映画「バースデーカード」(2016年10月22日(土)公開)をDVDを借りて観ました。
監督は吉田康弘という方。既に何本も映画を撮っておられるそうですが、私は初めてです。
紀子(橋本愛)に、10歳の時に亡くなったママ(宮崎あおい)から、誕生日に贈られるバースデーカード。ママのバースデーカードに対し複雑な感情を抱き、葛藤する時期もあるけれど、最後は、亡き母の思いを知り、成長していく女性の物語。
映画は、紀子の回想という形をとって進みます。
17歳の紀子は、ママから、お盆に中学校の時のタイムカプセルが掘り起こされるので回収してきてほしい、と頼まれ、ママの故郷の小豆島を訪れ、ママの中学生時代の親友だった沙織(木村多江)にお世話になり、親しくなる。沙織の娘は引きこもりになっていて、最初は紀子に冷たく当たるが、ちょっとしたきっかけで紀子に心を開くようになる。この小豆島のシーンの描写は心に残ります。
また、19歳の誕生日のシーンも印象的。紀子は、ママに振り回されたくない、ここにいない人に指図されるのは嫌、と手紙を開けることを拒み、日ごろは穏やかな父(ユースケサンタマリア)も「ママに謝れ!」と激高する。家を飛び出し歩く紀子は、たまたまバイクで通りかかった、中学生時代に恋心を抱いていた同級生の純(中村蒼)に声を掛けられ、バイクに乗せてもらう。紀子は、母子家庭で育った彼が語る母親への愛情を聞いて、手紙を読む気持ちになる。そして、手紙を読んで涙を流す。
純の励ましで紀子がパネルクイズ25に出場しようと打ち込むようになるくだりは、やや取って付けた感もありましたが、小学生の時クラス対抗のクイズ大会で一問も答えられなかったあの日をやり直したい、破れなかった自分の殻を打ち破りたいと頑張る姿なのでしょう。
最後のサプライズも印象深いシーン。
亡くなった後も10年にわたってバースデーカードを贈るというもともとの設定もそうですが、現実のお話と思って見ると、うまく運びすぎの部分もありますが、ほろっと涙するシーンが各所にあって、観終わった後は、清々しい、あったかい気持ちになる映画でした。