鷺の停車場

映画、グルメ、クラシック音楽、日常のできごとなどを気ままに書いていきます

スクリーンで観た映画を振り返る 2019(アニメ映画)

昨日書いたように、今年は、特に夏以降はアニメ映画を観る方が増えたと思っていました。でも、数えてみると、新作は17本と、実写映画の方が作品の数は多くなっていました。繰り返し観た作品が今年は昨年より多かったので、そういう感覚になっていたのですね。

年末年始の休みの間にもう何本か観る予定ではあるのですが、これまで観た映画の中から、特に印象深かった作品をランキングしてみます。

ヴァイオレット・エヴァーガーデン外伝―永遠と自動手記人形―

個人的には今年の映画で飛び抜けてに心に響いた作品。大きな骨格だけをみれば、ありきたりな物語なのかもしれませんが、劇的に振れることなく淡々と運びながら心を打つ展開、抑制された叙情的な映像の美しさで、感動を誘うとても素晴らしい映画でした。美しい映像とたたずまい、細部まで見事な作りこみといった京都アニメーションの繊細な作画もあって、説得力ある表現が迫りました。あの悲しい事件の前に完成されたおそらく最後の作品、事件前の京アニの高いクォリティが遺憾なく発揮されています。事件の影響で公開が来年4月に延期された本編の劇場版、クォリティへの影響がないか気がかりですが、こちらも期待しています。(9月6日(金)公開)

②天気の子

期待を裏切らない高い完成度の作品。「君の名は。」のような誰もが認めるハッピーエンドではなく、観客に問を投げかける結末にしているところは評価が分かれているようですが、あえて万人受けを狙わずにそう踏み込むところは、個人的には好感を持ちました。(7月19日(金)公開)

青春ブタ野郎はゆめみる少女の夢を見ない

1学年上の恋人と日々を過ごす主人公の男子高生の前に現れた、初恋の人と同姓同名の中学生。彼女はなぜか中学生と大学生の2人が存在していた。2人の関係を解明しようとする主人公だが、中学生が重い病気であることを知り、彼女の命を救うか恋人との日々を選ぶか選択を迫られていく・・・という物語。テレビアニメ版の続編となる劇場版で、映画としては作りに粗さを感じますし、設定に現実離れしたところはありますが、ストーリーは至ってまっすぐで、シリアスな展開に涙しました。タイトルで敬遠されてしまうのはもったいない作品だと思います。(6月15日(土)公開)

④空の青さを知る人よ

未来に夢を追い求めるしんの、あおいの高校生と、甘くない現実の中で生きている慎之介、あかねの30代の対比が1つの軸になっていて、あおいのあかねに対する気持ちの変化とともに、しんのの思いが慎之介やあかねの心を動かしていく、というストーリー展開は、大きなクライマックスがあるということではないのですが、心に刺さるいい話だったと思います。(10月11日(金)公開)

⑤劇場版 響け!ユーフォニアム~誓いのフィナーレ~

こちらもテレビアニメ版の続編となる作品。高校の吹奏楽部の2年生と同じパートの新入部員を中心に、コンクールの全国大会出場を目指していく部員たちの姿を描いた作品。昨年私にとって一番響いたアニメ映画『リズと青い鳥』と同時期を全く違う視点から(こちらがテレビアニメ版からの本流なのですが)描いており、同作とのリンクも意識して作られています。個人的な感銘度はもっと高いのですが、そのけっこうな部分が同作の影響だったことは間違いないので、それを割り引くとこのくらいの順位かなあと置いてみました。青春ものとしてとてもいい作品で、何より、演奏シーンをはじめ素晴らしい作画には、京アニのクォリティの高さが遺憾なく発揮されています。主要スタッフには、キャラクターデザインはじめあの事件で亡くなられた方が多く、制作決定が発表されている続編が心配ですが、気長に待ちたいと思います。(4月19日(金)公開)

 

 

