある三ツ瀬。かけ流し天然温泉の旅館・天間荘に、少女・たまえがタクシーに乗ってやってくる。たまえの母親違いの姉となる若女将ののぞみとその妹のかなえが玄関前で出迎える。交通事故で臨死状態となり、地上に戻るか、天界に行くかを決めるまで天間荘に滞在することになるが、自分を捨てた夫を恨んでいる大女将である2人の母・恵子は、たまえに厳しく当たり、天間荘で働くよう迫り、たまえは滞在する間、天間荘の仲居として働くことになる。

たまえが担当することになった財前は、表面だけをうまく繕うのぞみを見抜いて嫌味を言うなど偏屈な老婦人だが、表裏のないたまえを目にかけ、次第に打ち解けるようになっていく。その頃、三ツ瀬水族館でイルカのトレーナーをしているかなえは、恋仲にあった一馬は、三ツ瀬の真相を見抜き、自ら天界に行くことを選んで先に行ってしまい、ひどく落ち込む。一度かなえの誘いでイルカと触れ合ったたまえは、自分もイルカのトレーナーになりたいと、かなえに教わるようになる。

その頃、天間荘に新たな客としてやってきた芦崎優那は、ギャル風の外見で自己中心的な言動を繰り返すが、他人が信じられなくなり、自殺を図って、天間荘にやってきていた。三ツ瀬を案内するかなえと友だちになった優那は、かなえに一緒に地上に戻ろうと誘って断られると、この世界も信じられる人がいないと絶望するが、財前が声をかけ、一緒に天間荘を出て行くことになる。

たまえのイルカショーのデビューの日がやってくる。緊張するたまえはイルカとの息が合わずことごとく失敗し、観客の村人たちから笑われる。そのとき、恵子が立ち上がり、三ツ瀬の真実を村人たちに語り、この世界を終わりにすることを説く。その夜、村人たちを天間荘に招き、大宴会が開かれる。宴会が終わり、給仕などで忙しく働いた恵子、のぞみ、かなえ、たまえたちは家族で小宴会を行う。窓から外を見ると、天界に上っていく村人たちの魂の光が見える。たまえが寝入った後、残りの家族は天界に上っていく。

目覚めたたまえは、イズコの案内で地上に戻り、入院する優那を訪ねる。そして、三ツ瀬を訪ね、復興した水族館に行く。イルカのトレーナーになったかなえは、イルカショーのデビューを見事に果たす

 

・・・という感じ。

 

地上と天界の間の世界という現実離れしたファンタジーな設定の上で、現実的なストーリが展開するので、ストンと落ちない部分もありましたが、全体としては感動的なストーリーになっていました。前半は少し退屈に感じる部分もありましたが、後半になるにつれ引き込まれ、時間の長さは気にならなくなりました。

主演の“のん”の空気感はやはり独特。重く暗くなりがちなテーマなのに、それをあまり感じさせなかったのは、彼女の存在が大きかったと思います。姉妹役の門脇麦大島優子も素晴らしい演技でした。脇役陣も寺島しのぶ柴咲コウ高良健吾三田佳子永瀬正敏柳葉敏郎中村雅俊と豪華な顔ぶれで、それぞれいい味を出していました。

本編の後に流れる絢香玉置浩二の主題歌も映画の余韻をさらに高めるいい曲で、改めて涙が出ました。