これ以上はランキングを付けるのは難しいので、私の主観的なカテゴリーに分けて、それぞれ印象が良い順に。

<自分探し・成長系>

○映画すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ

絵本の世界に入りこんだすみっコたちが、出会ったひとりぼっちのヒヨコのおうちを探すという物語。最初はいかにも子ども向きの映画という感じで始まりますが、最後は大人こそ涙する展開。原田知世の主題歌も作品の雰囲気によく合っていました。(11月8日(金)公開)

○バースデーワンダーランド

誕生日を目前に控えた少女が、異世界に救世主として迎えられ、その世界を救う冒険を描いた作品。色鮮やかな映像の美しさが何より美しく、最初は謎の存在だった悪役が最後にちゃんとつながったり、ストーリーもうまくまとめられていると思いました。(4月26日(金)公開)

ぼくらの7日間戦争

父の都合により引越しすることになった同級生の女の子に恋していた主人公が、一緒に逃げることを提案、それが友人たち6人による立てこもりとなり、立てこもる場所で出会った不法滞在のタイ人の子どもを守る戦いにもなっていく、という物語。閉鎖的な空間で一緒に外部と戦う中で、自らを見つめ直し、成長していく高校生たちの姿が印象的でした。(12月13日(金)公開)

HELLO WORLD

映像も見事で、テンポのいいストーリー展開に引き込まれて圧倒される感じでした。それまでの流れをひっくり返す展開が何度もあるのは、評価が分かれるところ。(9月20日(金)公開)

<恋愛系>

○きみと、波にのれたら

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女子大生とその恋人となり後に事故で命を失ってしまう消防士のラブストーリー。新海監督作品のような余白が多く心を鷲づかみにする恋愛映画ではなく、湯浅監督らしく軽快なテンポで進んでいくので、恋愛映画としての感銘度はそこまで深くはないかもしれません。前作の「ルーのうた」同様、興行的には成功しにくいタイプの映画なのかなあとも思いますが、個人的には時折ホロッとしつつけっこう楽しんで観ることができました。(6月21日(金)公開)

○あした世界が終わるとしても

あした世界が終わるとしても [Blu-ray]

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この世界と相対するもうひとつの世界「日本公国」で絶対的な権力をふるう公女に相対する少女を殺すためこの世界に来た人物から少女を守ろうとする男子高生の物語。個々の設定や展開には??という部分が少なからずありましたが、バトルシーンの迫力もありますし、映像はキレイで、引き込まれる部分もありました。(1月25日(金)公開)

<ミリタリー・バトル系>

○劇場版 幼女戦記

現代のサラリーマンから異世界の幼女に転生させられた主人公が、第一次世界大戦の頃のドイツを思わせる帝国陸軍の有能な軍人として大隊を率い、旧ソ連を思わせる大国との戦争を戦う物語。突飛な設定ですが、戦闘シーンが多いこともあって音響の迫力が凄く、とても面白かった。こちらもテレビアニメ版の続編となる作品で、テレビアニメ版を知らないと楽しめない部分もありますが、私は最初に本作を観てテレビアニメ版を見るようになったので、基本的な設定を押さえていれば、初見でも十分に楽しめると思います。(2月8日(金)公開)

ガールズ&パンツァー 最終章 第2話

ガールズ&パンツァー 最終章 第2話 (特装限定版) [Blu-ray]

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ガールズ&パンツァー 最終章 4D ~第1話+第2話~

女子のたしなみとされているという設定の「戦車道」の無限軌道杯に臨む大洗女子学園の戦いを描く最終章。昨年公開された第1話ではBC自由学園との1回戦の途中で終わっていましたが、第2話では1回戦の後半と知波単学園との2回戦の途中までを描いています。テレビアニメ版や劇場版を知っている人向けでしょうし、途中で終わってしまうので不完全燃焼感は残りますが、戦闘シーンなどは純粋に楽しめる映画になっています。(第2話は6月11日(土)、4Dは10月15日(金)公開)

○劇場版 誰カ為のアルケミスト

異世界に召喚された普通の女子高生が、「本当の強さ」が発露して、知り合った仲間たちと闇の魔人たちに立ち向かう物語。自分に自信が持てず、母親の言うことに盲従してきた主人公が、異世界での戦いの中で、自分と向き合い、大切なものを見つけ、成長していくという自分探しの物語ともなっています。スピード感ある戦闘シーンなどの描写は見事で、深みはあまりありませんが、十分楽しめました。(6月14日(金)公開)

<その他>

海獣の子供

海獣の子供【通常版】Blu-ray

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生命の誕生と連鎖、その神秘、といったテーマなんだろうけれども、行間が広すぎて、具体の意味はよく分からない、という感じでしたが、それを不満に感じさせない映像美は本当に素晴らしいものでした。洪水のように押し寄せる映像美にどっぷり浸かっていたような感じで、舞台の江ノ電沿線の景色も生活感を感じさせる質感のある画が印象的でした。(6月7日(金)公開) 

○映画ドラえもん のび太の月面探査記

のび太たちが月面で知り合った不思議な力を持った子どもたちの危機を救うため奮闘する物語。昔見たドラえもんの映画と比べ、道具の使い方や、設定の仕掛けが凝りすぎに感じる部分もありましたが、全体はうまくまとまっていました。(3月1日(金)公開)

 

これらの新作のほかに、スクリーンで観た昨年以前に公開された作品もありました。

この世界の片隅に

12月20日(金)の「この世界の(さらにいくつもの)片隅に」の公開前日まで、単館で1000日以上も上映を続けてくださった土浦セントラルシネマズで、今年は3回観ました。内容はもはや説明するまでもありませんが、何度観ても、後半の展開には涙します。公開中の新作「この世界の(さらにいくつもの)片隅に」も必ず観ようと前売券を買っているので、年末年始の間には観たいと思っています。(2016年11月12日(土)公開)

リズと青い鳥

昨年観た新作アニメ映画で最も印象に残った作品、「響け!ユーフォニアム~誓いのフィナーレ~」と合わせて行われた再上映の機会に2回ほど観に行きました。鳥かごのような舞台設定で、息を潜めて見守るようなアングル、繊細で触れたら壊れそうな静謐さ。家でもBlu-rayで何度か見返しているのですが、スクリーンの画面と音響で観るとさらに迫るものがありました。(2018年4月21日(土)公開)

映画 けいおん!

映画けいおん!Newプライス版Blu-ray

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京都アニメーションの放火事件の後に行われた、キネマ旬報シアターでの特集上映で観ました。ほのぼの・コメディ要素が多いあたりは、個人的にはさほど好みではないので若干の違和感はあったのですが、ホロッとするシーンもあって、心に染みました。顔や上半身を映さずに足だけで感情を表現する、といった演出が巧みで、そうした表現の積み重ねに心打たれるシーンもありました。(2011年12月3日(土)公開)

アリーテ姫

アリーテ姫 [DVD]

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夏に「この世界の片隅に」と合わせて片渕監督作品の特集上映が行われた際、土浦セントラルシネマズで観ました。童話が原作だからか、感動で涙する、というタイプの物語ではありませんが、周囲の声に惑わされず自分の目指す道をしっかり歩んでいくことの大切さ、といったものが伝わる良作でした。(2001年7月21日(土)公開)

 

観た映画の本数は17本、旧作を含めても21本でしたが、ヴァイオレット・エヴァーガーデンを筆頭に、何回も繰り返し観た作品が複数あって、回数でいうと、合わせて40回以上スクリーンで観たことになります。実写映画の約2倍ですね。

昨年同様、映画情報サイトでの評価なども見て、自分の好みから問題なさそうな作品を観るようにしていたこともあって、印象は作品により様々ですが、観に来たことを後悔するほどの作品はなく、アニメ映画のレベルの高さを感じました。来年公開の作品も楽しみにしたいと思います。